吉岡乾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
フィールド言語学者の本は、いつもどこか冒険譚のようで、それだけで楽しく読める。本書もその期待を裏切らない。ただし、フィールドでの苦労話や珍しい体験談が中心というより、そこから一歩引いて、より一般言語学的なテーマへと読者を連れていくタイプの本である。
全18章はそれぞれ独立していて、気になるトピックから読み始めてもよい。各章では、まず興味深い話題が提示され、そこからいったん脇道にそれ、さらに別の話題へと広がり、最後には元の問いに戻ってくる。この「寄り道ショーケース話法」とでも呼びたくなる展開が、本書の大きな魅力である。読んでいる側は、「この話はいったいどこに着地するのか」と少し不安になりながら