吉岡乾のレビュー一覧

  • 言語学に消えそうなことばを守れるのか

    Posted by ブクログ

    これまでの著書では、冷静と情熱の混ざったブラックユーモアだったが、今回は冒頭からずいぶんと熱い攻撃態勢だったので、少し心配した。
    しかし「言語学者だからって多言語じゃべるわけねーだろ」からのオチなどは、やはりいつも通りだった。
    最後まで読んでみて、これだけのブラックユーモアの裏にある、最大限に他者を尊重する温かさを改めて感じた。吉岡先生は、確かにわかりにくい。でも吉岡先生は、すべての人に対して、分かろうとする温かさを向けてくれている。

    0
    2026年07月15日
  • 言語学に消えそうなことばを守れるのか

    Posted by ブクログ

     著者の淡々とした語り口には、達観とも諦観ともいえない風合いがあって、若干読み進めていくと何を訴えているのか、やや迷子になってしまう。
     ところどころに差し挟まる謙遜が、ややノイズとなっている部分はあるものの、全体としては誠実に《言語学》について語っている本であった。
     言語学という学問というよりは、学習と研究の違いについて言及したり、言語学と語学(語学学習)の違いについて論じたりと、文化的な面での言語を理由にしたある種のインテリの暴走を牽制している気がしている。
     そこには豊かで多様であって良い世界が、徐々に失われつつあることに対する憤りもあるのかもしれない。
     正しい言語なるものは存在しない。言語はツールであり、使い手によって使い勝手の良いように工夫されるものである。著者のそういった論は、頼むから他者を殴る道具に言語を使わないでくれという切実な思いがあるのだろうと感じた。
     正しい日本語も、美しい日本語も存在しない。
     言語学は言葉をどうこうすることは出来ない。ただ、そこにある多様な芳醇さを書き留めて、知識を蓄え伝えるだけである。その知識が多くの人の知性を豊かにするならば、無関心という社会最大の敵に対してのたしかな武器になるはずである。たぶん、そういうことなのだろう。
     それはそれとして、現存する文字はおおざっぱにいって元をたどれば2種類に分類出来るとか、第一言語話者の数でいうと一位が中国語で、二位がスペイン語、三位が英語で、意外と英語は低いとか、日本語が実は十位内で検討しているとか、ナスは英語で複数の名称があるとか……いろいろと面白い雑学もあるので、楽しく読める一冊だと思う。

    0
    2026年09月13日
  • 言語学に消えそうなことばを守れるのか

    Posted by ブクログ

    言語学とはどういうものか、ことばを研究するとはどういうことか。ことばが滅びるとはどういうことか。
    そこから民族についての流れで、差別の問題も扱う。
    あらゆることばは等しい価値を持っている。読み応えがありました。

    0
    2026年08月16日
  • ゲは言語学のゲ

    Posted by ブクログ

    ブラックで、おまけこそ本編で、表現が秀逸で、そして何より専門的で、最高にinterestで(いい日本語がないんだ…)。
    こういう本が一番好きだから腹抱えながら勧めるのだが、難しいんですよ先生ェ…

    0
    2026年06月12日
  • ゲは言語学のゲ

    Posted by ブクログ

    言語学者によるエッセイ。各話は読み切りになっておりどこから読んでも楽しい。
    この方の研究の方法を見ると生物学者が生き物の生態や系統を研究するのに似ていて、とても興味深い。現在地球上に広がる多様な言語の変化の有様は、地球の生物がひとつの祖先から生まれ、多様性を広げながら進化し、わかれたり取り込まれたり影響を与えたりしながら今の生態系を形作る様とよく似ているようだ。その面白さ、美しさの一端を垣間見せてくれる本。

    0
    2026年03月16日
  • ゲは言語学のゲ

    Posted by ブクログ

    フィールド言語学者の本は、いつもどこか冒険譚のようで、それだけで楽しく読める。本書もその期待を裏切らない。ただし、フィールドでの苦労話や珍しい体験談が中心というより、そこから一歩引いて、より一般言語学的なテーマへと読者を連れていくタイプの本である。

    全18章はそれぞれ独立していて、気になるトピックから読み始めてもよい。各章では、まず興味深い話題が提示され、そこからいったん脇道にそれ、さらに別の話題へと広がり、最後には元の問いに戻ってくる。この「寄り道ショーケース話法」とでも呼びたくなる展開が、本書の大きな魅力である。読んでいる側は、「この話はいったいどこに着地するのか」と少し不安になりながらも、その寄り道自体を楽しんでしまう。

    一方で、この話の進み方や、ところどころに出てくる難読漢字は、読み手によっては少しハードルになるかもしれない。軽い読み物として一気に読むというより、興味のある章を拾いながら、少しずつ味わう方が合っている本だと思う。

    もともとは授業のネタ本、いわば種本として購入したのだが、読んでみると、言語学だけでなく文化人類学に関心のある人にもかなり刺さりそうだった。うちの文化人類学系の先生たちにも勧めて、ぜひ感想を聞いてみたい。

    0
    2026年06月07日
  • ゲは言語学のゲ

    Posted by ブクログ

    ああ、この著者、前に読んだ
    フィールドワークの嫌いな言語学者さんか。
    この本でも、自身の研究に関することから
    日常で感じた言語学的なよしなきごとを
    いろいろ書いてくれている。

    研究者として、すごく専門的なことも
    噛み砕いて説明してくれていますが
    ほぼ理解できなくても
    なんというか…愛は伝わってくる。

    人の名付けに関する一考とか
    書き文字とOCRの話とか
    ただの言語オタクが読んでも楽しかった。

    0
    2026年03月10日