あらすじ
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「言語」のイメージを解きほぐす!
世界には約7000の言語があり、その半分以上が文字のない言語である。そんな「無文字言語」をパキスタン山奥の現地に赴き調査する『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』著者が贈る傑作エッセイ!
感謝をことばで伝えるのはヒト特有の行動である。けれどもそれは、言語がヒト特有のものであるからであって、ありとあらゆる言語文化で感謝を言語化して伝えるという意味ではない。(中略)謝辞も含め、挨拶ことばは、得体の知れない余所者が異言語話者集団の中へぬるりと滑り込んで行くための潤滑油的な働きもする。それは確かだと思う。しかし、その用法も随所で一律というわけではない。どういう場面で用い、どういう場面で用いないのかという匙加減は、語学書に示し切れるほどシンプルなものから、もっと複雑怪奇で一概に説明できないものまである筈だ。(本書より)
目次
1 のっけからお金の話で下世話ですが
2 浮く感謝癖
3 妃のピンとした突起
4 船長は5周目の17歳ですよ、兄弟
5 扱いづらいことばの半人前
6 日本語じゃない報道から言語を彷徨う
7 嘘吐きはヒトの始まり
8 ソシられやすい女たち
9 花は他の名でも同じく香れど
10 おでんが過ぎる生活のすゝめ
11 北の北、外は外
12 癒着する言語と文字
13 右目と左目の年齢
14 逆さは逆さの逆さ
15 生殺与奪はユポ紙の上に
16 内から起こるか外から及ぶか
17 彼らを鬼とは呼ばせない
18 似て非なれど
エピローグ クは言語学のク
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
言語学者によるエッセイ。各話は読み切りになっておりどこから読んでも楽しい。
この方の研究の方法を見ると生物学者が生き物の生態や系統を研究するのに似ていて、とても興味深い。現在地球上に広がる多様な言語の変化の有様は、地球の生物がひとつの祖先から生まれ、多様性を広げながら進化し、わかれたり取り込まれたり影響を与えたりしながら今の生態系を形作る様とよく似ているようだ。その面白さ、美しさの一端を垣間見せてくれる本。
Posted by ブクログ
フィールド言語学者の本は、いつもどこか冒険譚のようで、それだけで楽しく読める。本書もその期待を裏切らない。ただし、フィールドでの苦労話や珍しい体験談が中心というより、そこから一歩引いて、より一般言語学的なテーマへと読者を連れていくタイプの本である。
全18章はそれぞれ独立していて、気になるトピックから読み始めてもよい。各章では、まず興味深い話題が提示され、そこからいったん脇道にそれ、さらに別の話題へと広がり、最後には元の問いに戻ってくる。この「寄り道ショーケース話法」とでも呼びたくなる展開が、本書の大きな魅力である。読んでいる側は、「この話はいったいどこに着地するのか」と少し不安になりながらも、その寄り道自体を楽しんでしまう。
一方で、この話の進み方や、ところどころに出てくる難読漢字は、読み手によっては少しハードルになるかもしれない。軽い読み物として一気に読むというより、興味のある章を拾いながら、少しずつ味わう方が合っている本だと思う。
もともとは授業のネタ本、いわば種本として購入したのだが、読んでみると、言語学だけでなく文化人類学に関心のある人にもかなり刺さりそうだった。うちの文化人類学系の先生たちにも勧めて、ぜひ感想を聞いてみたい。