作品紹介・あらすじ
「これまでに書かれた最高のビートルズ本」と称賛され、NPR年間最優秀図書賞とヴァージル・トムソン賞(音楽批評部門)を受賞。
彼らの音楽にはなぜこんなにも早すぎる人生が詰まっているのだろう? ローリング・ストーン誌のライターによる、もうひとつのビートルズ・アンソロジー。
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ザ・ビートルズの伝記、でもなければ解説本やデータ・ブックでもない。米ローリング・ストーン誌のコラムニストによるエッセイであり、率直に言えば、一人のザ・ビートルズ・ファンによる「俺はこんなにビートルズが大好きなんだ」的な本、といったところが内容としては一番近いような気がする。僕もザ・ビートルズが大好きなので、読んでいて楽しいことには間違いない。
でも、所々「おいおい」と思う場面もある。例えば僕がそれほど魅力を感じていない楽曲を「すごい作品だ!」と語っていたり、僕が大好きでたまらない楽曲を酷評していたり。ポールに対してかなり辛辣であったり(これに関しては「そうだよなぁ」と納得させられたりもしたけれど)。同じザ・ビートルズ・ファンでもかなり大きな齟齬があるような気がする。
面白く読み進めながらも、気持ちの片隅ではそんな思いを抱きながら最後の「謝辞」を読んでいて「あ、そういうことか」と腑に落ちた。著者自身、実生活で他の評論家とザ・ビートルズに対してさまざまな議論を交わしてきている。そして本書を書いた趣旨を「議論に決着をつけるためではない」「議論を始めるための本だ」と定義づけている。つまり他の評論家と交わしてきた議論を、今度は読者と交わしてみたい、ということなのだろう。そしてそれは決して不愉快な議論ではなく、同じザ・ビートルズ・ファン同士での熱い、だけれどもとても愉快な議論になるだろうな、と思う。本書を読んでいるとそんな議論の輪にぜひとも参加したい気持ちにさせられる。