犬丸幸平のレビュー一覧
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第24回(2026年度)「このミステリーがすごい
大賞」受賞作品です。
非常にスケールが大きい舞台設定です。
時は清朝末期。つまり日本が日清戦争に勝利し、
最後の清朝皇帝と言われた溥儀(ふぎ)と
日本人絵師との交流を軸に物語が進みます。
皇帝とはいえ、その威光は旧清朝にのみ通じる
のであって、紫禁城に幽閉されているような
立場です。それゆえ人としての感情や振る舞い
に拙さがあった皇帝ですが、日本人絵師との
交流により、「思いやりとは」「友情とは」という
感情を芽生えさせます。
そこに事件も絡まって、読者はより物語に
入り込むことができます。
「ラストエンペラー」を感じる一冊です。 -
Posted by ブクログ
中国生まれの青年、一条剛。
廃帝となっていた清朝最後の皇帝愛新覚羅溥儀の水墨画の帝師として紫禁城に招かれるも、実際の目的は別のところにあり・・・
皇帝として、自分に仕える者たちとしか触れ合うことがなかった溥儀は人の痛みが分からない傍若無人な少年として登場するも、
剛という意のままにならない日本人と過ごすことで成長していく。
二人が友情を育みつつ、紫禁城で次々と起こる事件を解決しながら進んでいく物語。
光緒帝と西太后の対立、
第二次世界大戦に突入せざるを得なかった日本側の事情など、
歴史の教科書には記載されていない心情面の部分を知ることができたことで
どちらが悪だとか、傲慢や愚かさゆえに、といった、
偏った認識を自分が持っていたということに気づかされました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルから、皇帝が探偵役となって難事件に迫っていくものかと思ったら、意外にも最近流行り?の日常系も含むミステリー連作短編。嫌味な宦官(後に良い面もあったと判明)の殺人、前帝の龍の絵に目が書かれる事件、少年宦官の喋れなくなった理由、水墨画の得意な青年宦官の殺人という事件を解決。ちょっと中国史の勉強にもなった。
皇帝は皇帝らしいふてぶてしい態度なのだけど、だんだんツンデレに見えてくる。一条殿はやたら有能だと思ったらスパイだということが発覚、ワンダーは常に怪しいけどやっぱり仏?と思ったら色々な面で戦犯だし殺人犯だった。
ラストはこんなにバッドエンドで良いのか。史実に繋がるようにしなければいけないのだろうけど、皇帝にはもうちょっといい結末を用意してあげて欲しかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ結末が切ない。何も説明せずに去る主人公とその後に龍と犬が寄り添う水墨画を見つけた皇帝。自問自答を繰り返したであろう皇帝の心中を思うと辛い。
本編は短編連作のように一つの章で扱った謎が絡み合って繋がって行く。舞台が舞台だけに政治が絡まない訳ないのだけど、一見そうと見えなかった謎が最終的には全部政治的に絡め取られてしまう。フィクションとは言え実際に存在した人物、時代を扱っているので、そうなってしまうのかと嘆息。耳慣れない外国名で冒頭こそなかなかすんなり頭に入ってこないが、段々と登場人物達に愛着が湧いてくるだけにこの結末は寂しい。
廃帝、宮廷、宦官と特殊な舞台にとても興味を唆られた。