あらすじ
2026年第24回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作
紫禁城で起こる密室殺人事件に溥儀と日本人絵師が挑む!
身分も国も超えた人々の友情×歴史ミステリー
選考委員絶賛!
「この時代のこの場所をピンポイントで選んだ着眼点はすばらしく、たいへんユニークな歴史ミステリーに仕上がっている」大森望(翻訳家・書評家)
「過酷な運命を強いられた少年廃帝と異郷で孤立しがちな若き日本人画家の絆が育まれていくありさまが素晴らしい」香山二三郎(コラムニスト)
「当時の紫禁城を知らない読者とほぼ同じ目線の主人公のため、物語世界に入りやすい」瀧井朝世(ライター)
(あらすじ)
1920年、中国。北京在住で日本人絵師の一条剛は、紫禁城に住む廃帝・溥儀に水墨画の師として雇われた。しかし溥儀には、城に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売却し、清朝復興のための資金を調達する目的があったのだった――。
使用人の宦官のひとりが密室で不審死を遂げた事件を皮切りに、龍の絵に何者かの手で描き加えられていた目、ある時を境に感情をなくした宦官など、一条はさまざまな謎を少年廃帝とともに解き明かすことになる。立場を超え、ふたりの間には徐々に友情が芽生えていくが……。
【著者について】
犬丸幸平(いぬまる・こうへい)
1994年、大阪府箕面市出身。神奈川県川崎市在住。京都産業大学英米語学科卒業。在学中からバックパッカーに夢中になり、中東、南米、アフリカなどを中心に約40ヵ国を訪問。現在はパキスタンで絨毯の買い付けなどをしている。趣味は筋トレ。推理小説を読むきっかけになった漫画『名探偵コナン』の連載開始年に生まれ、誕生日は5月7日(コナン)。
感情タグBEST3
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中華民国時代の中国を舞台の物語。皇帝の座を追われた「廃帝」と「日本人画家」が紫禁城の中で起こる様々なミステリーを解決していくストーリーが面白い。物語が進むにつれて変化する2人の関係性にも注目だ!そして最後がちょっぴり切ないという…。
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(あらすじ)
1920年、中国。北京在住で日本人絵師の一条剛は、紫禁城に住む廃帝・溥儀に水墨画の師として雇われた。しかし溥儀には、城に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売却し、清朝復興のための資金を調達する目的があったのだった――。
使用人の宦官のひとりが密室で不審死を遂げた事件を皮切りに、龍の絵に何者かの手で描き加えられていた目、ある時を境に感情をなくした宦官など、一条はさまざまな謎を少年廃帝とともに解き明かすことになる。立場を超え、ふたりの間には徐々に友情が芽生えていくが……。
紫禁城で起こる事件に、身分も国も超えた友情×歴史ミステリー!!2026年「このミステリーがすごい」大賞受賞作!!
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既に何作も世にベストセラーを送り出した作家の作品と言われても疑わない、素晴らしいミステリだった。
作中に漂う哀愁や切なさは、この著者の特徴なのだろうか。
それについては次作以降も注目したい。
ラストエンペラーとして日本でも広く知られている溥儀や清朝が崩壊した後の紫禁城の様子、そして宦官についてなど、ミステリの要素以外にも、大いに楽しませてくれた。
それにしても、切ない…。
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【“空っぽの最後の皇帝”に芽生えるもの】
舞台は1920年の中国。北京在住の日本人絵師・一条剛は、紫禁城に住む溥儀に水墨画の師として雇われる。目的は、清朝復興の資金を得るための贋作制作だった。
権力も金もなく、さらには人としての感情すら欠落している溥儀と、一条という異色のコンビが、紫禁城で起きる様々な事件を解決していくストーリー。
謎解き自体はテンポよく進み、当時の国際情勢も適度に織り込まれているため、全体を通して読みやすい。(※因みに清朝側の登場人物は似た名前が多くて、やや混乱しやすい)
物語が進むにつれ、溥儀の人間性は少しずつ揺さぶられ、次第に“人間らしさ”が芽生えていく。しかしその裏では、彼の側近や日本側の思惑が複雑に絡み合うことになる。
人間性が芽生えてくる微笑ましい部分と、国や権力に関わる陰謀が渦巻く不気味な違和感が独特の余韻を残す一冊だった。
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紫禁城を舞台にした歴史と、友情と、時々ミステリー。
日本人の主人公目線で物語が進むので、特殊な宮廷内のルールも(比較的)飲み込みやすく解説してくれる。
唯一覚えづらかった中国の人名も、各々の性格が分かりやすく『この人はこういう人』と、混乱することはなかった。
章が進むごとに人間関係が進展して、登場人物達のことがどんどん好きになってくる…けど。
清朝の行く末を知っていると、読み進めるのが楽しくもあり、寂しくもあった。
ラストエンペラーの映画を見た時、この中に孫犬が居たら…と妄想してみるのも良いかもしれない。
全体的に読みやすくサクッと読めてしまうのでお勧めです。
Posted by ブクログ
タイトル通り溥儀と交流を持つ一条剛が語り手です。産婆である李美玲に育てられた剛は日本語も中国語も同じように話すけれど、中国ではやはり日本人として、敵視される。水墨画を嗜むことから溥儀の教師として召し上げられるも、役目は紫禁城にある水墨画の贋作を作り資金を得ることだった。
紫禁城で溥儀と少しずつ打ち解けながそこで働く太監(宦官)たちとも交流していく。そんな中いきなり宝物殿に死体があったりと、事件が起きていき、一条剛が探偵となって解決する、という流れ。ミステリとしての本作より、もしかしたら、あったかもしれない物語としての面白さを感じました。当時の日本と中国、廃れ行く中国の皇室、宦官という制度などが歴史的にハッピーエンドとはならないであろう結末にむけて流れていくところが良かったです。
死体が結構でてくるのと、宦官の描写が痛々しいので中学校以上。
Posted by ブクログ
1920年中華民国建国後の紫禁城、廃帝と日本人水墨画家が様々な事件に挑む #最後の皇帝と謎解きを
■あらすじ
1920年、中華民国が建国。清朝の皇帝であった溥儀は廃帝となり、紫禁城に居座っていた。北京在住の日本人、一条剛は溥儀に水墨画の先生として呼ばれるも、実際は清朝復興の資金調達ために紫禁城にある水墨画の贋作づくりとして駆り出されたのだった。
ある日、紫禁城で宦官のひとりが殺害されてしまう。一条が事件解決に乗り出すと、溥儀も彼に興味を持ち始め…
■きっと読みたくなるレビュー
面白いし、学びになるし、まとまってるし。新人先生とは思えないバランスの良さですね。
なにより舞台設定が素晴らしい。時代が変わろうとする歴史に隙間に焦点をあて、それぞれの立場の人間を描いていく。そこには野心や業、複雑な人間関係がある。次々起こる事件をとおして、彼らの心の裏側が解き明かされていくのです。
物語は1920年中華民国建国後の紫禁城が舞台。前清朝時代の若き皇帝溥儀(15歳)と彼に仕える宦官たちに起こった事件を、日本人の水墨画家一条剛が解決していく歴史ミステリー。全四作の連作短編です。
中国の歴史において、なにかとよく小説やドラマの題材になる宦官や後宮。本作も宦官が多く描かれていて、彼らの価値観や暮らしぶりを知ることになる。
知ってる人も多いでしょうけど、宦官になって皇帝にお仕えするためには、まず男性器を去勢しなければなりません。当時はそれでも宦官なりたい人は多くおり、宦官になってもそこからまた出世レースですよ。現代では考えられない価値観ですよね。
また近代中国の歴史、エピソード、四文字熟語などをしっかりと取材されるんすよ。へー、へー、へーって学ぶところも多い。楽しみながら歴史を学べるってのも読書の魅力ですよねー
そして何よりキャラクターですよね~ 主人公一条剛、皇帝の溥儀、宦官たち。ひとりひとりの立場を切り口にて、人間性まで上手に表現されてる。台詞や感情の書き方がシンプルかつ分かりすーい。
さらに本作は基本的には一条剛の視点で物語は進行するんですが、各章の最後に溥儀視点での日記が挟まれる。皇帝が言いたくても言えない本音がこぼれ出て、これがキュンキュンと読者の心を掴んでくるんすよ、この構成はしてやったりですね。
ちなみに、この溥儀がどう成長していくか、人間関係が変わっていくかってのが一番の読みどころすね。歴史小説を読むといつも思うことがある。庶民は庶民で生きるのに必死だけど、トップの人なんか生れ落ちてなにも自由なんてないし、大概悲惨だよなって感じます。
本作は映像化やアニメ化なども実現できそうですよねー、ぜひお願いしたいです!
■ぜっさん推しポイント
殺人事件や水墨画の改変の謎など、ミステリーとしても楽しめました。特に最終話の謎解きは、この作品を上手にまとめあげてますねー。重々しくならずも、しっかりと歴史ミステリーになっていて納得感も十分だし、エモさも抜群でしたよ!
Posted by ブクログ
ミステリー大賞作品ということで読んだ。私の苦手な近代が舞台のフィクションだが、大変面白かった。
清や満州など、当時の状況も少し理解が進んだかもしれない。ミステリーとしても読みやすく、溥儀の人間性が少しづつ豊かになっていくところも、この先もっと読みたいと思えた展開でした。
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限定的な時代だからこそのそれぞれの思いや環境など細かい空気感が感じられる世界観と、それぞれの立場の考え方の違いが丁寧に描写されていて良かった。
Posted by ブクログ
第24回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
友情×歴史ミステリーということで、あまり読んだことがない感じなので、どんなもんかと手に取った。
舞台は1920年、中国・紫禁城。北京在住の一条は廃帝・溥儀の水墨画の師として雇われる。しかし溥儀には、城に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売却し、清朝復興のための資金を調達する目的があった。側近の一人が密室で殺された事件を皮切りに、ふたりはさまざまな謎を解き明かし、立場を超えた友情を育むが…
仕方のないことだけれど、中国人の名前が読みづらく、似たような名前も多いので、あれ?どっちだっけ?ってなる。途中から諦めて普通に漢字読みをすることにした。苦笑
あと、やっぱり多少は中国の歴史を知っていた方が、より楽しめるんだろうなとは思った。
それでも物語としては面白く、傍若無人な廃帝・溥儀が一条との関わりを通して、人として成長し友情を育んでいく様には思わずホロリとさせられる。ミステリとしても、ほどよい謎が連作短編的な感じで引き込まれた。
溥儀の「友情とは?」という問いに、翁徳とジョンストンの答えに共感。
翁徳
「お互いの意見に耳を傾けようとする気持ち、でしょうか」
ジョンストン
「人と人とのあいだに生じる、心を許せるという感情です」
ラストは意外な展開もあり… 切ないけれど読後感は悪くない。
Posted by ブクログ
2026年第24回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作。王様のブランチでも紹介されて興味を持った一冊。
舞台は1920年の北京。廃帝となった溥儀と日本人絵師一条剛が紫禁城内で起こる殺人事件に挑む。溥儀と言えば映画「ラストエンペラー」。幼くして母親と引き離され、皇帝となった彼は誰からも怒られることなく、愛情や友情を知らない青年になっていた。ところが、一条と殺人事件を紐解くという交流を通して、はじめて友達という概念を知り気持ちの変化に気づく。ところどころに差し込まれる溥儀の日記が素晴らしい。
この本は、殺人事件の解決だけではなく、人間に必要な愛情や友情も丁寧に伝えている。
また中国独特の考え方、ここでは「宦官」について背景を深く知ることもできた。纒足も漢民族独特のものであったことも。漢字も多く、登場人物も多いが、字が大きめなので読みやすかった。
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悪くはない作品だと思う。
けれど、物語に最後まで入り込めなかったから、全てが一本の線に繋がっても、「ピンと来た!」と言うよりも「ふーん……」と言う感想で、それが惜しいなと思った。
でも、全体が見えると上手いなと感じたので、⭐︎は3ではなく4にしました。
Posted by ブクログ
歴史は苦手で、中国の歴史となると尚更苦手意識が強かったが、この物語は面白く読んだ。
日本人絵師の一条剛は紫禁城に住む廃帝溥儀に水墨画の師として雇われる。
紫禁城で起きる事件を一条と溥儀は解き明かしていく。いつしか2人の間には立場を超えた友情が芽生えていくのだが。
最後一条と溥儀の別れの場面は悲しかった。
溥儀が唯一の友人と認めたのが一条だったのだと思う。
一条が描き残した絵に、一条の本当の思いが込められていたのだと思った。
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心優しい宦官、翁徳。日本人に嫌悪感を抱いている宦官、宝徳。皇帝でありながら15歳で思慮の浅い溥儀。こういった人間の関係性が事件を追うごとに目まぐるしく変化していく。ミステリーの醍醐味だと思った。
日本人絵師の一条剛は贋作づくりのため紫禁城に出入りするようになる。贋作づくりは溥儀の復辟を目的とした資金集めのためのもの。溥儀自身は日本人を好ましく思っていないが、復辟のために嫌々、剛に出入りを許す。
最初こそ毛嫌いしていたものの宦官とは違う接し方や態度に徐々に心を許していく。剛に「孫犬」という字をつけるなど友人といえる関係にまでなる。
この作品は溥儀が皇帝でありながら15歳であることを思い出させるシーンが散りばめられている。授業を休むために人の命を軽々しく扱うシーン。翁徳のことを気遣い涙を流すシーンなどだ。また章ごとに溥儀の日記が挟まれていて15歳なりの葛藤や幼さを垣間見ることができる。
この15歳で幼い感じ、若干思慮の浅い描写が物語の中核を担っているしラストに繋がる。
最後はどんでん返しで全てが回収される。皇帝でありながら何も知らなかった溥儀のことを思うと心が締め付けられる。
本としての面白さももちろんあるし、中国の視点からの満州事変を知ることもできる。中国語の単語が豊富に使われており読みにくさはあるかもしれないが、中国語の読み方に拘泥しなければ幾分か読みやすくなるはず。自信をもってお薦めできる一冊。
Posted by ブクログ
数奇な運命と大人の事情で知り合うことになった、剛と溥儀。様々な事件を乗り越えて、互いが真の友情を抱く。が、本当の友情を守るために剛は溥儀の前から身を引く、本当の気持ちを水墨画に込めて。悲劇的な最期を回避するために。国も身の上も全く異なる2人の青年が事件を通して理解し、真の友人となっていくプロセスが良かった。推理よりもこちらの方が、そしてその最後の結末が気になって読み進んだ気がする。最後の章の溥儀の日記が泣かせる。
Posted by ブクログ
かすかに覚えているだけの歴史の記憶をくすぐられ、落ち着く言葉遣いでするすると読んでしまった。
読み終わった時、カフェでなければ涙が出ていたと思う。情に弱いんだ。
いくつかの事件が起きるが、当然真実は解説までわからなかった。わかるものなのだろうか。
読書歴がとにかく浅いのでこのように感情が揺さぶられるミステリーが一般的なのかわからないけど、とにかくこの本を読めて良かった。
Posted by ブクログ
この時代、中国の歴史は、まったく履修していなかったので、恐る恐る読み始め。
聞き馴染みのない単語、ルビがないと読めない名前たち。なので、ニュアンスで読む。
知らない事だらけなのに、なんだろう。すごく読みやすい。
するすると頭に入っていくのが心地よく感じる。
最後の皇帝と日本人の青年。
だんだんと変わっていく関係性と成長具合が、微笑ましく感じた。
「友達ではありません。」どんな気持ちで発したんだろう。
せめて絵の中では友人として隣に。
この時代、溥儀という人と取り巻く環境に興味が湧いてきた。
Posted by ブクログ
浅田次郎さんの「蒼穹の昴」から続く長いシリーズを読み続けている。NHKBSでの放送も観た。だから、清朝の終わりについての知識はある程度あると思う。
映画「ラスト・エンペラー」は見ていない。
読み始めて、まあ、軽い読み物かなと感じた。紫禁城がイメージの中に建ちあがらないなあと感じた。そりゃあ、浅田先生の筆力と較べちゃ悪いよね。
だけど、読み進めていくと、溥儀の孤独や宦官たちや中国の庶民の苦しみが沁みてきた。
この本では溥儀は15歳。残酷で傍若無人な溥儀が段々主人公と心を通わせ、人の死に涙するようになっていく辺りは引き込まれた。
終盤は、それまでの理解を突き崩していく展開。読者をミスリードしていく巧さはあることは認める。「このミステリーがすごい」大賞に値するのは認めるよ。
だけど、すっきりしない。
「陛下は、絶対皇帝にならねばならないのです」。この言葉は、友情に対する裏切りではなかったのか。その後の展開は、チョッとの救いかなと思うけど、歴史の必然は動かせないし、エピソード含めて哀しい物語だったと思う。
Posted by ブクログ
中国名や文化に馴染みがないために、序盤は少し読むのに苦労した。でも途中から時代背景もみえてきて、そこに謎解きがからみ面白くなってきた。
各章の最後に溥儀の日記があって、そこから段々と人間らしさが滲み出てくるのが良い!
ちょっと切ない結末ではあるけど、悪くない読後感。
Posted by ブクログ
舞台設定だけは素晴らしかった。
全体的に、感じたのは面白さのバランスが均一な点。
これは武器であり敗因。
2章まではとても面白いが、章を重ねるごとにマンネリ化してくる。
終盤で思い切って、溥儀と一条の関係に目を向けさせれば良かったのにと少し残念に思う。
とにかく、陰謀的な視点の向け方が秀逸で面白いことに変わりはない。
Posted by ブクログ
謎解き自体はそこまで斬新なものはなかったんだけど、この作品の時代背景とか、登場人物達の思惑とか、その中で育まれていく友情(でも読み進めていくうちに、果たして友情は存在してたんだろうか?っていう疑問含め)とかが、良い感じに凝縮された作品でした。謎解きと世界観がマッチしたら、そこまで難しくない謎解きでもこんなに面白い作品ができるんだ!と感動。最近読んだミステリー小説って、「この知識知らないでしょ?」みたいなのが多かったので、久し振りにミステリー小説を読んだ気持ちになれた。面白かったです。
Posted by ブクログ
3.8くらい
映画「ラストエンペラー」が好きなので、何となく読んでみたら、思いの外面白かった。
ミステリーそのものよりも皇帝と主人公の心の交流という物語として読んだ方が楽しいかも。
Posted by ブクログ
第24回このミス大賞受賞作。清朝時代(厳密には中華民国の建国後だから清朝滅亡後なのだけど)の中国を舞台にした歴史ミステリー。ただ、物語の主題はミステリーよりも廃帝・溥儀と日本人絵師の友情に置かれている。なので斬新なトリックを期待すると肩透かしを食らうかも。謎解きを通して友情が育まれていく過程を楽しむ一冊。
Posted by ブクログ
第24回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
1920年、中国。北京在住で日本人絵師の一条剛は、ある目的のため、紫禁城に住む若き廃帝・溥儀に水墨画の師として雇われる。
ある日、使用人の宦官のひとりが密室で不審死を遂げた事件を皮切りに、数々の謎を一条は少年廃帝とともに解き明かし、ふたりの間には徐々に友情が芽生えていくが…。
中学生の頃、『ラスト・エンペラー』を読んだ記憶はあるけど、内容を全然覚えてなくて、清朝の文化、歴史について再認識した。
似たような漢字の名前の方が多く出てくるし、宦官について、現代の人たちには理解できない方が多いと思うから、好き嫌いがはっきりする作品かなと。
私もどちらかと言えば、中国文化にはあまり興味がないので、登場人物の名前や紫禁城に仕える役職を覚えられず、何度も最初の登場人物欄を見て確認した。
歴史に翻弄され、友人や感情を読む力のなかった溥儀。各章の最後にある彼の日記は心の変化がよくわかり、なんだか切なくなってしまった。
Posted by ブクログ
2026年の『このミステリーがすごい!』大賞だったので。
清朝最後の皇帝、溥儀。
退位後も清朝復権を望みその資金を得るため、
紫禁城内の水墨画の偽物を作ろうとする。
そのために呼ばれたのが、日本人絵師だった。
折しも宮中で起こる殺人事件、
死体発見に立ちあってしまったため
(実際には血を見て倒れただけだが)犯人を捜すことになる。
なにかに似ているなと思いながら読んでいたが、ミイラの話だった。
同じくこのミスで大賞をとった「ファラオの密室」。
舞台設定は素晴らしい、大賞もとっているしと、
期待に胸を膨らまして読んだがいまひとつだった、という感じが似ていた。
何を期待していたのか。
新しい国、中華民国と古い清朝のせめぎ合いに、
日本も含んだ西洋諸国の覇権争い、
宮中の宦官たちや妃たちの権力闘争、
宝物の奪い合いといったあたりだと思う。
まとめて言えばもっとドロドロとした感じ。
清朝界隈の情報が既知なものだったのも、
謎解きが肩透かしだったのもいい。
だが、
最後の皇帝と日本人絵師の「友情」とやらが感じられなかった。
溥儀が日本人絵師につけた名前「孫犬」は、
溥儀にその意図はなかったとしてもいわゆる蔑称だと思うのだが、
それをあっさり受け止めてるあたり意味がわからない。
廃帝の戯言だと思って流しているのか、
蔑称を与えて喜んでいる溥儀を哀れんでいるのか、
名をいただいて喜んでいる訳ではないと思うのだが。
そこが引っかかって二人の関係が素直に受け止められない。
ミステリーに対して、ほぼいちゃもんなのはわかっている。
が、四千年の歴史を持つ中国文明、そこにおける「文字」の重みは
こんなものではない。