アグスティナ・バステリカのレビュー一覧
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ネタバレパンデミックにより動物がほぼ淘汰され、人間を食肉用として家畜化することが合法化された近未来、食肉処理会社で働く男の姿を通して描かれたディストピアSFホラー。常識、倫理観、感情を激しく揺さぶられる一作。
動物感染症の蔓延によって畜肉の食用が不可能となってかつてない食糧危機が世界を襲う。動物性蛋白質を求めた一部の間で移民や貧民を狙う人肉の闇取引が横行する。食肉需要を充たそうとする圧力に押され、食肉用としてヒトを飼育・繁殖・屠畜することが合法化され、それらのヒトは〈頭〉と呼ばれていた。主人公マルコスは〈頭〉を解体し加工した〈特級肉〉を卸す食肉処理工場の重役だったが、待望の赤ん坊を喪い、妻とは距 -
Posted by ブクログ
人肉を食べることが合法化された世界で、食糧となるために生まれてきた人間と、そうではない人間を分けるものは何か。そんなことを考えた。
人肉が食べられる状態に加工されるまでの過程は、今まで自分たち人間が鶏、豚、牛などの動物にしてきたことと全く同じように描かれている。食糧となるために生まれ、肉が美味しくなるような餌を与えられ、状態を管理され、一定の基準に達したら血を抜かれて内臓は抜き取られ、部位ごとに体を切り分けられる。これが人間が動物たちにしてきたこと。いざ人間がその対象になると、その全てがおぞましく思える。
動物の場合と唯一異なるのは、食糧となる人間と、そうではない人間とで生殖ができること。 -
Posted by ブクログ
ネタバレウイルスに侵されたあらゆる動物が殺戮された世界で、タンパク質摂取のために人肉食が合法となる。
食用として家畜化された人間の解体処理工場で働く主人公のマルコス・テホのもとに、取引先から自家飼育用〈頭〉のメスが贈られてくる。家畜の奴隷化・性交渉は禁止されているが、彼はそのメスを孕ませてしまう。
暖かく快適な暮らしをメスに与え、慈しんで暮らすようになるが、思い出されるのは以前授かったが亡くなった赤ん坊と、そのことにショックを受け実家に帰っている妻のこと。やがてメスは臨月を迎えるが……。
という、だいぶショッキングな内容。カニバリズムを題材にした究極のディストピア小説だけど、人間は日々これと同じこと