アグスティナ・バステリカのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人間以外の動物が謎のウイルスに感染し、肉が食べられなくなった世界。動物性タンパク質を摂取するため、「人肉食」と呼ばれる人間の肉を食べることが合法化されている。
主人公は食肉処理工場の管理職として働いていたが、人間が人間を食べることが当たり前となったこの世界に、どこか後ろめたさを感じていた。そんな中、家畜化された人間のメスとの出会いをきっかけに、さまざまな葛藤を抱えていく。
内容は非常にセンシティブでグロテスク。割と耐性があると自負していた私でも、思わず目を背けたくなるような描写が多かった。読むなら、体調の良いときのほうがいいのかもしれない……。
ただ、単にグロテスクなだけの作品ではなく、読んでいるうちに「人間が動物の肉を食べる」という、現実の食肉文化についても考えさせられた。
現代社会でも、私たちは動物を家畜化し、食肉として加工して口にしている。立場が人間から動物に置き換わっただけで、果たして何が違うのか。そんなことを考えながら読んでしまった。
そして何より、ラストがとんでもない展開で、読んでいて思わず声が出てしまった。ここまで読んできたからこその衝撃というか……本当に驚いた。
グロテスクな描写はかなり強烈だけど、それだけでは終わらず、食べることや命についても考えさせられる作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごい、、、うわあ、、
ホラーは苦手なほうで、『食人』と聞いてかなり身構えたけど、“動物感染症により畜肉が食べられなくなった世界”と聞いて、一般社会を生きる人の心にフォーカスされた話かも…と興味が湧いて読んでみた
本を閉じると頭が痺れるほど残酷な描写もあるけれど、ただの残酷なホラーじゃない。
変わってしまった世界を生かすための制度と人々の営み、心の葛藤が冷徹な文章の中に見え隠れしていて、読む手が止まらなかった。
人を食べられるなんて…屠畜なんてありえない…とは読んでいて考えつつ、普段から食べている肉はその過程を経て自分のもとに届いてるんだなと思うと、人間は残酷な生き物だ…ただそれでも肉は美味いんです…
最後の一文。衝撃。
『家畜なのに、人間みたいな目をしてた。』
そうだよ、ここまで人間は家畜に対して、食肉に対して冷徹で割り切った気持ちを抱いているじゃないか、、、 -
Posted by ブクログ
───彼は、皮肉なものだとつい考える。肉が肉を食うなんて。
動物の感染症により畜肉が食べられなくなり、人肉食が合法化された近未来を食肉処理工場に勤める男・マルコス視点で描いたディストピア小説
淡々としていて温度の低い文体がこの物語にあっていて、ストーリーも文章もとても好きだった。
なんといっても、ラストシーン。鮮烈。大傑作。
幼い頃わたしは「人間はなんで食べられないんだろう?」とおもっていて、そこからカニバリズム等の話題は未だに好きなのだけれど、これは素晴らしかった。
屠殺という行為を人間以外の動物から人間に置き換えただけなのにこんなにも異常で歪んだようにみえるのは私が人間だからだし、こんなにも考えされされるのも私がカニバリストでもヴィーガンでもない食肉をする人間だからなのだろう。
それにしても邦題めちゃくちゃ洒落ててかっこいいよね…… -
Posted by ブクログ
人間が食料にされる設定って、「食糧人類」とか「狂鬼降臨」を思い出すんですが、こちら2作は、今現在自分が生きている倫理観を崩すことなく、奇想天外なフィクションとして読むことが出来きましたが、この小説だと、食人が当たり前で、食料とされる人(頭)は人間ではないからどう扱っても良い、という考えが当たり前として話が進む。
この両者の違いに思いっきり脳がバグるというか、理解するのを本能で拒否するというかなので、中々にメンタル削られました。
各章が数ページの短さだったのが本当にありがたかったです。
動物すべてが憎しみの対象となっているのも結構しんどかったなあ。犬が殺される描写はもうすっ飛ばしました。
この物語が酷く不穏に感じるもう一つの理由としては、世界観が決して絵空事ではない気がするからかなと。
食人制度導入直後にあった罪悪感や嫌悪感があっという間に消え去ってしまうところとか、みんな食べてるからいいよね!的な流されっぷりとか。
食人制度ではないけれど、例えばナチスの時代とかルワンダの大虐殺とか、今でいうとガザ侵攻とか。
正しいという理由付けがあれば、人間何でもしちゃうので、ありえないような極端な状況になろうと現実になってしまうことを知っているだけに、フィクションだと思えないところがすごく怖い。
食用の人(頭)が加工される過程を懇切丁寧に描写していてるところは、映画「ホステル」を思い出しましたが、
映像化したら、ゴア描写は多分こっちの勝ちじゃないかな(笑)
ただこれ人間だからグロい気がするだけで、牛豚鳥さんも同じように殺されているわけだから…と思うと、そうグロに感じないところは、己の感覚も主人公たちとあまり変わらないのかしら、とも思ったり。
(でも動物の断末魔を聞いた後はしばらくはもの食えないですけど)
とはいえお肉大好きなのは変わらないと思うので、せめて死んでくれた牛さん豚さん鳥さんのために、残さず美味しく頂かせてもらいます。
そういえば、共食いが禁じられているのは倫理だけの問題じゃなくて病理的にも何が起きるかわからないからなのでは?と思うので、いずれ狂牛病のような予想外の疾患が起きたりする→食人を天罰だと思う人が出てくる→容認派と反対派で対立してやがて戦争勃発→結局人類滅亡的な展開もありなのかなぁ、などと勝手に思ったりしつつ読んでいました。
強烈なパンチの効いた小説なので、読む人は選ぶと思いますが、個人的には色々な意味で凄い満足度高いです。
ただ最後まで鬱々した展開なので、メンタル弱っている時には向かないかと思います。
休息挟まないと本のパワーに負けちゃいそうだったので、お口直しに小川洋子さんの「人質の朗読会」を並行して読んでました。
そのくらい重量級の本だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった。
とんでもなかった。
ラストがとんでもなかった。
ここからは個人的な考察になるが、主人公はジャスミンに服を着せたり、テレビを見せたりして一見、本物の人間のように扱っているが、それと並行してかれがペットに少し異常とも言えるような愛情を持っていたことが描かれている。
彼は、彼女を最初からペットとして、いや、もしかしたら自分の子供を産ませるだけの道具としてしかみていなかったかもしれない。
私たちは、常に動物などに対してひどいことをしているので、もしいきなり宇宙人とかに家畜にされてもなんも言えない気がしました。
妹との会話が印象に残りました。
また読みたいです。 -
Posted by ブクログ
肉は美し。あとがきにも記載があったが皮肉のよく聞いた題名だと思った。
有名な映画にもあるカニバリズムではなく、人間が人間を食べないといけなくなったという設定には背中がゾクゾクさせられた。主人公は食用人間を捌く側の人間でそれを生業としておこなっている。色んな葛藤がある中で、決断し実行する姿はなんとも言えない気持ちになった。その反面、やってはいけないことをあっさりしてしまうので、人間というものは理性にあらがえない生き物なんだなとも思った。
結末も背筋が凍る内容で思わず車内で「え!?」と言ってしまった。
ページ数は少ないが、とても内容の濃いSF/ホラー作品でとても考えさせられる作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレグロテスクな描写が多いのでグロが苦手な私は最初の方は手に力が入らなくなるくらいの不快感を感じたが、淡々とした描写で書かれているので気づいたらすんなりと読めるようになってしまった。
これが慣れかぁ…怖いよ~
マルコスがジャスミン(頭/家畜)の出産のためにしばらく会っていないかった妻を呼び出した時は「いや、都合よすぎだろ…奥さん可哀想やて今はジャスミンにお熱のくせに」と思ったが生まれた子に「僕“ら”の子だ」とか言い出してん???となってたらまさかの最後の一言。
読者の私と一緒に作中の人物たちに嫌悪感を感じてくれていたお前も“そっち側“だったんや…
マルコスに甘えて抱きついてキスをされる、寂しがり屋のジャスミンが脳裏にこびりついてるよ~どうしてくれるんだよマルコス!!
村田沙耶香さんが好きな人は多分好きだと思う
私がそう -
Posted by ブクログ
なんのジャンルになるのやら・・・
動物がいなくなった世界で"肉食"を求めた人類は共喰いを始め・・・それではいけないと、各国で人肉食を法制化した世界線の話。かつて豚や牛を食べていたように養殖された人を食べる・・・適応できない人が自殺したり病んだりで、残った人は受け入れている。おいしい、という表現がいつまでもイヤー!!
リアルな描写に胃がむかむかするが、いやいやいま我々が食肉しているのと何が違うんだろう・・・と思い至る。同じ形をしていても、違うものとキッパリ決められるのは、そういう価値観の世界で生きているから。そんなふうに人ってなれてしまうんだ。人間のそらおそろしさが満ち満ち溢れた小説だった。
ラストの書き方、好き。当たり前の世界にある無垢な残忍さ、サラッと終わるのが爽やかだなと感じた。
読後感が村田沙耶香さんの本を読んだ時と似てる(笑) ザラザラしたのが残る感じ。好きな方はぜひ! -
Posted by ブクログ
ずっと「この世界はあり得るかもな」と思いながら読んでいました。
ホラー小説と帯にはあるけど、どちらかというとディストピアSF小説。
ただグロテスク・胸糞描写満載なのと、犬をいじめ殺す描写があるので注意。
マルコスの最後の行動はかなり驚いたし、読んだ時は意味がよくわからなかった。
ただ、訳者あとがきにもある通り、ディストピアのシステムに迎合する狂気の妹マリサと対等な存在として書かれていたのかなと思ってます。
ディストピアの中でありふれたライフステージの不幸(認知症の父親、息子の死、妻との別居)に見舞われ、狂気に呑まれてしまったキャラクターだったと考えられます。
(何気に妻の最後のセリフ「子供をもっと産ませることだってできるのに」もかなり狂ってる気がします。この人もマルコスと同じで息子の死によって狂気に呑まれてしまったのかも…いや、小説の中でまともな人間はいませんでしたね)
ヴィーガンや昆虫食が流行り、人口爆発・食糧難・環境破壊が問題となる現代、このディストピアの世界はあり得る未来の姿だと感じました。
「この小説のように、人間相手に人は残酷になれるのか?」と言う問いがあるなら、私は「これ以上に残酷な結果になるだろう」と答えます。
同じ人間相手に差別し、いじめをし、虐殺できるのが人間の性です。
どんなに文化的、理性的、倫理的なルールが人々に染み付いても、「この人間は食肉用だから」「戸籍も持たない“頭”と呼ばれる存在だから」と論理を盾に非人道的なことができるでしょう。
印象に残ったのが、2部に書かれた狩猟家の話でした。
この話は最近世界が震撼したとある事件を彷彿とさせました。
あの事件も「食人があった可能性がある」と言われていましたが、結局どこまで真実だったのでしょうね。
小説の中で狩猟家が行ってたことは、もう現代でも行われている可能性があると思ってしまいます。
ひたすら狂気の世界を語られる中、どうしても現実と関係ないありえない世界の話とは思えませんでした。
どうかこの小説のような世界にならないよう、環境問題だけでも自分ができることをやっていこう…と思わされた作品でした。
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Posted by ブクログ
動物を媒介としたウイルスによるパンデミックが世界を変えた。
人類は生き残るためにペットも家畜も動物を全て殺処分し、摂取できなくなった動物性タンパク質が恋しくなり共食いをするようになり、合法的に人間を食べるようになる。
恐らく未来のアルゼンチンが舞台のディストピアSF。
主人公は、認知症の父親を介護施設で診てもらうために食肉処理工場の幹部を務め、つい最近幼い息子を亡くし、そのショックで妻は実家で療養している。
彼を通して見る世界は、灰色で、くぐもっていて、疲れきっている。
本書を読んでいくと、倫理観というのはただただその時生きている環境に左右されて生じているのだと感じる。人権という単語の概念が音を立てて崩れる。
様々に出てくる登場人物の中で、主人公はまともそうに見えるが果たして。
というか、まともとは。
ラストで主人公が発するセリフに、この世界のまともな人が抱く価値観の全てが詰まっていた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界観の設定が怖かったです。世界的に動物性ウィルスが蔓延して食糧危機に陥った世界です。舞台は近未来のアルゼンチンとされています。食糧危機になってしまい、人間も家畜化されて「人肉食」が世界的に合法化されています。その世界での話ですから、道徳的・倫理的な問題というのが出てくると思います。
この本を読み進めていくと、「食肉処理工場の人間」と「飼育場で働く人間」との関係が主に書かれています。それが面白いところがあって、最後の方になると主人公の父親(老人ホームで暮らしていた)が亡くなってしまうところもあり、いろんな意味で印象に残る小説でした。
「家畜」というレッテルを貼られてしまうと無意識な差別を受けるということがわかったような気がします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ翻訳ものは苦手なのにスルスル読めた。未来の人間を家畜とし育て人間の肉を食べることを合法化した世界。肉工場のマルコス・テホや、工場で働く人々が狂っていく様子が冷静に描かれ惨状が浮かぶのに読みたい欲が勝る。テホは子を失い妻と別居、父の介護費用に取り繕い屋の妹、様々の問題を抱えながら更に「頭(家畜化された人間)」を飼育せずジャスミンと名付け妊娠させる。そこから潮目が変わるのか、ではなく出産したジャスミンを「家畜なのに人間みたいな目をした」事で殺める。読みながらクールー病、狂牛病を調べた…ここまで日常とかけ離れると本当に読書で気分転換できる。
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Posted by ブクログ
けっこうグロテスク。動物虐待のシーンもあるので注意かも。
致死性のウイルスが蔓延し、動物の肉が食べられなくなってしまったと世界いう設定。カニバリズムなのだが、生きた動物を殺してその肉を食らうということを日々受け入れていた自分には強く刺さった。生物多様性や食糧難への備え等もろもろ考慮した上でヴィーガンを選択することはできるが、それはあくまでも後付けの言い訳でしかなく、美味しい美味しいと言いながら毎日食べる様々な肉について、私たちが行っていることを想像しながら食べるしかないという重みが残る作品だった。ディストピアSFと評されているが、これがSFではない人もいるんだよなと再認識。