梶原阿貴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ筆者の逞しさを強く感じた。
犯罪者の家族ってもっと大変で惨めなのかと思っていたけど、時代のせいか、筆者の性格か、あまりそんな印象を受けなかった。
役者をしていた父親の心理を考えるところでは、その時演じていた役にひっぱられて爆弾犯になったのかもしれないということに、また驚いた。
全編通して、筆者に共感する部分はところどころあれど、自分は圧倒的に被害者の立場からこの本を読んでいたことに気づく。
特に後半の、被災した宮城県の刑務所に知り合いを尋ねるところで「巡査部長が右目と左脚を失い、通行人12人が怪我をしているが、死人は出ていないのに、罪が重すぎるのではないか」と書いてあり、めちゃくちゃ引っかかってしまった。囚人に税金が使われていることも書かれてあって、確かにそうなのかもと思ったけど、右目と左脚失った人やその家族はそうは思わないだろうな〜と。
共感した部分も引っかかった部分も「おわりに」が良かったので読後は爽やかだった。 -
Posted by ブクログ
小説かと思ったら、フィクションではなく、題名のとおりの境遇の女性の自伝だった。
70年安保の翌年、清水邦夫作、蜷川幸雄演出の舞台「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」に3番手で出演した筆者の父親梶原譲二は、劇中の役をなぞるかのように現実世界で爆弾を仕掛け、親子3人での14年間の隠遁生活の後、自首して投獄される。
共演者には蟹江敬三、石橋蓮司、緑魔子らがいた。
筆者は父母の跡を継ぎ役者を目指すが、その時の助けとなったのは父母の演劇仲間たち。
高校で映画デビューし、その後もいくつかの映画に出演する。
父親が出所して数年で家族は解散!し、一人暮らしを始めながら脚本家への道を歩き始める。
アニメ「名探偵コナン」から始まった脚本家としてのキャリアは、その後2時間ドラマを経て映画に進出。
多数の脚本賞を獲得した「夜明け前までバス停で」には筆者本人と父親の経験が投影されていた。
本書の始めと終わりに出てくる、筆者が5日で脚本を書いたという「桐島です」は、父親同様組織の末端で爆弾事件に関与し、約50年に及ぶ偽名での逃亡生活に人生の大半を費やし、死の直前に捕らえられ、最期に本名を名乗った男の物語。
監督と相談し映画の核に選んだ言葉は「やさしさを組織せよ」。
父親の爆弾事件で桐島同様長年の隠遁生活を強いられた筆者のみが共感できる言葉だろう。
筆者は書く。
「5日で脚本を書いたというが、それに要した時間は5日ではなく、私の人生五十年です」 -
Posted by ブクログ
前半は、爆弾犯として指名手配され逃亡を続ける父をかくまいながら暮らしている少女時代の思い出が語られます。
何か大きな事件が起こるわけではありませんし、隠れ家で息をひそめて暮さなければいけない、というわけでもありません。筆者は学校にも通っていますし、母親は外に働きに出ています。
それでも、「普通」の過程とは異なる環境で成長したことは、父親がかつて劇団員であったことなども含めて、筆者の今の姿に大きな影響を与えているように思います。
筆者が自身の半生を語るモノローグですが、犯罪者の娘としての「生きづらさ」に焦点を当てている作品というよりも、それとともに自身の生活に大きな影響を与えてきた舞台演劇や映画などの芸能世界に関するエピソードも多く、「加害者家族としての話」を期待して読むと少し物足りない印象を受けるかもしれません。
ただ、親の影響で波乱万丈な少女時代を過ごし、また厳しい芸能界で生き抜いてきた筆者が「おわりに」で語る言葉は説得力がありましたし、多くの人が勇気づけられるのではないかと思います。