梶原阿貴のレビュー一覧
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フィクションと思って手に取ったら、本当の爆弾犯の娘の話だった。表現や洞察に新奇さはないが、極めて特殊な半生を送ってきた人の話なので、興味深く読むことができた。作者の母親がとてもおおらかで愛情深く、働かない隠遁する犯罪者を15年も支え続けて明るい家庭を維持し続けるつわ者で、当時の常識に囚われた娘の発言に「つまらない人間になってしまった」と言うような、自由な精神の持ち主だ。彼が犯行を犯す前に長く付き合っていたわけでもないのに、愛情か共感か責任感か、何を支えに苦難の道を選んだのかが娘の視点から描かれた本からは十分に理解できなかった。でも、『桐島です』の脚本に言及したこの本の最後の締めの言葉はものすご
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Posted by ブクログ
生まれた時から逃亡犯を匿う家庭で育つ体験は稀有だろう。稀有な体験は長く著者の記憶に残り、飽きさせない筆致が魅力。
つまり、類稀な家庭で育った文筆家の自伝なので面白いに決まってる。
父の奇妙な潜伏生活を母が支えるが、その全貌を娘には伝えない。娘の口から全貌が世間に露呈することを避けるためだろう。
秘密の露呈は家庭の破局を招く。小学生が秘密の全貌を知ることは破局を招く可能性を高めることは利発な娘もわかっていて、家庭と父の奇妙さを母に問いただすことを避け、家庭と父らの秘密保持に協力する。しかし、解明されない奇妙な家庭と父へのわだかまりは鬱積していく。
父が潜伏を終え服役したが、意思疎通が不十分に -
Posted by ブクログ
ネタバレノンフィクの自伝。
母子家庭だが家に謎の男の人がいる。12歳の小学生だが、物心ついた時からそんな感じ。名前もわからない。
鍵は母だけが持っており、家を出る時は男は部屋にいて、子は母の手芸屋に帰り、手芸屋から家に帰ると「おかえり、僕も今帰ったとこなんだ」「ただいま、お仕事お疲れ様」というやり取りが行われるが靴もないしトイレは流さないし電気も付けない。
稀に引っ越しを行う。友達を家に呼ぶことは禁止だし、警察署の前を通ることも禁止だし、音楽の教科書の君が代のページは破り捨てられるし、生年を昭和で答えるのは禁止。
家から出るのを見たことがなかったけど、リレーの練習に深夜公園で付き合ってくれたり、山 -
Posted by ブクログ
働きもせずに家にいる男は、一体何者なのか?なぜ引越しばかりしなくてはいけないのか?という少女の視点から前半は始まる。
父親が爆弾犯で、自分達は逃走しているとわかるが、前半は子供視点なので暗くなく、むしろユーモアに包まれた日常として描かれている。(ノーパン喫茶の前で皆んなで踊るとこは笑ってしまう笑)
途中、リバーフェニックス主演「旅立ちの時」を映画館で観て作者が「これ、私の話じゃん」と思うシーンがある。
「旅立ちの時」は1970年代ヴェトナム戦争反対の爆弾組織「ウェザーマン」がモデル。その「ウェザーマン」の家族が逃走しながら暮らしているのだが、リバーフェニックスはその暮らしに疲れているだ。
今 -
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強烈なドキュメンタリー。
題名のまんま。「あんた」の娘の自叙伝。
「明日の朝、私たちがいなくなっていても一人で強く生きていってね」
大変なことが起こった時にしか見てはいけないと渡されたお守りの中身に、こんなことが書かれていたら泣くしかない。まだ小学生だよ。事情もわからぬまま。
ただ梶原さんは、泣いたってしょうがないよ、とどこか客観的で、でも怒りを持ちながら、立ち回って生きていく。「あんた」と同じ役者として。
彼女とは同世代だ。歳を重ね、今充実の時なのかしら。学生時代の生活エリアがニアミスしている。必ず西武線のどこかですれ違っている気がした。
今まで存じ上げませんでしたが、今後も大活躍され -
Posted by ブクログ
父親は爆弾犯。いきなりハードモードであるが、語り口はポップで読み易い。そこは脚本家が故のスキルなのだと思われる。
夜の公園でリレー練習、くさや事件などハートウォーミングなエピソードの数々にニンマリすれば、映画好きとしては、コンプラ無視が当たり前だった頃の日本映画界をブッた斬る下りに唸った。
しかし、少女が成長すると共にダークサイドな一面が顔を覗かせ、家族という呪縛の解像度が高くなるわけで、やはりハードである。強烈。
物語の〆には、数奇な人生を体験してきた作者だからこその説得力ある文章にグッとくる。
無理だと思ったら無理をしない。環境や社会を言い訳にしても良い。やさしさを組織せよ。傑作です。