井上陽子のレビュー一覧
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デンマークで短時間労働でも経済競争力のある理由、仕組みを説明した前半もわりと面白いが、第3章以降の、著者が仕事との心の距離感をもがきながら調整していく過程が、本当に沁みた。
ワーカーホリック気味なところが自分にはあると感じていたが、この本を読んで、その理由は何か成果を出さなければ、役に立たなければ自分には価値がない、という強迫観念があったからだと気づけた。著者の心情そのものだった。
無条件の愛情、人の価値は条件付きじゃない、この言葉を体現してくれる人がいることに本当に救われる。自分は勉強を頑張るように母親から育てられてきたが、正直これが人の価値は条件付きだと思い込むようになった理由に思う。 親としては良かれと思ってのことなんだろうが、この呪いはなかなかしんどい。
今まさに自分の息子に中学受験をさせようとしている妻に、何と伝えればよいか。愛情から生まれた思いだとは思うのだが。息子に同じ呪いがかかるのは避けさせたい。
本の中でも書かれていることだが、成果を出さなければ自分には価値が無いと考えていると、成果が出せないときに本当に行き詰まる。 自分も結果を出せず、社内のポジションで同期と差がでてきて、行き詰まってしんどかった。 その時に、たまたま聞いたコテンラジオで、今の考え方、価値観はただほんのタマタマなものだ、ということを知れて、価値観の幅が広がり、ものすごく心が救われた。 それまで全く歴史に興味は無かったかが、新しい考え方を学べる面白さを知れて、そこから色々と本を読むことも好きになった。
これも本の中で書かれていたことだが、決まったゴールの達成だけを求めていると、それ以外のこと、例えば歴史を知ることや色々な考え方を知ること、全てが回り道に感じてしまう。
仮に自分は仕事で結果を出し続けられていたら、回り道をする余裕をいつまでたっても持てていなかったかもしれない。そういう意味ではラッキーだった。
成功のものさしがあいまいなのは、確かに良いことだと思う。勝手に決められたあるべき姿、ゴールへの圧力が周りから発生することが無くなると思うから。
日本がデンマークのような仕事以外の時間を大事にする考え方、文化になるにはどうしたらいいのだろう…。 -
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私たちと同じような働いていた日本人が北欧の働き方に合わせていく過程が描かれていた。
この本から印象に残っている事は、2つ。
まずは、幸せを感じることは、時間があるという認識を持っているということ。作者の井上さんも昔バリバリの働き者だったとか。それが抜けずデンマークに移住をして最初の頃は、日本の時同じように働いていたとのこと。しかし、夫やデンマークの人達は、必ず16時には仕事を出て、家に帰る生活をしていた。そのギャップに戸惑いながらもデンマーク人の価値観(自分の好きなことをするのが優先)つまり、デンマーク人の時間優先に触れながら時間を作っていく点が印象的であった。
2つ目は、余計な仕事は極力しないスタンスの大切さ。北欧の人たちは、基本なんでも意味のないのはか削減していく。例として、会議、勤怠管理、自分じゃなくよい仕事など。そういった物は減らして短期集約で、仕事をするあたりが今の日本の現状と比べてpositiveに動いてると思った。日本だと、様々な事をやって問題を解決しようとする。しかし、デンマークの人は減らして問題を解決しようとするあたりに違いがあるのかなと感じさせられる本でした。
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デンマークの上辺の仕組みだけでなくて、生活者たちのアイデンティティにまで迫っていてとても腑に落ちた。
人生をどう捉えるかから違うのであれば、それはもう日本でも実践してねというようなお手軽なHOWTO本にはできないのは納得。日本の編集者と作者が折り合いつかず、セラピーにまで通って、いまのこの本のかたちまで持っていけたのは作者の心が良かったからだと思う。義父の言葉が沁みる。
デンマーク人の暮らしぶりは、わたしのような突出した何かを持たない人間からすると、すごく羨ましくみえるのだけど、日本での実現は困難を極めそう…。というか、実際にサービス基準や家事基準とかが北欧レベルになったとしたら、自分でも思うところがたくさんありそう(待ち時間の長い医療サービスとか、合鍵を頼んだのに開かないとか)。
せめて心持ちだけでも真似したいと思う。
「あなたに価値がないって誰が言ったの。こどもにとってはあなたが全てでしょ。」
「仕事=あなたではない。それはとても危険な思想よ。あなたよりできる人が現れたらどうなるの?」
「やるべきこと(洗濯物)をやってから好きなことをやるのだったら、いつまでたっても自分の時間なんて取れないじゃないか」 -
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デンマークの労働スローガン「8-8-8」8時間の労働、8時間の自由時間、8時間の睡眠。タイトルの第3の時間とは、仕事でも休息でもない、自由時間のこと。税金はたくさん払うが、大学まで教育は無料、医療も無料。老後のケアにも不安がないとのことで、若者もデンマーク社会に対する満足感が高い。
「読んですぐ使える、デンマークの働き方の本」というリクエストに対し、デンマークの働き方を個人がいかに実践するかについて書いたとしても、それを支える仕組みがない読者には酷な話だし、効率や成果を求めるパフォーマンス主義を助長することになりかねない。そこまで考えているのにオーダーだからと自分に言い聞かせて本を書くのは無責任だとし、著者がデンマークで経験してきたことをもとにして書いた本とのことで、日本とは違うデンマークの社会構造から書かれている。
デンマークは、国全体の稼ぎがいいことが社会の安心感につながってると思いますね。どうして日本はそうならなかったんだろう。かつてはアメリカに追いつけ追い越せで、アメリカを追い越したんじゃなかったのか(今のアメリカと比べても仕方ないが)。デンマークは不況を背景に社会構造を変えてきたということだし、日本でも実現できないわけはないと思うのですが…国債を発行すれば金は用意できる(笑)まだ発行できるでしょう(笑)金ではどうにもならない部分もあるけど、この本にも、お金があってこそだとも書かれている。日本人だって、自由時間を確保した方がいいです。この3分割の考え方が日本でも浸透したらいいのにな。自由時間が増えれば生産性は上がるんじゃないだろうか。
1時間ほどカフェでコーヒー飲みながら読書(この本ではない)しましたが、勉強している社会人が多い。自由時間に勉強してるんですね。時間がなければ自分を変えられない、とこの本にも書かれていました。日本で自由時間を満足できる使い方をしている人はどれぐらいいるのでしょうか。大学に合格して学生になったら遊んで、社会人になってから必死に勉強するのもちょっと変な気がしますけど(人のことは言えない)。
別の著者の類書『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』も読んでいますが、8-8-8と自由時間についての著者の考察により、この本の方がデンマーク社会についてよりわかりやすくなっていると思います。 -
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とても興味深かったし参考になった。
デンマーク人は自分の人生をとても大事にしていて、とても豊かで幸福で楽しそう。本質的に何が幸福なのか、掴んでいるのかと思う。日本と比較して色々と考えさせられるところがある。
国の制度としては、デンマークは流動性が高い雇用市場とそのかわりの失業の際の手厚い国の支援により、企業の新陳代謝が生じやすく、雇用の安定を重視する日本よりも生産性が高いという点が示唆的だと思った。また、社会全体で短時間労働を良し・当たり前とする文化が根付いているところも、短時間高収入の働き方が実現できる要因という。凡人が総活躍しやすい社会と表現されていて、日本も参考にしていく必要があるのではないか。
デンマーク人の生き方としては、以下の点が特に面白かったし参考にしたいと思った。
☀︎今を生きている
☀︎第三の時間(家族、友人と過ごす時間や趣味の時間)を大事にしており、そのことが政治への興味の高さや一生を通じた幸福度の高さ、仕事の生産性につながっている
☀︎自分にとって大切なことを、第三の時間を必ず確保してやっていく
☀︎人を何をしたかで評価せず、存在そのものに対して感謝・評価する
筆者も指摘するとおり国の制度や文化が違うから日本でいきなりデンマーク人の働き方をするのは難しいと思うが、自分でなんとかできる仕事への取り組み方や自分の周囲から、少しずつ変えていけたらいいなと思った。 -
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▼読書前の自分の状態
ここ数ヶ月、
「既に満ちている感覚」や「余白」を大切にしたいと思う一方で、
長年染みついた「もっとやれる」「まだ足りない」が、ずっと身体の奥に残っていた。
成果・成長・価値提供。
それ自体は嫌いじゃない。
むしろ本気で向き合ってきた。
でも気づけば、
“今”を未来のための手段として使い続ける感覚にも、少し疲れていたのかもしれない。
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▼印象に残ったこと
・「時間の豊かさ」とは、自分にとって大切なことをやる時間が十分にある感覚
・「今という時間を、条件なしに楽しむことができなかったら、いつ本当に生きていることになるだろう」
・「ゴールポストを動かし続ける“成功地獄”」
・「存在するだけで、無条件の価値がある」
・仕事を「must have」と「nice to have」に分け、“あればナイス”をやめるという発想
・年齢により「流動性知能」が衰えても、「結晶性知能」と呼ばれる能力がついてくる。
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▼自分のズレ・違和感の可視化
特に刺さったのは、
“成果を出し続けないと価値がない”
という世界観を、自分がかなり深いところで生きてきたこと。
そして、
未来へ進む力はあったけど、
“今を生きる感覚”は後回しになっていたこと。
この本は、
「頑張るな」と言っているようには感じなかった。
むしろ、
本当に大切なものを守るために、
何を降ろすのかを問いかけられている感覚だった。
最近、自分が惹かれている
余白、家族、音楽、散歩、旅、アート、コーヒー。
それらは“生産性”ではなく、
「生きている感覚」を取り戻す時間だったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
何気なく本屋で見かけてタイトル買い。
デンマークの幸福度、デジタル化のランキングが高いのは知っていたので、読むまではきっと効率的なデンマーク流の働き方からの学び、みたいな話だと思っていましたが、内容はそんな事はなくむしろデンマークの人々の生活から筆者が感じた体験、そこから見えてきた日本人の働き方や人生の考え方の違い、社会性、国民を支えるシステム、時間という誰にでも平等なある種の力の使い方などを対比させながら人としての幸福ってなんぞや?という事が丁寧に書かれた示唆に富んだ内容でした。
決してデンマーク的な働き方を日本でやった方がいい、というまとめではなかったのが逆に新鮮。でもそこから自分自身の人生やワーキズムってどうだろう?と考えさせる1つのきっかけをもらえた一冊でした。
(1日を8-8-8の3分割して自分や家族のために時間を使う、仕事が生活・人生の中心ではない、というのが心に残った) -
Posted by ブクログ
日本で新聞記者として働き、アメリカに社会人で留学もしていた、日本でも猛烈に働く側の著者が書いた、デンマークの本。
子供ができて、これまでより仕事の時間をセーブしなければいけなくなって、会社の同僚上司からの扱われ方が変わって悶々としていた私に、「仕事の成果とプライベートの充実は両方手に入れていいんだよ」と言ってくれた本でした。
1人あたりGDPが世界1位という、デンマーク人に染み付いた強さを手に入れるには、私個人の努力だけではどうにもできないことがあるかもしれない。けど、個人の働き方だけでも変えて、残業しなくてもまわる世界があるんだよ、って背中で示せるようになりたいなと思ったのでした。 -
Posted by ブクログ
読もうと思ったきっかけは、「4時に仕事が終わるのにGDPも幸福度も高いデンマーク」という話に興味を持ったから。私たちは働く時間を減らせても、次は副業を考えたり、将来への不安からさらに何かをしようとしてしまう。デンマークの人はどう考えているのだろうと思い、この本を手に取った。
印象に残ったのは「8時間働き、8時間は自分の時間、8時間は睡眠」という考え方。私は仕事と家事と自分の時間の境界線が曖昧で、いつも何かに追われている感覚がある。自分の時間を確保したくて早起きしても、家事に飲み込まれてしまうことも多い。この本を読みながら、「時間の線引き」が幸福感につながるのではないかと考えた。
特に心に残った言葉は、「君が素晴らしいのは、良い心を持っているからだ」という考え方。頑張った成果や実績ではなく、その人自身の在り方を認める視点がとても新鮮だった。
また、「成功地獄」という言葉にも強く惹かれた。成功を目標にし続けると、達成してもまた次を求め、幸せを味わう暇がなくなる。私自身にも、何かを成し遂げていないと不安になる部分があると気づかされた。
そして一番響いたのは、「変化の激しい世界で正気と穏やかさを保つために、自分がコントロールできる最小単位である時間に耳を傾ける」という考え方だった。世界は思い通りにならなくても、自分の時間の使い方は選べる。もっと小さな幸せの時間を大切にしてもいいのかもしれない。
デンマーク流の答えが完全に理解できたわけではないが、「成功よりも時間」「成果よりも心」「忙しさよりも境界線」という視点を得られただけでも、この本を読んだ価値があった。
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Posted by ブクログ
読みやすく、参考になった。特に働きウーマンであった筆者自身の変遷を描くことで、日本人から見たデンマーク、デンマーク人のことがよくわかるように書いてある。
1日は寝る、働く、それ以外家族地域趣味の時間で8時間ずつという考えはシンプルである。共働き前提なので、子どもの送迎前提。しかも保育園の先生も8時間ずつの暮らしなので延長なんてものはベースとしてない。失業率を下げるためにも1人で長時間労働は望まれもしない。
パフォーマンスに価値、存在意義を重ねてしまう危うさ、評価、成果の偶然性などもわかりやすく描かれている。実力も運のうち。幸せは自分をどう位置付けるか。 -
Posted by ブクログ
いままでデンマーク関連の書籍をいろいろ読んだが、その中でも群を抜いてリアリティがあって一番しっくりきた。
読み終わってから涙がこぼれた。
社会の仕組みや文化や大前提が日本と違っても、それでも個人として主体的に豊かに生きるためにできることがたくさんある。
「人間らしく生きる」ヒントが詰まっていると思った。
北欧というと、ヒュッゲやフィーカみたいな、まったりゆったりなお茶の時間をイメージしてしまうけど、それはほんの一部で、それが成り立つ背景にあることを十分理解できる本。
仕事に人生を侵食されそうな頑張り屋の日本人すべてに読んでほしい。
生きる意味、目的を改めて自分自身に問うきっかけになると思うし、今持っているものすべてを失ったとしても、自分には価値があることを実感できると思う。