岸川真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
蹴る。底辺で這いずり回るようにしながらも生きることに執着しているような話でもなくて、ただ惰性で生きている、底辺で。そしてそこに付随する暴力、それ自体の得体が知れないカタルシスが諦念にまみれた人たちの悲しみのようですらあったが、ただその潔さというべきか、極限まで削ぎ落とされた言葉が小説にストイシズムを与えているように思えた。過剰な比喩を切り捨てることによってドライヴ感が生まれ、その奔流によって解放感が生まれる。物語は救いのないものなのに、読者はなぜか救われる不謹慎な作品。
PET。裸の中年男が高層ビルの上からペットボトルを投下して「来いよ来いよ」と言っている冒頭からして終末の気配が漂う。平凡 -
Posted by ブクログ
昭和40年代からバブル期まで貸金業に従事していた室井氏に、ライターがインタビューするという形式を取っている。会話形式で用語の解説がそれほど親切ではないため、正直言ってちょっと読みにくい。
内容とエピソードの大部分は、昭和58年の出資法と貸金業法の改正前のもので、現在の貸金業界の状況を知る上では、あまり参考にはならないかもしれない。
とはいえ、昭和40年代から現在までの業界の流れを知りたい人には有益だ。
なぜ消費者金融が一般大衆に広く受け入れられるようになったのか。
金利が下がったにもかかわらず、自己破産者の数が増え続けるのはなぜか。
こうした疑問の答えが、この本の中にある。