坂本湾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「BOX」を執拗に繰り返すタイトルは、陰鬱で湿気の多い宅配所の閉塞感、そこにある大量の箱の象徴なのでしょうか。本作は、宅配所で荷物の仕分け・管理に携わる4人を描く中編小説で、坂本湾さんのデビュー作にして文藝賞受賞作とのこと。
社会への鬱屈した思い、労働環境の糾弾を描いたものではありませんが、ベルトコンベアーの単純作業中の思考が、薄霧で人の輪郭も曖昧な環境と併せて、朦朧とした意識が徐々に人を変えていきます。
章立てもなく、急に4人の視点が切り替わり、特に終末では「私」の一人称が混在し、4人が閉塞感から解き放たれたのか、何事もなく元に戻ったのか、幻影を見ているようです。
本書を読みなが