坂本湾のレビュー一覧

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    霧に覆われた宅配所、箱がただの荷物ではないという特殊な設定が斬新だった。
    物語としては、登場人物の描き方がぼやっとしていて、誰が誰かわからなくなった。
    終わり方も曖昧で、もう少し何かあってもよかったのかなと思った。

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    2025年12月09日
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    ネタバレ

    霧がずっと謎だったんだけど、最後、意識混濁を強める意味だったのかと思い至った。安(主人公)が見ているのは全て通勤バスの中の夢なのか、それとも単調で孤独な仕事のせいで日々、いや時間の境目すら曖昧模糊になるのか。
    それから、安の想像力、箱の中身が見えないからこその彼のせっかくの想像力が、箱を開けて、しかも盗んで箱の一部を自分のものにしたことで、即物的なものしか思い描けなくなるくだりが面白かった。知ることの弊害ともいえそうで。

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    2025年12月08日
  • BOXBOXBOXBOX

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    110ページほどの短い本なのにずっしり重い。
    表紙のような奇抜な明るさは一切なく
    濃霧の中ベルトコンベアに流れてくるBOXの
    仕分け作業をする不穏な空気漂う話。

    一歩も二歩も引いて、もっと冷静な目で見てみれば
    毎日同じようなことを繰り返している生活は
    みんなにも当てはまっていて
    視野が狭くなってませんか?
    大切なものを見過ごしてませんか?
    ってことなのかな?
    これだ!と断定しない物語の結末は
    読み手によって捉え方が違うのも面白い。

    第62回文藝賞受賞作


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    2025年12月03日
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    第62回文藝賞受賞作。

    100ページほどで、非常に読みやすい。
    ベルトコンベアーがグルグル回るように、視点が四人の人物の間を移り変わり、最後は霧のように終わる。

    個人的には、学生時代のバイトを思い出した。
    工場での立ちっぱなしの流れ作業、休憩時間は誰ともほとんど交流なく、とにかく時間が進まない。
    耐えに耐えて、慣れてくると余計にキツくなる。
    霧もなく、盗んでも単体では価値もなく、すぐにバレてクビにはなっていただろう。

    軽作業は決して侮るべからず。

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    2025年11月30日
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     「BOX」を執拗に繰り返すタイトルは、陰鬱で湿気の多い宅配所の閉塞感、そこにある大量の箱の象徴なのでしょうか。本作は、宅配所で荷物の仕分け・管理に携わる4人を描く中編小説で、坂本湾さんのデビュー作にして文藝賞受賞作とのこと。

     社会への鬱屈した思い、労働環境の糾弾を描いたものではありませんが、ベルトコンベアーの単純作業中の思考が、薄霧で人の輪郭も曖昧な環境と併せて、朦朧とした意識が徐々に人を変えていきます。
     章立てもなく、急に4人の視点が切り替わり、特に終末では「私」の一人称が混在し、4人が閉塞感から解き放たれたのか、何事もなく元に戻ったのか、幻影を見ているようです。

     本書を読みなが

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    2025年11月26日
  • BOXBOXBOXBOX

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    荷物を仕分ける宅配所の、単調な作業に関わる4人の物語。110ページの短い話だけど、中身は、なんとも言えない結構濃い目な感じでした。
    妄想と現実が混ざり合い、読み進めるうちにこっち側が現実なのか分からなくなっていきました。同じ毎日の繰り返しが、少しずつ人を狂わせていく怖さがじわじわ押し寄せて来ました。

    どの職場でも、誰もが狂ってしまう要素があるけど、みんな何か狂わない防波堤(趣味、娯楽、家族、責任‥etc)のようなものが、それぞれ持ってるから平常を保てるんだろうなぁ‥

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    2025年11月24日