平戸萌のレビュー一覧
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なんだろう、この読後感は・・
1話目、バナミというふざけた名前の、ふざけた(感じの)女性が出てきて、なんだなんだ??とやや不快に思いながら読み進めていくと、彼女の内面にグッと近づけるラスト周辺でパッと散ってしまい・・
そして2話目、場面は一転、気づくと彼女が中学生だったころの日常にいる。毎日が活気にあふれ、みずみずしい。こちらのバナミを追っていくと、いい大人になってからのバナミの行動が少しずつ理解できるようになり、バナミが好きになってきている自分に驚かされる。
感動!!とかじゃないのに、読み終わった後、気づくといろいろな場面を思い返している自分がいる。なんというかじわじわくる1冊。タイト -
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受験生の蒼子がいる家に母が連れてきたのは、母の職場の同僚で、母よりだいぶ若い、余命わずかなバナミ。
そのバナミと過ごした一夏のお話と、バナミの中学時代のお話の2篇を読むことができる。
はじめは、図々しくて言動に幼さがあるバナミに対して、蒼子がイライラする様子に共感しながら読んでいた。
でも読み終える頃には、序盤と感想が一変する。
お母さんが多くを語らずバナミを連れてきたことや、バナミが図々しいこと。
100均のマニキュアに泣いて喜んだ理由や、バナミが命懸けで息子にわかって欲しいこと。
わかる情報が増えていくにつれ、そしてバナミの生い立ちや、人間関係が複雑な普通の中学時代を送っていたこと -
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ネタバレ青春YAかなと思ってたら読み味が完全に推理小説
普通は先に出すはずのいじめやリスカを後に出すことで本当にヤバかったのは主人公であることが判明し、同時になぜバナミが転がり込んできたのか理解した時は唸らされた
ただ、父親が置物になってるのが不自然ではある
そのせいか知らんおっさんがいきなり助け船を出す場面があったりする
父性を入れたくなかったのか?
いろいろな問題が解決されないまま終わる
友人にも学校や児相が介入しないのがおかしい
理不尽な問題は解決しないままになるということを書きたかったのかもしれない
2本目は前日譚のようなもので、まっとうな青春もの
若くして死ぬ未来が確定している前提だとなんと -
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平戸萌さん。本作以前に別名義によるすばる文学賞最終候補歴? でも本書がデビュー作で、変な(?)日本語・英語タイトルの2編が収録されています。
中学生女子の、諸々の事情や家族の垣根を超えた、ひと夏の絆の物語です。万人におすすめしたいと感じましたが、特に、中・高生の女の子、親御さんに読んでほしいと思いました。
◯『私が鳥のときは』
(氷室冴子青春文学賞大賞受賞作)
読み始めこそ、思春期中学生女子特有のイライラなど、その接し方の難しさから共感しにくい印象でしたが、(少々無理ある設定もあり)物語は思いがけない方向へ展開していきます。
いじめ、虐待、不登校、余命宣告などの背景が徐々に明かされ -
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ネタバレ【私が鳥のときは】
理不尽にも、中学3年の語り手蒼子の生活に割り込んできたバナミさん、
しかもいろいろ我慢させられて、いろんな用事に使われて、「なんで私が⁉︎」って、怒り、うんうん、わかる!なんなんこの人、怒っていいよ、当然だよ!!
なのに、一緒に暮らすうちに、バナミさんだけでなく、塾の友達ヒナちゃんも含めて、お互いのいろんな思いが交わり、縒り合わさっていく。
もし私が鳥ならば、と、もし雨なら、の違いがしっくりこないバナミさんと受験勉強をする2人。
フィクションだからこそというところもあるけど、こういうふうにできればお付き合いは避けて通りたいと思っていた相手とも、時間と思いを重ねることで、 -
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ネタバレ第4回氷室冴子青春文学賞大賞の表題作とアイアムアハッピー・フォーエバーの2編。
表題作は350ページ弱の一冊の3分の1程で残りが2編目というかなりの変則構成。
家に帰ると「さらってきちゃった」という穏やかでない母の言葉と共にあっけらかんと居を構えるバナミの姿が。
母のパート先の元同僚で病により余命宣告されている身だという。
夫も息子もいるのになぜうちで世話を!?
主人公蒼子(そうこ)の憤りもよそに、無神経とも言えるバナミ(とその病身の世話)が日常に溶け込んでくる。
蒼子は受験生だが、学校でイジメに遭い塾通いのみで高校受験を目指す。
塾でできた親友ヒナちゃんとの関係が救いとなっているが、その -
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「氷室冴子青春文学賞大賞受賞」の帯。
どんな内容かは全く知らずに、大賞受賞に惹かれて読みました。
「私が鳥のときは」
青春、受験、いじめ、命、教育。様々なテーマが混ざり合っていました。「いじめ」が絡むと、物語は暗く重くなりますね。言葉では言い表せないほどの辛さを抱えながらも、前を向いて歩き、時には人に手を差し伸べる優しさを持つ主人公に惹かれました。私もそうでありたいです。
「アイムアハッピー・フォーエバー」
「私が鳥のときは」の登場人物「バナミ」が中学一年生の時のお話。「夏休み」「学生」が物語で交わると、それだけでワクワクするものになるなぁと感じます。色々なしがらみと戦いながら、長いよう