あらすじ
「さらわれてきちゃった」。中3の夏、蒼子の家に突然やってきたのは、余命わずかのバナミさん――。第4回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞した傑作青春小説。書き下ろし長篇も収録。
朝倉かすみさん、久美沙織さん、柚木麻子さん絶賛!
第4回氷室冴子青春文学賞・大賞作、
書き下ろし長篇を加え待望の書籍化!
中三の夏休み、蒼子の母が元同僚で余命わずかのバナミさんをさらってきた。なんでうち。なんで今。腹を立てる蒼子だったが、ひょんなことから一緒に受験勉強に励むようになり――受賞作「私が鳥のときは」
英語の授業は気づまりだし、部活は基礎練ばかり。「社会」というもののハードさに気づきはじめた、中一のバナミと友人たち。夏休み、お屋敷に暮らす老婦人・英子さんと出会って――書き下ろし長篇「アイムアハッピー・フォーエバー」
少女と元少女たちに訪れた、奇跡のような夏の物語。
軽やかに瑞々しく、世界をあざやかに変える、傑作青春小説、誕生!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なんだろう、この読後感は・・
1話目、バナミというふざけた名前の、ふざけた(感じの)女性が出てきて、なんだなんだ??とやや不快に思いながら読み進めていくと、彼女の内面にグッと近づけるラスト周辺でパッと散ってしまい・・
そして2話目、場面は一転、気づくと彼女が中学生だったころの日常にいる。毎日が活気にあふれ、みずみずしい。こちらのバナミを追っていくと、いい大人になってからのバナミの行動が少しずつ理解できるようになり、バナミが好きになってきている自分に驚かされる。
感動!!とかじゃないのに、読み終わった後、気づくといろいろな場面を思い返している自分がいる。なんというかじわじわくる1冊。タイトルも装丁も読後に見ると輝きを増しているように見える。自分が年を取ったからかもしれない。だれの人生にもその人だけの物語がある、なんて、どう言葉を紡いでも陳腐になってしまうのがもどかしいけれど・・今この本に出会えてよかったです。次作に期待します。
Posted by ブクログ
受験生の蒼子がいる家に母が連れてきたのは、母の職場の同僚で、母よりだいぶ若い、余命わずかなバナミ。
そのバナミと過ごした一夏のお話と、バナミの中学時代のお話の2篇を読むことができる。
はじめは、図々しくて言動に幼さがあるバナミに対して、蒼子がイライラする様子に共感しながら読んでいた。
でも読み終える頃には、序盤と感想が一変する。
お母さんが多くを語らずバナミを連れてきたことや、バナミが図々しいこと。
100均のマニキュアに泣いて喜んだ理由や、バナミが命懸けで息子にわかって欲しいこと。
わかる情報が増えていくにつれ、そしてバナミの生い立ちや、人間関係が複雑な普通の中学時代を送っていたこと知ることで、何気なく読んでいた部分がとても意味を持ったシーンに変わってくる。
「死」が常に隣り合わせなバナミが物語の中心にありながらも、重々しかったり、暗すぎると感じることはなく、読みやすかった。
読み手の経験によって、心に残る箇所や、物語の感じ方が変わるような内容だと思うので、幅広い世代が楽しめる1冊だと思う。
Posted by ブクログ
読み進めていくうちにバナミさんが、好きになっていく。
最初は、「図々しくて無神経な、、、。」ってイライラしてたのにwww
「《私が鳥のときは、私は自由に空を飛びます》」
なんて、バナミさんらしい。
と思ったのはアタシだけではないはずよね?
☆私が鳥のときは
☆アイムアハッピー・フォーエバー
Posted by ブクログ
とてもいい作品。「私が鳥のときは」は特に秀逸。バナミの人生を亡くなった後に追うのは野暮だし、心配になったけど、美しいところだけ描かれてホッとする。
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氷室冴子青春文学賞大賞受賞作の表題作があまりに良すぎて、かつとてもさらっとした終わり方だったので書き下ろしの方の「アイムアハッピー・フォーエバー」を読むのを少し躊躇いました。でもそっちもすごく良かった。両作ともに氷室冴子よりも氷室冴子でした(語彙力)。
日本の中学で英語を習ったなら誰でも必ず通るあれがタイトルと関連しているのも良かったな。なんならそっちが正しいのではとも思いました。
オススメです。
Posted by ブクログ
感想で1作目と2作目のバナミが同じだと言っている人がいるが、私は別人だと思った。
1作目よりも2作目の方が面白い。
1作目は突然家に病気の知らない人が、しかもそこそこ無神経な人がいたら家族はたまったものじゃないだろう。そこから読むのがつらかった。
2作目は面白かった。
私もテニス部だったので部活での苦労がわかったし、英語教師との終わり方も良かった。中学生の悩みと苦労と熱量がよく伝わってきて読んでいて気持ちよかった。
Posted by ブクログ
青春YAかなと思ってたら読み味が完全に推理小説
普通は先に出すはずのいじめやリスカを後に出すことで本当にヤバかったのは主人公であることが判明し、同時になぜバナミが転がり込んできたのか理解した時は唸らされた
ただ、父親が置物になってるのが不自然ではある
そのせいか知らんおっさんがいきなり助け船を出す場面があったりする
父性を入れたくなかったのか?
いろいろな問題が解決されないまま終わる
友人にも学校や児相が介入しないのがおかしい
理不尽な問題は解決しないままになるということを書きたかったのかもしれない
2本目は前日譚のようなもので、まっとうな青春もの
若くして死ぬ未来が確定している前提だとなんとも悲しくなってくる
Posted by ブクログ
病人の描写が凄すぎて、息を詰めて読んだ。
いじめや虐待もさらっとした突き放したような書き方が逆に問題を際立たせてる。
「私が鳥のときは」というタイトルも秀逸。
短編2作目は1作目の続編かと思って読んだが、主人公の名前が同じなだけで、関係ないのかな。(1作目のバナミは友達がいたことないって言ってたから)
少女小説っぽい書きっぷりだけど、重いテーマが潜んでた。バナミの生い立ちと、達観したようなある意味ののんきさが妙にリアル。バナミ、長生きしてほしい。と願わずにはいられなかった。
Posted by ブクログ
タイトル作にスピンオフ的書き下ろしを加えたデビュー作
昔から何故か繊細な登場人物よりちょっとガサツなくらいな方が気になってしまう
どんな大人にも多感な時期があり、その年頃をその時の精一杯で過ごしてきたからこその今がある
「アイムアハッピー・フォーエバー」の終わり方がとても良かった
Posted by ブクログ
平戸萌さん。本作以前に別名義によるすばる文学賞最終候補歴? でも本書がデビュー作で、変な(?)日本語・英語タイトルの2編が収録されています。
中学生女子の、諸々の事情や家族の垣根を超えた、ひと夏の絆の物語です。万人におすすめしたいと感じましたが、特に、中・高生の女の子、親御さんに読んでほしいと思いました。
◯『私が鳥のときは』
(氷室冴子青春文学賞大賞受賞作)
読み始めこそ、思春期中学生女子特有のイライラなど、その接し方の難しさから共感しにくい印象でしたが、(少々無理ある設定もあり)物語は思いがけない方向へ展開していきます。
いじめ、虐待、不登校、余命宣告などの背景が徐々に明かされつつ、世代も境遇も異なる女性4人が、不足部分を補い合いながら共生していくのでした。
どんなにマンネリで惰性的な家族でも、異質な人が加わることで波紋が広がります。どうしても変化が起こりますが、寛容と受容をもてたら、新しい可能性が開けるような気がしました。
そういう意味で主人公・蒼子の家は、まるで、問題を抱えた人たちのシェルターのようです。
蒼子も、最初の印象を覆し、実にいい子でしたし、瑞々しい筆致でとても爽やかな読後感でした。ただ、父親たちはまるで登場せず、その存在感・責任ゼロなのはあり得ないし、残念‥。
◯『アイムアハッピー・フォーエバー』(書き下ろし)
蒼子の母の元同僚で、余命わずかの「バナミさん」が中学生だった頃の物語です。表題作を読んだ直後なので、バナミさんのどんな過酷な過去が明かされるのかと思ったのですが、思いの外普通に青春していて、逆にホッとし救われた気がします。
しかしながら、幼稚園時代に両親を事故で亡くし、マナミという本当の名を封印して、健気に頑張ってきたのでした。人は、いろんな事情を抱えていても、誰かへの憧れが今の自分を形作っている、ということはあるのでしょう。
配慮という名の勝手な傲慢さで接するよりも、全くフラットな状態で関わる方が、対等な関係が築けそうです。難しいでしょうが‥。
この2編の、2人の中学生時代の物語は、いつの時代にも共通するように、眩しくも脆く、ほろ苦いものでした。それでもこの爽やかさは、鬱屈した日々にも、何か小さな奇跡を運んでくれるかもしれない、と錯覚させてくれる心地よさでした。
Posted by ブクログ
私が鳥のときは
ってそういうことからきてるのか!
中学生という時期の爽やかな青春小説だけど、爽やかだけではない現代の問題も折り込まれてる
こう書くと、ちょっと重い内容もあるんだな、と思われるかと
確かにあるのですが
それでも何より読後感がすごくいい!
全く暗い気持ちにならない
こういう終わりかた、とても好きです
Posted by ブクログ
【私が鳥のときは】
理不尽にも、中学3年の語り手蒼子の生活に割り込んできたバナミさん、
しかもいろいろ我慢させられて、いろんな用事に使われて、「なんで私が⁉︎」って、怒り、うんうん、わかる!なんなんこの人、怒っていいよ、当然だよ!!
なのに、一緒に暮らすうちに、バナミさんだけでなく、塾の友達ヒナちゃんも含めて、お互いのいろんな思いが交わり、縒り合わさっていく。
もし私が鳥ならば、と、もし雨なら、の違いがしっくりこないバナミさんと受験勉強をする2人。
フィクションだからこそというところもあるけど、こういうふうにできればお付き合いは避けて通りたいと思っていた相手とも、時間と思いを重ねることで、産み出されてくる何かが、確かにあるかもね、、、、とも思う。
こうして少女と元少女が奇跡の物語を紡ぐように、そういうわけわかんない繋がりを受け入れながら過ごすことも、(少女と)元少女たちにとって救いのひとつになるのかもしれない⁈、のかな?、って。
Posted by ブクログ
第4回氷室冴子青春文学賞大賞の表題作とアイアムアハッピー・フォーエバーの2編。
表題作は350ページ弱の一冊の3分の1程で残りが2編目というかなりの変則構成。
家に帰ると「さらってきちゃった」という穏やかでない母の言葉と共にあっけらかんと居を構えるバナミの姿が。
母のパート先の元同僚で病により余命宣告されている身だという。
夫も息子もいるのになぜうちで世話を!?
主人公蒼子(そうこ)の憤りもよそに、無神経とも言えるバナミ(とその病身の世話)が日常に溶け込んでくる。
蒼子は受験生だが、学校でイジメに遭い塾通いのみで高校受験を目指す。
塾でできた親友ヒナちゃんとの関係が救いとなっているが、そのヒナちゃんは家庭内暴力の悩みを抱えている。
とあるきっかけから、2人の受験生とバナミの距離が縮まったことから、高校には行けず、中学すら中途半端だったというバナミの希望を掬い、3人での受験勉強生活が始まる。
その過程、英語のifの用法を巡る場面に心震える。
if I were a bird, I could fly freely in the sky
もし、私が鳥だったら空を自由に飛べるのに。
仮定法過去ってやつですね。
そうではないことが分かっている中で示す願望。
でも文法的な解釈はさておき、
if it rains, I hold an umbrella
雨が降ったときは、傘を差します。
の「とき」のようにifを扱ったっていいじゃないかと。
私が鳥のときは、空を自由に飛びます。
前半の負の感情渦巻く不安定さ、中盤に感じる希望、終盤で訪れるそれでもの苦味、さすが氷室冴子青春文学賞大賞と感ずる一編でした。
一転、「アイアムアハッピー・フォーエバー」はバナミの青春時代(中1)の話。
理不尽な上下関係はびこる中学の部活を跳ね除ける、若くしなやかな友情の力を感じる爽快物語。
ミステリ読みの自分からすると、いろいろと伏線かと思っていたのがあれ?みたいな肩透かしのようなエピソードも多々あるのだけれど、「まともに練習したい!」と東奔西走する純粋なティーンズ達の姿は、読んでいるだけで力を貰える。
あー、部活したい!!
さて、この2話目と1話目の間の空白の時間。
バナミは中3で妊娠、出産し、「結構人気者だと思っていたけど、子どもが出来た途端に皆離れていった」と語っていた。
そのミッシングリンク的な物語も作者の頭の中にはありそうな気がするけれど、その話はエンディングが難しいか。。。
Posted by ブクログ
2024-025
バナミさんの命を賭した生き様に感動した。最初は変な人だなと思ってだけど、残りの命を必死に生きてる姿には胸を打たれた。
アイムアハッピーフォーエバーの方もなかなか面白い。
Posted by ブクログ
二話を通して話そのものは青春小説と呼ばれるジャンルなのだろうけれども何とも物哀しい思いに捉われてしまう。
鳥になった彼女はこんなに生き生きとした青春時代を過ごしていたのだ。
長さでは無く質なのですね。
Posted by ブクログ
第4回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作の表題作と「アイムアハッピー・フォーエバー」の二篇収録。
青春小説と呼ぶに相応しい、きらめきを感じる作品だった。
物語は中3の蒼子の視点で描かれる。
蒼子の家に突如同居する事になったのは、母の元同僚で余命わずかのバナミさん。
バナミには家族がいるのに一体何故?
脳内でいくつもの疑問符が浮かび上がる中、蒼子の感情の揺れに共感しながら読み進めた。
視点を変え見えて来たのはいじめや虐待の背景。
家族の枠を超えた絆に胸が一杯になった。
中1時代のバナミを描いた書き下ろし作品も瑞々しい感性が光る。
Posted by ブクログ
中三の夏、蒼子の母が家に連れてきたのは余命僅かのバナミさんだった。
あの時の夏を鮮やかに切り取った物語。だからその外側のものが不意に垣間見えた時に、どきりとさせられる。
少女が少女であらんとするためにもがき進む、正にど真ん中の少女小説。
Posted by ブクログ
バナミが鳥のときは 自由に空を飛ぶならば
私が鳥のときは 私は 心を込めて歌います。
あなたが鳥のときは・・・どうしたいですか?
『私が鳥のときは』 読んでいて ツライというか 私の現状と同じような状況ではないためか なかなかページ進まずでした。
バナミも一生懸命生きているし、蒼子がバナミを受け入れていくところは いいなと思います。
『アイムアハッピー・フォーエバー』は、ページを進めることができました。この話にも
”バナミ“が出てきます。前話のバナミと同一人物かしら???となりました。
一生懸命 あーでもないこーでもないと話をしながら同じ目的のために動いていく
いいな~ その目的が果たされると尚更 いい!ってなりました。
Posted by ブクログ
短めの中編小説(それはつまり短編なのか)である表題作と、長めの中編小説であるもう一作との二篇が収録されていました。
表題作はちょっと好みに合わなかったというか、もう一人の主人公ともいうべきバナミという女性にあまりいい印象を持てませんでした。あなたいじめ加害者側として息子と一緒に頭下げないといけない立場でしょうに……。
一方でもう一編の方は中学生主体の王道青春小説といった趣で、こちらはすごく好みです。登場人物がみなイキイキとしていてよかったです。
Posted by ブクログ
「氷室冴子青春文学賞大賞受賞」の帯。
どんな内容かは全く知らずに、大賞受賞に惹かれて読みました。
「私が鳥のときは」
青春、受験、いじめ、命、教育。様々なテーマが混ざり合っていました。「いじめ」が絡むと、物語は暗く重くなりますね。言葉では言い表せないほどの辛さを抱えながらも、前を向いて歩き、時には人に手を差し伸べる優しさを持つ主人公に惹かれました。私もそうでありたいです。
「アイムアハッピー・フォーエバー」
「私が鳥のときは」の登場人物「バナミ」が中学一年生の時のお話。「夏休み」「学生」が物語で交わると、それだけでワクワクするものになるなぁと感じます。色々なしがらみと戦いながら、長いようで短い夏休みを過ごす登場人物たちにこころ踊る気持ちになりました。
Posted by ブクログ
氷室冴子青春文学賞大賞の「私が鳥のときは」と書き下ろしの「アイアムハッピー・フォーエバー」の2編。
どちらも主人公は中学生。最初のは、夏休み、受験生なのに母の職場のバナミが家に居候してきて苛立っていたけれど、嫌だと思っていたバナミの事情や魅力に触れるうちに嫌だと思っていた部分を受け入れられるようになり、一緒にいる時間に充実感を覚えるようになる。
2編目は、バナミが中1の頃のお話。部活の上下関係や内容に納得できないけれど流れに逆らうのは、、、ともやもやしている。でも練習場所を提供してくれた婦人との交流を堺に、部活とは別に自由に練習するグループを友達と作ったり、疎遠になっていた幼馴染とまた縁ができたり、自分の名前を肯定的に受け取れたり。最後は自分達で起こした奇跡的瞬間に立ち会うことで、人生に期待感を持てるようになっておわり。
どちらも、主人公の気持ちの変化にわぞとらしさがなく自然な感じなのがよかった。アイアムハッピーの方がより青春ぽくて明るくて好き。