【感想・ネタバレ】私が鳥のときはのレビュー

あらすじ

「さらわれてきちゃった」。中3の夏、蒼子の家に突然やってきたのは、余命わずかのバナミさん――。第4回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞した傑作青春小説。書き下ろし長篇も収録。

朝倉かすみさん、久美沙織さん、柚木麻子さん絶賛!
第4回氷室冴子青春文学賞・大賞作、
書き下ろし長篇を加え待望の書籍化!

中三の夏休み、蒼子の母が元同僚で余命わずかのバナミさんをさらってきた。なんでうち。なんで今。腹を立てる蒼子だったが、ひょんなことから一緒に受験勉強に励むようになり――受賞作「私が鳥のときは」

英語の授業は気づまりだし、部活は基礎練ばかり。「社会」というもののハードさに気づきはじめた、中一のバナミと友人たち。夏休み、お屋敷に暮らす老婦人・英子さんと出会って――書き下ろし長篇「アイムアハッピー・フォーエバー」

少女と元少女たちに訪れた、奇跡のような夏の物語。
軽やかに瑞々しく、世界をあざやかに変える、傑作青春小説、誕生!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

青春YAかなと思ってたら読み味が完全に推理小説
普通は先に出すはずのいじめやリスカを後に出すことで本当にヤバかったのは主人公であることが判明し、同時になぜバナミが転がり込んできたのか理解した時は唸らされた
ただ、父親が置物になってるのが不自然ではある
そのせいか知らんおっさんがいきなり助け船を出す場面があったりする
父性を入れたくなかったのか?
いろいろな問題が解決されないまま終わる
友人にも学校や児相が介入しないのがおかしい
理不尽な問題は解決しないままになるということを書きたかったのかもしれない
2本目は前日譚のようなもので、まっとうな青春もの
若くして死ぬ未来が確定している前提だとなんとも悲しくなってくる

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトル作にスピンオフ的書き下ろしを加えたデビュー作
昔から何故か繊細な登場人物よりちょっとガサツなくらいな方が気になってしまう
どんな大人にも多感な時期があり、その年頃をその時の精一杯で過ごしてきたからこその今がある
「アイムアハッピー・フォーエバー」の終わり方がとても良かった

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2024年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【私が鳥のときは】
理不尽にも、中学3年の語り手蒼子の生活に割り込んできたバナミさん、
しかもいろいろ我慢させられて、いろんな用事に使われて、「なんで私が⁉︎」って、怒り、うんうん、わかる!なんなんこの人、怒っていいよ、当然だよ!!

なのに、一緒に暮らすうちに、バナミさんだけでなく、塾の友達ヒナちゃんも含めて、お互いのいろんな思いが交わり、縒り合わさっていく。
もし私が鳥ならば、と、もし雨なら、の違いがしっくりこないバナミさんと受験勉強をする2人。

フィクションだからこそというところもあるけど、こういうふうにできればお付き合いは避けて通りたいと思っていた相手とも、時間と思いを重ねることで、産み出されてくる何かが、確かにあるかもね、、、、とも思う。
こうして少女と元少女が奇跡の物語を紡ぐように、そういうわけわかんない繋がりを受け入れながら過ごすことも、(少女と)元少女たちにとって救いのひとつになるのかもしれない⁈、のかな?、って。


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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第4回氷室冴子青春文学賞大賞の表題作とアイアムアハッピー・フォーエバーの2編。
表題作は350ページ弱の一冊の3分の1程で残りが2編目というかなりの変則構成。

家に帰ると「さらってきちゃった」という穏やかでない母の言葉と共にあっけらかんと居を構えるバナミの姿が。
母のパート先の元同僚で病により余命宣告されている身だという。
夫も息子もいるのになぜうちで世話を!?
主人公蒼子(そうこ)の憤りもよそに、無神経とも言えるバナミ(とその病身の世話)が日常に溶け込んでくる。

蒼子は受験生だが、学校でイジメに遭い塾通いのみで高校受験を目指す。
塾でできた親友ヒナちゃんとの関係が救いとなっているが、そのヒナちゃんは家庭内暴力の悩みを抱えている。

とあるきっかけから、2人の受験生とバナミの距離が縮まったことから、高校には行けず、中学すら中途半端だったというバナミの希望を掬い、3人での受験勉強生活が始まる。

その過程、英語のifの用法を巡る場面に心震える。

if I were a bird, I could fly freely in the sky
もし、私が鳥だったら空を自由に飛べるのに。
仮定法過去ってやつですね。
そうではないことが分かっている中で示す願望。
でも文法的な解釈はさておき、
if it rains, I hold an umbrella
雨が降ったときは、傘を差します。
の「とき」のようにifを扱ったっていいじゃないかと。

私が鳥のときは、空を自由に飛びます。

前半の負の感情渦巻く不安定さ、中盤に感じる希望、終盤で訪れるそれでもの苦味、さすが氷室冴子青春文学賞大賞と感ずる一編でした。

一転、「アイアムアハッピー・フォーエバー」はバナミの青春時代(中1)の話。
理不尽な上下関係はびこる中学の部活を跳ね除ける、若くしなやかな友情の力を感じる爽快物語。
ミステリ読みの自分からすると、いろいろと伏線かと思っていたのがあれ?みたいな肩透かしのようなエピソードも多々あるのだけれど、「まともに練習したい!」と東奔西走する純粋なティーンズ達の姿は、読んでいるだけで力を貰える。
あー、部活したい!!

さて、この2話目と1話目の間の空白の時間。
バナミは中3で妊娠、出産し、「結構人気者だと思っていたけど、子どもが出来た途端に皆離れていった」と語っていた。
そのミッシングリンク的な物語も作者の頭の中にはありそうな気がするけれど、その話はエンディングが難しいか。。。

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2024年03月03日

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ネタバレ

二話を通して話そのものは青春小説と呼ばれるジャンルなのだろうけれども何とも物哀しい思いに捉われてしまう。
鳥になった彼女はこんなに生き生きとした青春時代を過ごしていたのだ。
長さでは無く質なのですね。

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2024年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 短めの中編小説(それはつまり短編なのか)である表題作と、長めの中編小説であるもう一作との二篇が収録されていました。

 表題作はちょっと好みに合わなかったというか、もう一人の主人公ともいうべきバナミという女性にあまりいい印象を持てませんでした。あなたいじめ加害者側として息子と一緒に頭下げないといけない立場でしょうに……。

 一方でもう一編の方は中学生主体の王道青春小説といった趣で、こちらはすごく好みです。登場人物がみなイキイキとしていてよかったです。

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

氷室冴子青春文学賞大賞の「私が鳥のときは」と書き下ろしの「アイアムハッピー・フォーエバー」の2編。
どちらも主人公は中学生。最初のは、夏休み、受験生なのに母の職場のバナミが家に居候してきて苛立っていたけれど、嫌だと思っていたバナミの事情や魅力に触れるうちに嫌だと思っていた部分を受け入れられるようになり、一緒にいる時間に充実感を覚えるようになる。
2編目は、バナミが中1の頃のお話。部活の上下関係や内容に納得できないけれど流れに逆らうのは、、、ともやもやしている。でも練習場所を提供してくれた婦人との交流を堺に、部活とは別に自由に練習するグループを友達と作ったり、疎遠になっていた幼馴染とまた縁ができたり、自分の名前を肯定的に受け取れたり。最後は自分達で起こした奇跡的瞬間に立ち会うことで、人生に期待感を持てるようになっておわり。
どちらも、主人公の気持ちの変化にわぞとらしさがなく自然な感じなのがよかった。アイアムハッピーの方がより青春ぽくて明るくて好き。

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2024年04月07日

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