石井信介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
猫の絵のカバーが愛らしく、手に取る。
物語は1930年代のモスクワと、「ナザレの人」がポンディオ・ピラト総督によって処刑される、約2000年前を描きながら進む。それがラストには交錯し、綺麗に混ざり合って終わる。
壮大なファンタジーの中に、ユーモアから神学論までが散りばめられている。
悪魔が現れ、その手下の、表紙のような可愛らしい猫ではなく、太った嘘つき猫が活躍し……タイトルの巨匠が現れるのは読み出してからかなり先で、マルガリータが現れるのは第二部まで待たなければならない。
それでも人がどんどん消えていく場面などは、スターリン時代の旧ソ連を暗示するようで、ただのファンタジーとは読めない。笑える -
Posted by ブクログ
これまで知らなかったが、ウクライナの作家による有名な作品とのことである。
『巨匠とマルガリータ』の題の通り、「巨匠」とマルガリータが再会し共に暮らすようになるまでを描いているが、その過程でウォーランドとその配下の悪魔たちが街を引っ掻き回しめちゃくちゃにするエピソードが複数描かれる。「巨匠」とマルガリータの登場も、序盤から暫く待たねばならず、個人的にはこの過程が本当に必要なのか疑問に感じてはいたが、このエピソード(段階)の要不要などどうでも良くなるくらい物語が面白く引き込まれた。翻訳メモに曰く、この作品が長い時間をかけて書かれたために物語に矛盾が生じているとのことだが、それも気にならなかったほど -
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Posted by ブクログ
翻訳はうまい
なかなか難儀な作品だ。
前半は文学協会の編集長が、謎の外国人(=悪魔)の予言どほりに路面電車に引かれて死んでしまふ。そんなドタバタで始まる。
そこが魅力的に映るかどうかは人しだいだ。私はかういったサスペンス調が平坦に感じられて、近代文学としてはかなり退屈な方だった。
要するに、この小説は通俗仕立てで、悪魔はモスクワにあらはれるし、魔法は使ふし、巨匠とマルガリータの大恋愛も街角でばったり出会った一目ぼれといふ、ラヴロマンスもびっくりの粗雑さだから、そこが問題だ。
宗教小説の側面もある。あひまあひまに、ナザレのイエスの挿話がさしはさまれるが、ただの小道具で、結局は第1部