ヘイゼル・プライアのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
楽しい!結構厚いけど、短めな章のおかげでどんどん読める。こんなに楽しい終活本、他に無いぞ、きっと。イギリス作品に必ず出てきそうな孤独でひねくれた金持ちの年寄りが、金に物言わせた強引な旅が、こんなハッピーエンドになるとは思わなかった。世の中の金持ちは、みんな財産自然保護とか動物保護とかに寄付すればいいよ。最期にいいことしたら、ちょっと幸せになれるかも。ヴェロニカの少女時代があんまりで、そりゃあ人を信じられなくなるわ。それでも人のいいアイリーンや、第一印象最悪だけど欲の無い孫息子がいたのはラッキーだよ。読み終えて楽しい気分になるの、久しぶりでした。なんと三部作と聞いて、できれば続きも読みたいな。
-
Posted by ブクログ
孤独で頑固な老婦人ヴェロニカは、莫大な遺産の寄付先を決めるため、単身で南極のペンギン観測基地へ乗り込む。
過酷な環境で、現地の研究者や疎遠だった孫、愛らしいペンギンたちと触れ合う中、彼女の凍てついた心は次第に溶けてゆく。
ここ数年読んだ海外文学でベスト級にハマってしまい「名刺代わりの小説10選」入り。
86歳という年齢を言い訳にせず、我が道を行く彼女の痛快なバイタリティ。不器用ながらも他者との絆を取り戻し、人生を再生させていく姿に後光を見る。
章の語り部がくるくると交代し、それぞれ軽やかに物語を進めるので、読み始めたらもう本当に止まらなかった。
美しい南極の情景描写と愛あるユーモアに満ちた、極上のヒューマンドラマでした。 -
Posted by ブクログ
ヴェロニカばあちゃん、ぶっ飛んでる!
85歳でここまでできる人は、なかなかいない。
最初は、頭の固ーーーい頑固ばあちゃんの話しで、なんでこんな本にに人気があるのか?最後まで読めないかも…って思ってたけど、強引に南極へ行ったあたりからおもしろくて、止まらなくなってきた。
この感想を書いていて、物語の大きな出来事ってなんだろうと思い出してみたら、ばあちゃんの人生が波瀾万丈すぎて、南極での出来事が大した事なく感じている。全編通してすごい出来事の連続なのに、なんか麻痺してるのに気づいた。
3部作ということなので、2作目以降も発売されることを願います。 -
Posted by ブクログ
最近5が増えてて自分の基準が甘くなってるのかもだけど、面白いのだからしょうがない。突然ペンギンの魅力に取り憑かれた大金持ちの80代で家族がいない独り身お婆ちゃんが、自分の遺産を託すに値するかを自ら見極めるため、単身南極のペンギン研究施設に(強引に)乗り込んだ。
まずこのお婆ちゃん(というかお婆様、か)の歯に衣着せぬニヒルな発言がたまらなくおかしい。最初はただの空気読めないお年寄りが周りに迷惑かけながらも、という話かと思ったら、途中からなんだかこれは違うぞと。何やらお婆ちゃんの強さの裏に隠れていた過去が少しずつ解きほぐされていくと、物語はガラリと様相を変える。その様が見事だし、エンディングに向かう幸せな気持ちは、読書ならではの素晴らしさだろう。
ある種いかにもイギリス的な物語。ヒューグラントのロマンティックコメディ映画が好きな方には、とんでもないご馳走になるでしょう。 -
Posted by ブクログ
ヴェロニカ・マクリーディは、スコットランドの大きな屋敷にひとりで暮らす85歳の高齢女性だ。今日言ったことを明日忘れてしまっても、通いの家政婦アイリーンは長年の阿吽の呼吸で合わせてくれる。お茶をしたり動物番組を見たりしながら、自分の遺産をどこへやろうかと考えている。ある時、自分に孫がいる事を知って電撃訪問するが、同じく天涯孤独で生きてきたパトリックとの関係は最悪。相続人にふさわしくない、とヴェロニカが見た先には、テレビで保護を訴えられるペンギンが!南極で行われている資金不足のアデリーペンギン研究を知った彼女は、遺産をゆずる相手としてペンギンがふさわしいかを見極めるべく、はるか南の大陸へと一世一代の旅に出た。
行動力がある割には、所々思い違い(優しい言い方)があるため、一人で行動するのは危なっかしい。ましてや「生活環境としては厳しい難局に単身で向かうなんて、あなたの安全を保障できませんよ」と皆が言ってるのに、頑として聞かない。何かと気難しい印象の彼女だが、過去が明かされるにつれて、彼女の株が上がり始める。そして決死の南極行は、孤独に生きてきたパトリックの人生も変えてゆく。
人は、ただ変わったのではない。変わるには、理由があったのだ。そう知ることで、人を見る目が変わっていく。
メールやペンギンについてのブログ、ヴェロニカの日記、パトリック視点、ヴェロニカ視点の地の文が入り乱れて構成されている。原題は「ペンギンと共に行く」「ペンギンと別れる」と両極端の意味がある。ヴェロニカがこれまでの偏見を手放し、新たなステージに向かう話の内容からは、いずれの意味とも受け取れる。
本書は、「Call of the Penguins」、「Gone with the Penguins」三部作の第一作目。 -
Posted by ブクログ
主人公はスコットランドの大きな屋敷にひとりで暮らす85歳の老女(屋敷にはお手伝いさんと庭師がいます)。金持ちで、傲岸、頑固。因習にとらわれた独り善がり、周りを寄せ付けない。そんな老女が次第にほだされて行く物語です。
こうした老女は西洋の小説にはよく出てきますが(例えば『ブリット=マリーはここにいた』など)、一つのパターンなのでしょうか。日本の小説にも傲岸な出てくる事はありますが、西洋の場合は個人で、日本の場合は家制度にぶら下がった傲岸さの様でちょっと雰囲気が違います。
この老女、TVで見たペンギンに魅せられて、全遺産をペンギン研究に寄付することを思い立ちます。そして、その価値があるかを確認するために、周りの人たちや受け入れ先の制止を振り切って無理矢理南極のペンギン研究センター向かいます。それにしても、85歳の老女を南極まで行かせるか(笑)しかも船便の関係で3週間の滞在。しかし子供ペンギンのピップの可愛い事。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』のロボット主人公タング並みです。
それを並行して最近になって見つかった孫が脇役で出てきます。なぜ、お互いその存在を知らなかったのか?第二次大戦下で、溌溂とした少女だった主人公の恋や子供と引き裂かれた過去が語られます。
南極とかペンギンとか意表を突く設定ではあるのですが、全体としてはまあよくあるパターンかな。主人公以外はみんな善人の(笑)、なかなか読後感の良い話でした。 -
Posted by ブクログ
86歳のお金持ちのおばあちゃんヴェロニカがペンギン愛から南極へ出かけていく。自分の遺産を贈る相手として適切かを見極めるために。その前に自分の遺産を相続する者の存在も確認してみた。
ものすごく気難しいのだが、それには理由がある。次第に明らかになっていくヴェロニカの事情、そしていないと思っていた孫のパトリック。彼は6歳で母を亡くし、父とは会ったこともなかった。苦労して育ち、現在も国のお金で生活している。ヴェロニカは見た目だけでパトリックを切り捨てるが、空港まで見送りに来てくれたパトリックの親切さには身内への愛を感じる。
南極のアデリーペンギン研究施設には3人の職員がいる。彼らは4人分の仕事を3人でこなしていたため、忙しく、ヴェロニカの世話はできない、と最初から迎える気はなかった。しかし、定期便に行かれてしまい、やむを得ず受け入れる。中でもテリーは若い女性で、ヴェロニカの世話をかって出る。
ペンギンの愛らしい様子の描写がたまらない。ヴェロニカならずともメロメロになってしまう。実際にペンギンを育てたことがある人に取材して書かれたようで、とても生き生きと描かれている。ヴェロニカは戦争経験者で、過去に何かとても辛い事があったんだなとわかっていく。それが、どんな事なのか想像を膨らませる読者。結構えげつない想像までしてしまったが、そこまでではなかった。
気むずかしやのヴェロニカがペンギンに見せる笑顔、テリーは彼女が本当にペンギンを愛していると思う。
ヴェロニカが死にかけた時、パトリックにお金を貸して南極へ送り出してくれた友人の存在にとても心が救われた。無償の愛だと思った。
とても読みやすい訳。最後は大円団で、これぞYA文学ね、と思った。
-
Posted by ブクログ
大富豪の孤独な老人・莫大な遺産・存在を知らなかった孫と古き良きイギリス小説のアイテムが揃って始まるこの小説は、ドラッグ・ブログ・メール・絶滅危惧種など現在のアイテムと問題を題材に進行する。カバーですぐわかるように頑固で元気な老婦人が主人公である。遺産の譲渡先を探して南極まで旅に出た老婦人が出会ったのは愛らしいペンギンと・・・
結末が見えすぎるのが少し残念だが、この設定は好物である。自分にも遺産が転がり込む夢を見させてくれる。
それにしてもイギリスは婚外子の話が多い「小さな言葉たちの辞書」や「ダウントンアビー」にも出てきたし。
現在読んでいる「英米文学のわからない言葉」にも本書の言及があり、ちょっと嬉しくなった。