・感想
良い点:
•実践的な工夫が多い:ちょっとした行動パターンや習慣、話し方・段取りなど、すぐ真似できそうな具体例が多く、営業職以外の人にも応用できるものがある。
•著者のサクセスストーリーが説得力あり:同期ビリという逆境スタートからの成功、キーエンスという競争が激しい環境でのトップという実績が、ノウハウに信頼を持たせている。
•構成のバランス感覚:準備・仕事の速さ・コミュニケーション・マネジメント・メンタルという仕事の多面的な要素を網羅していて偏りが少ない。
弱い・限界だと感じる点:
•営業職以外には当てはめにくい場面もある:キーエンスは対面営業が主体/競争型の文化が強いため、バックオフィスやクリエイティブ系など環境の異なる仕事ではそのまま適用できない“部分”がある。
•“愛され力”など抽象度の高い要素も混ざっている:具体例は多いが、「なぜそれが効くか」「どのように状況に応じて調整するか」といった考え方の部分で深掘りが足りない印象がある。
•成功例中心で、失敗例・リスク・限界の描写がやや薄い:逆境克服の過程はあるものの、どれだけリソース(時間・支援・能力)が必要かという現実的なコストの見積もりが読み手によっては過小評価に感じる部分もある。
総じて、「良いヒントが多いけれど万能薬ではない」という印象で、⭐︎3という評価が妥当だと思います。
・Todo
1.ひとつ、小さな「愛されひと工夫」を取り入れる
例:資料・提案時にキャッチフレーズを付けてみる/商談時に相手との間に資料を置くなど、相手の記憶に残るちょっとした視覚・話法の工夫を一つ選んで実践してみる。
2.毎日の事前準備ルーティンを作る
出勤前・外出前・商談前などに「必ずやること」をリスト化する。例えば「訪問リストを確認」「相手の最近の動きチェック」「目標数字を明確に持つ」など。準備で差をつけておく。
3.段取り・時間管理を見直す
自分の仕事の“見えない部分”――移動時間・待機時間・資料準備など――を洗い出して、効率化できるところを削るか構造化する。タイムブロッキング・バッチ処理などを試す。
4.フィードバックを受けて改善する習慣を持つ
同僚・上司・顧客から「この話し方はどうだったか」「準備は十分だったか」など聞ける場を持つ。特に営業なら商談後の振り返りを必ずする。
5.メンタル管理を強化する
成果が出ないとき、同期との差を感じるときなどのメンタルの揺らぎを抑えるため、目標の小分け・成功体験を意識的につくる。休息・振り返りを入れる時間をスケジュールに確保。
6.教える側になる
新人や後輩に、自分がこの本で学んだ“ひと工夫”を教えてみる。人に教えることで自分の理解が深まり、また言葉にすることで応用の幅も広がる。