大野晋のレビュー一覧

  • 古典基礎語の世界 源氏物語のもののあはれ

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    大野晋先生の切り口は面白い。
    「もののあはれ」、「ものさびし」、「ものいひ」などの「もの」の付く古語の意味を正確につかむために、「もの」という言葉にスポットをあてて突き詰めていく。
    現代では、「もの」と言われれば、「物体」としての「もの」くらいしか思い浮かばない。
    しかしながら考えてみると現代でも、「物思い」など、「もの」が付く言葉がある。この「物思い」の「もの」は、決して物体としての「もの」ではない。
    この「もの」という言葉を題材として、源氏物語での用例を読み解きながら、古語の「もの」という言葉の意味を解明していく。
    大変面白く読ませていただき、ためになった。

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    2015年05月09日
  • 大野晋の日本語相談

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    ちょこちょこ読んでいてやっと読み終わった!!やっぱり回答者の方すごいなあ。日本語の歴史というか、言葉の流れについて考えさせられました。これは◯、これは×、と単純に答えているのじゃないところがやっぱり一番良いなあと。

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    2014年09月20日
  • 日本人の神

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    ・大野晋「日本人の神」(河出文庫)は いかにも国語学者大野晋らしい書であつた。内容は「日本語のカミ(神)という言葉の由来をたずねてみようと」(10頁)いふものである。語源に始まり廃仏毀釈まで、いやもつと幅広い話題にあふれてゐる。その根本には国語学者の思考と方法がある。もともとは「一語の辞典」といふシリーズの1冊として刊行され たといふ。この「神」へのこだはりもむべなるかなである。
    ・巻頭の語源で問題になるのがカミのミである。これが大野の上代特殊仮名遣ひに関連するといふのはよく知られたところで、神のミは乙類であつて、甲類の、 例へば鏡のミだとか、上のミだとかとは別の音であるといふことである。つま

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    2014年03月03日
  • 古典文法質問箱

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    私が持ってるのは古い表紙の。
    どこまでも苦手な助詞以外の範囲は分かりやすく、たぶんしっかりと理解できたと思う。同じことを何度でも繰り返し説明してくれるので、「また?」となる反面、理解に至れる。
    文体も読みやすく、整然としていて、文法嫌いの私にはありがたいばかり。
    形容動詞の論争がどういうことなのかやっとわかった。

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    2013年01月05日
  • 古典基礎語の世界 源氏物語のもののあはれ

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    一冊まるまる源氏物語の「モノ」の語釈。
    これに学部の1年生の頃に出会ってたら文学を選ぶ可能性もあったのかな、っていうぐらいキッチリ理詰め。
    割と目から鱗。
    ただ、読者に源氏物語の知識がある程度あるのが前提。

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    2012年10月28日
  • 古典基礎語の世界 源氏物語のもののあはれ

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    春の うきうきした感じを言ふためにこれを出した。それからすればこれは納得できる訳だと思ふ。では、大野晋編著「古典基礎語の世界 源氏物語のもののあはれ」(角 川文庫)にどうあるか。結論だけ記せば、「『源氏物語』以前のモノノアハレは専ら『人の世のさ だめのあわれさ』に限られていた。ところが『源氏物語』ではそれが右に見たように『男と女の出会いと別れのあわれさ』の意に片寄って使わ れてゐる。」(188頁)つまり、先の徒然とは非常に違ふのである。ただし、補足的に「『源氏物語』には『季節の推移に感じるアハレ』を いうモノノアハレがある。」(189頁)とも記す。これならば徒然と同じであらう。しかし、本書で2

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    2012年10月28日
  • 日本語の文法を考える

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    もともとが講演録だということで、とても読みやすい本です。

    内容的にも、体系的にまとめられたものではなく、思ったことをトピック的に並べたもののようです。だから関心を持った部分だけを読めるようになっています。

    印象深いのは最初の「未知と既知」「ウチとソト」の区別と日本語の文法との関係について述べられた部分です。ハとガの違いなどの考察を通して、日本人の心理構造にまで踏み込んで考察しています。まるで古代人の心にそのまま触れるようなスリリングな分析です。

    日本語の素朴な疑問としてよく挙げられる問題が、実はそうした精神構造を土台にしたものであることが平易に解き明かされています。

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    2012年06月02日
  • 日本語の文法を考える

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    学生時代、古文は嫌いだった。でも、現代語と古文は別物ではなく、そこには日本語としての一貫した体系があった。よく考えるとあたりまえ。内容は学術的で難解だけれどおもしろい。

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    2009年10月04日
  • 日本語練習帳

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    社内の上司がおすすめしていたと知り、手に取ってみた。
    日本語の練習をするための本。中には課題が織り込まれている。
    単語から文の組み立て、文章の展開、敬語について書かれていた。こういう考え方があるのかと参考になった。

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    2024年03月12日
  • 日本語練習帳

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    「思う」と「考える」の違い、「自」と「独」と「孤」の違い、考えたこともなかった。読むと面白い。でも途中で読むのをやめた。

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    2023年07月29日
  • 日本語練習帳

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    単語の使い方(「思う」と「考える」、「嬉しい」と「喜ばしい」の違いなど)や「は」と「が」の働きなど。
    敬語の項では「ポリの野郎がきやがりましたぜ。」を例文にあげて、「話の中身」の警官には侮蔑的な扱いを、「話しかける相手」としての親分にはマシタと尊敬の意を表現しているという解説が面白かったです。
    使う言葉に少し気を使うようになりました。

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    2021年12月13日
  • 日本人の神

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    ネタバレ

    日本語タミル語起源説の大野先生の著作。神(カミ)という言葉は元々、恐ろしい威力をもったもの。神仏習合によって救助するカミと考えられるようになり、怨霊を鎮めるための仏教行事が生まれた。この御霊信仰は平安時代が起源と考えられているが、古代タミル語にもmu-iという同義の言葉が輸入されており、カミ信仰の原型は古代インドに発しているのではないか?というもの。

    宗教儀式と稲作技術の用語が弥生時代に古代インドから多くもたらされたのは事実だと思う。しかし一番に気が付く問題として、日本人は南インドの人間に似ていない。遺伝学等、学際的研究が望まれる。

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    2020年08月23日
  • 日本語と私

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    日本語と向き合った人。

    国語学者の自伝。小さい頃から学生時代の勉強の様子、辞書の編纂、日本語の起源を探す旅路。どれもが真摯で、前向きな努力にあふれている。自分の生まれ育ったところに愛情と誇りがある。

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    2020年06月22日
  • 日本語練習帳

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    「考える」と「思う」、「は」と「が」の違いや、文章の書き方、敬語の使い方など、日本語のより良い使い手になるためのエッセンスが詰まっている。一般的に日本語は他言語に比べて難しいと言われている。本書を読むと何故難しいのかの理由の一端を伺うことができる。

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    2019年07月10日
  • 日本語練習帳

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    大野晋さんの名作。
    何度読んでも、新しく気づかされる。

    ◯「思うと「考える」の違い
    「思う」はひとつのこと 、「考える」は複数を比較すること。

    ◯「うれしい」と「喜ばしい」の違い
    個人的な満足と、社会的な慶祝・お礼。

    ◯「通る」と「通じる」
    向こうまで見渡せること、太い道。細い道を通すこと。

    ◯「最善」と「最良」の違い
    善行と良質と覚える。善は行為に、良は質に。

    ◯「は」と「が」
    「は」問題を出して、その下に答えが来ることを予約。
    「は」は対比。
    「は」は限度。
    「は」は再問題化
    「は」は取り立てる、とりわけ。

    「が」は、名詞と名詞をくっつける。
    「が」は現象文。

    「は」は問題を

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    2017年09月12日
  • 日本語練習帳

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    ハの働き①問題トピックを設定して下にその答えが来ると予約する
    必ずその下に新情報ないし答えがある
    ハの下の答え(新情報)はどれかと求めるのが、日本語の文章を読むコツです。それは基本的にはその文章の結びの一句です。49ー50p

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    2017年05月28日
  • 日本語練習帳

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    助詞「は」と「が」の違いがこんなにも整然と完全に説明されるなんて! 他にも「最良」と「最善」などのニュアンスを次々と具体的に説明してみせる筆者の力に圧倒され、もっと丁寧に言葉を扱わねばという意識が芽生える。古代日本語の尊敬語に関する話も興味深い。

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    2016年08月12日
  • 日本人の神

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    言語からのアプローチで「神」についてを語っている。
    日本の上代以前の「神」とはどのようなものであったか、「神」ということばはどのように変化してきたか等。
    そして「神」という日本語とタミル語の共通についても書かれている。
    大野晋先生の著書なので、もっと言語について突き詰めたことが書かれていると更に良かったと感じるのだが。
    しかし「神」というものが日本人にとってどのようなもので、如何なる歴史を辿って現代に至ったかが理解できた。

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    2016年01月01日
  • 古典基礎語の世界 源氏物語のもののあはれ

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    現代語訳をしていると、生徒に聞かれることがある。
    「先生、この“もの”はどういう意味ですか❓」

    すみません。
    私はいつも逃げてました。
    今回、読んだことで、いかに深い言葉かわかりました。
    ただ、これを生徒に教えるかと言われれば難しい。
    興味があったら自分で読みなさいの世界だな。

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    2013年03月27日