赤根智子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【完全無欠のエリートかと思いきや/国際刑事裁判所という組織~赤根さんの人生まで】
・2026年8月に、アメリカトランプ政権が、国際刑事裁判所(ICC)所長の赤根智子所長を制裁対象に加えたことで、ICCと同氏は日本で大きく知られることになった
・この本では、ICCとは何か、その歴史・意義・組織・業務・具体的なケース、赤根さんの経歴まで、赤根さん自身の言葉で語られている
・国際司法裁判所(International Court of Justice/ICJ)と混同しやすいが、ICJは国家間紛争の解決を目指す国連機関であり、国際刑事裁判所(International Criminal Court)は犯罪を犯した個人を裁くハーグ条約に基づく各国司法制度の補完的機関(国連の一部ではない)
・自分は学生時代に国際司法をかじったことがあるが、意義と具体的なケースの勉強中心で、それを支える組織や業務、中で働く人の思い等に触れる機会は無かったので、この本に巡り合えて良かった
・女性の生き方への制限が今より重かった昭和時代に、自由闊達にキャリアを切り開いてきた赤根さんの言葉は力強く、そして思いのほか人間臭く、完全無欠のエリートを想像していた自分の思い込みを反省した
・「関数で物事を説明しようとする数学・物理が好きだった。研究者になりたかった」「一方、完璧な厳密性が担保出来ない言語・司法の世界にはしっくりこなかった」「検察組織は女性である自分の可能性を認めてくれた」等、赤根さんの素直な言葉が心に残った
・旭丘高校のご出身なのですね。妹さんは天才肌の翻訳家。検索するとすぐに出てきますね。今まで読む機会が無く、一冊読んでみたい。
・物理的に名古屋近辺で勤務することを終始嫌がっているのと、それをわざわざ何度も言語化しているのは単純に面白い(人間臭い)。笑
・制裁に対する日本政府の姿勢は与党内でも意見が割れているし、簡単に合意・結論に至る様な内容でもないし判断も難しいとは思う。ただ、いち個人としては、この本を読んで赤根さんの思いや人柄を知り、しかるべき立場でありたいと思った -
Posted by ブクログ
話題のICC所長が執筆された本。難しそうだと構えながら読んだけれど分かりやすい文体で書かれていてさらさら読める。随所から著者の聡明さや親切心が感じ取れた。
ICCという機関は、恥ずかしながら最近まで知らなかったけれど、この本を読んでICCのほんの表層については分かったように思う。正直いえば、ICCに限らず、国際的な機関が個人に対して取れる措置ってどんなものがあるの?と懐疑的だったけど逮捕状が出た個人に対して締約国は引き渡しの義務があり、それで捕まった個人もいると知って少し希望が沸いた。戦争犯罪を犯した個人を裁く唯一の機関、必要だよなぁと改めて思う。 -
Posted by ブクログ
赤根氏については、トランプ政権が制裁対象にした、というニュースで知り、さらに調べるとロシアからも有罪判決を受けたということも知った。こんな大きなニュースになぜ気づかなかったのかと悔やむとともに、もっと国際刑事裁判所について理解したいと思い、再版されたばかりのこの書を手に取った。
赤根氏の経歴はまばゆく、また検事ということで、堅苦しい内容と思いきや、非常に平易に難しい内容を説明してくれているので、どんどん読み進めることができた。彼女の熱い思いも記されており、それに同調する流れもできているということが、日本にとって数少ない明るい話題かもしれない。 -
Posted by ブクログ
私は利己的な人間で、誰かのために動くことがすごく苦手というか、あまりできないので、「社会」という大きなもののために実際に動いている人を、心底尊敬する。
同時に、いかに日々世界で起きている戦争・紛争に興味を持っていないかを痛感して、自分自身にがっかりした。
ICCが設立されたのが2002年。思った以上に最近で、にもかかわらず、そこから20年間にそれなりの数の事案を手掛けている。
それだけ、世界のどこかで戦争が起きているということ。
平和ボケは幸せなことだろうけれども、もう少しアンテナを伸ばさないといけない。
そして世界から見た日本への期待、法の支配を守る国としての信頼があるのだということも繰り返し語られている。
この期待と信頼を裏切らずにいるためには、どうすればいいんだろうと、珍しく自分の範疇を超えたことを考えた。 -
Posted by ブクログ
この本を読んで確信したのは、アメリカやロシア、中国にインド、そしてハンガリーなど、ICCに入らない/抜けるというのは「法治国家でない」と宣言しているようなものだなということだ。
そして、彼女の人気の終了とともに日本も脱退表明をするのではないかと心配になった。
また、刑の軽さ・甘さが気になった。
>これまでに科された最も重い刑は、コンゴ民主共和国のボスコ・ンタガンダ元司令官に対する拘禁刑三十年
ただ閉じ込めておくだけ?
それも、調査さえ通ってしまえば望む国での実刑になるそうだ。
……裏取引で逃がされそうだなと思うのは自然だろう。
多くの国が制度をなくしたり反対しているが、私は世界のためにこういう組織でこそ死刑が取り扱われ、実行されるべきだと思う。
著者に関して:昭和の精神をもった少女の様な人だと思った。
法についての頭脳や仕事の経験はすばらしく、日本の遅れについての指摘も的を射ていると思う。
ただ、若者への期待や日本という国の捉え方が純粋な少女に思えてしまう。
読んでいて「日本は"法の支配"の国だ」と何度も出てくる表記に「そんなことはない」と思ってしまうし、「若者が興味を持ってくれればそれが広がるはず」という期待には「そんなに期待しないほうが……」と待ったをかけてしまいそうになる。