赤根智子のレビュー一覧
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全く疎い分野で、知らないことばかりだった。
今、国内でも世界的にも力の強いものがの声が大きい流れになっていることに、どうしたら良いのかと思うばかり。ICCは、特に国際的に弱い立場の国、人にとって拠り所になる唯一の存在なのでは、と思った。
「裁判が行われ、その犯罪に責任のある者が罰せられたからといって、彼ら・彼女ら(事件の被害者たち)の悲しみ、苦しみが消えてなくなるわけではない。しかし、自分たちの被害が放置されることなく、しかるべき扱いを受けるということは被害者やその家族にとって極めて重要です。人間の尊厳を守るために、私たちはこれからも活動を続けていかなくてはならない。」(p116)
そうだ、脅かされているのは人間の尊厳だ。
防衛費に膨大なお金をかけるよりも、法整備を進めたり、外交に力を入れたりすることにより、世界のみんなが気持ちよく生きていけるようになれば、と平和を祈らずにいられない。
コラム「ICCが捜査・訴追した事案」は、知らない事柄も多く、とても勉強になった。 -
Posted by ブクログ
ICCについて、恥ずかしながらこれまで全く知らなかった。「力の支配ではなく、法の支配を」「公正・公平に」という理念を知り、国際社会において法が果たしている役割の大きさを実感した。何百年、何千年と力の支配によって虐げられた被害者は数知れない。
一方で、日本はICCに多くの資金を拠出しているものの、政治的には慎重な姿勢を取り続けていることを知り、少しがっかりした。平和な日本に暮らしていると、平和や法の支配が当たり前に存在しているように感じてしまうけれど、それを守るために世界で何が起きているのか、自分はあまりにも知らなかったのだと思う。いわゆる平和ボケというものを、自分自身のこととして痛感した。
また印象に残ったのが、日本の若者についての言葉だった。「日本の若者は内向きだ」と言われがちだけれど、機会や知識を与えれば、世界に目を向けて情熱を持って挑戦する若者はたくさんいるという。(大学で勤められていた経験や公園等で実際に肌で感じられていた。)若者に意欲がないのではなく、意欲を向ける機会が十分に与えられていないだけなのかもしれない。
そして、赤根さん自身が「女性初の○○」とされることについて、日本の女性の職位の低さに忸怩たる思いがあると語っていたことも印象に残った。「女性初」が特別なニュースにならないくらい、女性がさまざまな立場にいることが当たり前になってほしい。
ICCという一つのテーマから、国際社会、法の支配、日本の外交、若者、女性の社会進出まで、恥ずかしながら、自分の知らなかった世界が一気に広がった本だった。
もっと自分の視野を広げたいな。日本国内だけで物事を見るのではなく、世界で何が起きていて、その中で日本がどんな立場にいるのかを、もう少し知るように今から行動を変えたい。 -
Posted by ブクログ
恥ずかしながら、ニュースで耳にするまでICCの存在やその所長が日本人女性であることさえ存じ上げず、なぜこのような国際的に重要度の高い機関に対し、大国アメリカが制裁を加えたのか理解したく本書を手に取りました。
ICCは法の下に平等に戦争犯罪を裁くことで、世界に平和と秩序をもたらす存在であるのに、しばしば政治的経済的問題が複雑に絡み合い、干渉を受けてしまうということが起きているのかなと理解しました。
私は法に携わるような仕事はしておりませんが、一市民として、ICCの活動を支援する立場でいたいと思います。現在、アメリカ・ロシア・中国などの大国は加盟国ではないものの、このような機関が存在しないとミドルパワー以下は強者の論理に平伏すことになります。赤根さんや、ICC職員の方々のように人として高い倫理観を持って正しいことを行いたいと感じました。
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Posted by ブクログ
2026年8月18日、アメリカのトランプ政権が、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長と、検察局のアブドゥライェ・セエ上級公判弁護士の2人を、新たに制裁の対象に指定すると発表してから、SNSで「この本を買って読んだ」という人を良く見かけるようになり、気になっていた本。
本書は「語り下ろしの本」だと買ってから知った。本人の言葉そのままを期待している人にとっては、もしかしたら少し期待はずれの本なのかもしれない。しかし、国際刑事裁判所(ICC)という組織について、全く知らない私からすれば、この本は良い意味で熱が入りすぎておらず、要点がかいつまんであってとても読みやすかった。編集部が作成したという「コラム ICCが捜査・訴追した事案」など、本文の内容を補填する資料が間に挟み込まれているのも良い。「語り下ろし」という形の本を私は今回初めて読んだけれど、入門書としてはとても良い形態の一つなのかもしれない。
2026年8月18日にアメリカからの制裁が大きく報じられたのを機に話題になったこの本の初版は2025年5月20日。一時、どこの本屋でも売り切れになってしまい、私が買えたのは2026年9月5日の第5刷の版のものだった。
冒頭は2023年夏、当時ICCの裁判官だった著者が、日本へ一時帰国していた際、NHKの速報で自身がロシアから指名手配されたということを知ったという話から始まる。そこから、自分の仕事がどういうものかについて、戦争犯罪とは何を指すのか、国際刑事裁判所の成り立ち・その存在意義、自分の生い立ちから現在の社会への問題提起、未来への希望などが綴られている。
>法律の専門書のような硬い内容とするつもりはありません。そのため法律的にはやや不正確な部分も残ってしまうかもしれないと思います。
(赤根智子・著『戦争犯罪と闘う 国際刑事裁判所は屈しない』p.27~p.28)
著者自身がこのように書いているように、とても取っつきやすい内容の本となっていた。
しかし、ロシアから直接スパイが送り込まれてきたり、さらにはアメリカからの厳しい制裁で電子システムが思うように使用できず、限りある人的資源が紙での書類仕事に忙殺されたりしているという現状だとさらっと書かれているのを読むと、自分の日常とはあまりにも違っていて目を見張ってしまう。国際刑事裁判所がそんな風に常に存続の危機にさらされている場所だとは全く知らなかった。
日々のニュースを聞いていると今もジワジワと状況は悪くなっている部分があるのかもしれない。先日、国連では深刻な資金不足に見舞われていて、ボロボロのイスに座っているというニュースを耳にした。自国の景気が悪い時に国際秩序に使える予算は無いと、強国がどんどん国連機関から足抜けをしている風潮を感じている。ICCもまたそうした流れの中で支えを失いつつある。
このような小さい話に落とし込んでいいものか、すこし気が引けるけれど、ふだん払っている町内会費に意味があるのかと問いたくなることはある。しかし、実際にそれが「役に立ったな」と実感するのは災害等の有事に私が見舞われた時だろう。
政治的意図に左右されない公正な裁判が虐殺の抑止力となること。国際秩序に貢献するということは、あきらめることなく、地道な活動を続けることがまず第一歩なのだと思った。私は国際秩序に貢献できるようなスキルを何も持ち合わせていないけれど、せめてそういう世論の一端を担っていたいな、と思わせる一冊だった。
様々な困難に対する赤根さんの不屈で前向きな姿勢にも大いに励まされる本でもある。内容的に高校生ぐらいの学生さんにもおすすめできる一冊なのではないかと思う。 -
Posted by ブクログ
国際刑事裁判所(ICC)所長:赤根智子氏によって綴られた新書。編集部作成のコラムページ『ICCが捜査・訴追した事案』有り。
プーチン大統領に逮捕状を出した結果、ロシアから指名手配される…ことを休暇中に見たTVから知る。そんな場面から始まった。
国際刑事裁判所の成り立ち、その役割、現在置かれている状況が綴られ、ご自身の来歴と未来の展望までも。一貫していたのは、理不尽な状況に、忖度せずに対処し、声を発すること。
法科大学院で教鞭を執っていらした時の教え子達が、実際にハーグまで訪れ、帰国後も周囲に働きかけて、声明を出すことに力を貸し、メディアにも話し…様々な活動で赤根氏を支援していた。そして赤根氏は、そのさまを「法の支配」を支える立場に回ったと、彼らは既に私を超えている…と評す。(p214参考)それが一番、胸に深く刻まれた話だった。
【下記:主に説明】
まず国際刑事裁判所のことをよく知らなかった、ということが分かった。
ICCは、戦争犯罪や人道に対する犯罪などを行った個人を、ローマ規程(「国際刑事裁判所に関するローマ規程」という名称の国際条約)による国際的枠組にもとづいて訴追・処罰することをその使命とする裁判所です。設立は2002年。オランダのハーグに本部があり、現在、125ヶ国が締約国となっています。日本は2007年にメンバーに加わりましたが、アメリカ、中国、ロシアなどは締約国ではありません。
(「戦争犯罪と戦うー国際刑事裁判所は屈しないー」p12から引用)
一昨日読み終わったばかりで、まだあまり感想はまとまっていないが、“不屈”という言葉はこの方の為にあるのかもしれない、と思った。けれど同時に、それは国際刑事裁判所所長一人の肩に託すものではなく、平和を望む全ての人々が目指すものだ、とも思う。日本は拠出金第1位の国であり、赤根氏に裁判官選挙への出馬を打診した国でもある。でも今は、安全を守ろうとすることができていない。法の支配から力の支配へ戻りつつある今、その逆行を、許してはならない。 -
Posted by ブクログ
少しでもICCの事が知りたくて本書を手に取った。今までほとんど知らなかったのが恥ずかしい。
日本は法整備をきちんと整えてICCのことをしっかり守っていかなければいけない。
政治家はほとんどアメリカに忖度して何もできないのでは…これは日本人としてICCや赤根所長の制裁に毅然とした態度で抗議していかねばいけない。
この本を読んでますますそう思った。
丁寧な語り口でICCとは何かまず優しく教えてくれる。赤根所長の個人的な経歴も分かり、非常に人間的で正義感溢れる姿勢に共感できた。
自分にももし、子供の頃から学があり、良識があったらICCのようなところで、世界の平和のために働きたかった。
自分も何かできることはないか考えさせられる。 -
Posted by ブクログ
世界には国家の枠を越えて法の支配を守ろうとする裁判組織が二つある。一つは国境問題など国家間の領土問題を主に扱う国際司法裁判所(ICJ)と、戦争犯罪を扱う組織であり、本書筆者の赤根智子氏が所長を務める国際刑事裁判(ICC)だ。前者が国連管轄下の司法組織であるのに対して、後者ICCは各国の供託金により成り立つ独立組織である。よって国連加盟国が自動的に影響を受けるICJと異なり、参加は各国の意思によるものとなる。現在国連加盟国の七割近い125カ国が参加しているが、国連安保理常任理事国5ヶ国のうちアメリカ、中国、ロシアの3 ヶ国は未加盟となっている。赤根所長を輩出する日本は加盟国であり、供託金の額からしても最大の支援国となっている(2400万ユーロ=43億)。
2026年8月、このICC所長赤根氏に対してアメリカが制裁決議を行なった。本書が直前の6月に出版されているので、8月の制裁決定後は、改めて書店に本書が大々的に並んでいるのを目撃した。そしてその制裁決議発動後の高市総理の「残念に思う」発言は、赤根氏の出身国でありながらアメリカを刺激しない弱腰な態度と批判を浴びた。ヨーロッパ各国が赤根氏の断固支援を表明したことに対しての日本の態度が、メディアにもアメリカ従属日本として多く取り上げられていた形だ。
ICCはこれまでにもウクライナ侵攻におけるロシア大統領プーチン氏や参謀長ゲラシモフ氏、前の国防相ショイグ氏などニュース報道でよく聴く面々に逮捕状を出したり、パレスチナを攻撃するイスラエル大統領ネタニヤフ氏にも逮捕状を出すなど、権力を恐れずに法の支配を厳格に運用する組織として、各国から制裁対象にされてきた歴史がある。本書赤根氏は本部のあるオランダのハーグと日本の間を行き来するのに、ロシア上空を通らないよう気を遣う話も取り上げている。
本書はそのような法の支配を世界に示そうとするICCの設立の経緯、そして筆者である赤根氏がどの様に現在の所長の地位に就いたか、同氏の生い立ちなどを追っていく内容となっている。また、前述した様な大国の不参加、アジア地域の加盟国が少ないこと、逮捕状を出しても実効力が不十分(加盟国に入らない限り逮捕できず、モンゴルがプーチンを逮捕しなかった様に)ICCの力の限界などの課題、世界が力による支配に傾きかけている現状、日本が批准していないジェノサイド関連の規約など、数々の課題と今後のあり方を提示している。世界が紛争に満ち、アフリカ途上国の内戦に止まらず、先進国までもが他国に侵攻したり、一般市民を虐殺する今、改めてICCへの期待が高まる。
かつて第二次世界大戦でのニュルンベルク裁判、太平洋戦争での東京裁判、更にはユーゴスラビアやルワンダでの内戦などで、その都度戦争犯罪が裁かれてきた。ジェノサイド犯罪(集団殺害犯罪)、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪の平和を破壊する四つの中核犯罪(Core crime)を裁き、それを抑止するための組織は、過去の歴史を見ても必然性しかない。この権力をも法が支配する事の意味と意義を改めて感じ、自分にも何かできないかと考えるきっかけを与えてくれる一冊である。私もかつて法学部で学び、世界からなぜ戦争がなくならないのかと、様々な分野・方向から本を読んできたが、未だ行動に移せていない。赤根氏の話を読んでいると、まだ遅くない、今からできるという勇気を貰えるような気がする。先ずは飛び込むことが重要だと。 -
Posted by ブクログ
大変恥ずかしながら、赤根所長が指名手配されたことによってICC(国際刑事裁判所)を意識した。
こんなところで闘ってる女性がいるのか、かっこいい!と思い、その気持ちが細々と残り続けていたので本書を手に取った。
ICC勤務への経緯や、
ICC内での予審第二部(捜査許可から起訴の可否まで)や所長になってからの話など、そもそも何も知らない私でも読みやすいものだった。
海外で働くことに全く興味がなかったが、海外から日本を見ること、海外の人の考え方・働き方に触れることは、大変だけど面白いものだと思った。
徹頭徹尾、法の支配を重視し、ICCを主語に、存続のために力を貸してほしい、日本にも中核犯罪を裁く法の制定をと訴えていたのがあまりにかっこよかった。
きっと本書も、ICCを守るため、世界に法の支配を広げるために書き下ろし出版したのだと思う。
この感想と、少しの行動で、赤根所長の信念に報いたい。
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Posted by ブクログ
著者がホットな人だから、という大変安易な理由で読んだけど、本の趣旨的にはおそらく正解。
法律については門外漢過ぎるし、話が難しかったらどうしようと思ったけど、中学生ぐらいなら全然理解できるレベルの日本語で書いてあって、とても読みやすかった。
そもそもICCがどういう仕事をしているのか分からなかったので勉強になったのと、今が思ったよりヤバい状況なのかなということは理解できた。
第二次世界大戦は私たちの世代にとっては完全に過去の話で、授業で学ぶ段階では「どうして止められなかったんだろう」と思う。
けど実際は、徐々に変わっていく時代のうねりになかなか気づけなくて、いつの間にか戦争が勃発してるということがあるのかもしれない。
そして、私たちは今その大きなうねりの中にいるのかもしれない。
ICCがそのうねりを止める一助となれるなら、私たちは活動を支援していかないといけないし、日本という国にも積極的な姿勢を求めないといけないと思った。