塩出浩之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
琉球処分とは、日本と清(中国)の両属国家だった琉球王国を明治維新後の日本が強制的に併合した過程である。本書は、琉球処分の背景として、19世紀なかばの東アジア情勢等について概観した上で、明治維新から琉球処分に至るまでの政治過程、琉球処分が引き起こした国際紛争と現地での抵抗などについて、これまで十分に活用されてこなかった琉球史の根本史料である「尚家文書」をはじめ様々な史料と研究に基づいて描き出し、琉球処分後の沖縄についても展望する。
かなり多面的で緻密な考証で琉球処分の全体像を明らかにしており、日本政府が西洋の主権国家原則の受容にこだわり、琉球を領土として確保しようという強い意思を持っていたことや、一方で琉球王府は日清両属の国家としての維持にこだわり、日本への併合に明確に抵抗していたということなど、琉球王府琉球処分の背景や過程について理解が深まった。日本と清との間で実現可能性のある案として琉球分島案が協議されていたというのも本書で初めて知り、勉強になった。
基地問題など現代の「沖縄問題」を考える上でも、その原点としての琉球処分の理解は重要であり、本書は必読の書だと感じた。 -
Posted by ブクログ
すごく、読み入ってしまった、、、!
小説のように映像が浮かんでくる。
私たち、処分された側の、思いや意思を世に出して頂いたこと、たくさん調べて頂いたこと感謝します。
琉球王国の一部であることはアイデンティティでもある。
これまで、琉球最後の王様が、琉球処分で東京に連れて行かれて悲劇な人生を送ったと教えられ、それを納得して歴史事件として捉えていたけど、
この本で、さらにその奥を除き見ることができた気がする、、、!!!
あと、グラントの部分、講義でやったな〜と懐かしい気持ちになったりもしたし、、、
心の中の思い出や、頭の中の映像がドラマティックに動いた時間でした。
-
Posted by ブクログ
沖縄を日本の領土と確定した、琉球処分という言葉については、以前より知っていたが、その背景、日本政府、沖縄の人々の考え、清国の関わり方等についてはあまり考えた事はなかった。
沖縄が日本(薩摩藩)と清国に対して両属関係にあったと言うことについては理解していたが、その様々な関わり方については、何も知らなかったことを痛感させられる。
本書を読んで思い出したのは、30数年前、北京の故宮を観光で訪れたとき、大和殿の巨大な建物に驚いたこと、その2・3年後に沖縄の首里城を訪れた時、(この首里城は、先年消失した前の首里城である)これは北京の大和殿の縮小版だ、なんと雰囲気が似ていることかと驚いたものである。この時も、沖縄は中国を向いて様々なことが行われていたのだと感じた。
現在の沖縄の米軍基地の問題、沖縄人が日本に対する複雑な思い、何回かの沖縄旅行で感じたことを思い起こした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ琉球処分について、日本側の視点だけではなく、琉球王家が所蔵していた「尚家文書」を活用して琉球の視点からも詳述していく。
琉球処分とは、日本が琉球王国を滅ぼし、植民地化する過程であった。清と日本に両属していたとはいえ、それは当時の東アジアでは特別なことではなく、琉球王国は日本や清とは異なる一つの国家であった。したがって、琉球処分は日本の国内問題ではなく、東アジアおよび西洋列強、ロシアをも巻き込んだ事象になっていった。
日本がどれだけ過酷なことを強いたかが明らかになる。そして、琉球がどれだけそれに抵抗したか。結局、琉球は日本ではなかった。「琉球処分以後の沖縄は、大和人が沖縄人の上に立つ植民地となったからだ。(中略)大和人による沖縄人への差別や蔑視は根強く続くことになる」
「日本の一部となったことによる影響は、今日も続いている。今日、普天間基地の移設問題について沖縄に「自己決定権」がないのは、突き詰めていえば(中略)琉球処分の結果と地続きなのだ」
沖縄に「遊び」に行くなら、琉球処分について深く知ってから行ったほうがいい。そこは150年前には日本とは別の国だった場所である。
-
Posted by ブクログ
この話についてまとまった本を読んだことがなかった。
薄いが、読みやすくしっかり流れが掴めるようになっていて面白かった。
そもそも属国という概念が今はないし、複数の国に属するという国体も正確には理解出来ない。まあ当時のアジアは、そんなもんだったってことなんだろうな。要するに、今は当たり前のように言われてる主権なんていう考えが希薄だった。
朝貢柵封も、ある意味外交の一種捉えられていて、直接に蹂躙され続けていたあのあたり以外はあんまり問題なかったように思える。
そこに、西欧風の近代国家を樹立して生き延びようと突然立った日本。
ついていけなかった、琉球。
腰の重かった清。
三つ巴。
琉球処分も、かなり強引だったのだな。
ちゃんと確定するのが日清戦争を待ってだったとは。まあ確かに、琉球の方々には釈然とせん物が残ったのは当然だろう。
了解した。
だが、著者が最後に言ってるように、沖縄の問題について沖縄が解決できないのは、日本だからだって何が言いたいのかよくわからない。日本だからそりゃ、基地問題とか日本の法律絡んできますけど。
大変に申し訳ないが、処分のことと、日本の分断を図ろうとする色んな動きと結びつけるのはやめてもらいたいとは思う。 -
Posted by ブクログ
琉球処分と聞くと、琉球側になにか問題がありそれへの対処を行ったような印象がある。が、ちがう。要は日本側のいちゃもんである。俗っぽい書き方をすると、琉球が清と日本に二股をかけてるのは問題だからそれを処分する=清と別れさせ日本に付き合わせる、という話である。
ただ、これはこれで琉球側に問題があるようにも聞こえるかもしれない。二股だから。
著者は「琉球は独立国家とは言えないが、ひとつの国家ではあった」と判断する。それは清と日本の属国であったことを含意しているが、これは明治以前のアジア圏では問題はなかった。(一応、琉球と日本に付き合いがあることは清にバレないようにしていたのである種の問題ではあるのだが、実のところ清には筒抜けだったわけだし、しかしだからといって清がなにかアクションを起こすわけでもなかった。)
これがなぜ問題と捉えられ、琉球処分に至ったのか。それは西欧から主権国家という概念が輸入されたからである。明治になり日本は主権国家となった、ここまではよい。しかし琉球は主権国家にはなっていない。となると、清か日本に併合されるかしかないのだが、そのなかで清との二股を解消させる話が出てくる。
本書はその解消の過程を微に入り細に入り描いていく。簡単に言えば、明治以降の急激に西洋化されていく日本の過程にはさまざまな問題があった。そのなかのひとつに琉球処分がある。本書内の終盤で書いているような沖縄の基地問題にまで繋げるのはなかなか難しい気はするが、琉球という国家が消えていく過程を描いた書としては興味深かった。 -
Posted by ブクログ
●琉球が、明治政府による「主権国家の論理」によって併合されていく過程と抵抗を活写した歴史書。
●琉球処分とは何か、沖縄問題にどう繋がるのかを学ぶために読む。→沖縄の歴史について触れることができた。
●沖縄が日本の一部となった「琉球処分」。本書は、この歴史的転換点を、当時の国際情勢と琉球自体の抵抗という重層的な視点から描き出す。かつての琉球は、中国(清)と日本(薩摩・幕府)の双方に服属する「両属」という立場で国家を維持していた。しかし、明治維新を経て西洋のルールを内面化した日本政府は、この曖昧な状態を「不条理」と断じ、警察・軍事力を背景に強引な併合へと突き進む。日本が主権国家として認められるために、琉球から国家の地位を剥奪したという皮肉。大国間の避戦のために住民の意向を無視して国境線を引こうとした「分島案」の経緯などは、現代の沖縄が抱える「基地問題」や「本土との溝」の原点がどこにあるのかを痛烈に物語る1冊だと言える。