垂秀夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前駐中国特命全権大使垂秀夫氏の約40年に亘る対中国外交の記録。
南京大学留学以降、氏は官民、体制派/反体制派を問わず、これはと思う人物との公私両面の交流に力を注ぎ、その人脈、情報収集・分析力は日中(米)の政権中枢からも高く評価された。
多くの中国・台湾の要人と胸襟を開く関係を築き、国益を賭けた戦いの最前線に立ち続けた氏の指摘はどれも深い示唆に富む。
「親しき仲には礼儀なし」の中国人だが、「水を飲むときは井戸を掘った人のことを忘れない」は中国共産党の大嘘。
中国嫌いの風潮の中、日本の政治家の訪問先は台湾一辺倒だが、中国とのパイブも太く維持すべき。
毀誉褒貶あるが、野中、二階のパイブは太く、水面下の対中国交渉に大きく貢献した。
台湾への武力侵攻の可能性には否定的、むしろ海上封鎖や「平和的統一」に危機感を持つ。
習近平「一人独裁体制」となって以降、非公式の交流は官民問わず極めて難しくなっており、このままでは忌憚なく本音で情報や意見をやり取りできるパイブが失われてしまうことに氏は強い危惧を抱く。
常在戦場である中国における外交の現場は生易しいものではなく、世間から媚中、従中と呼ばれる外務省チャイナスクールだが、そんなことはないとチャイナスクールの一員である氏は強く否定する。
一方で氏自ら「チャイナスクール的体質」と呼ぶ「ほぼ事なかれ主義とイコール」な体質の存在は認めている。
それはむしろ、外務省本省や政府全体に染み付いた体質で、それについては元駐豪大使の山上氏の見解とも一致する。
「歴史に恥じない、歴史に耐えうる外交(政治)を」という氏の提言は公務員から政治家に至るまで、政治に携わるすべての人間が肝に銘じるべきだろう。 -
空虚で退屈な本
著者の日本外交への貢献には大変感謝しているが、明らかに著者は文章を書く資格がない。本書には、先入観にとらわれた悪意ある憶測や、根拠のない傲慢さがあまりにも多く見られる。日本と複雑な歴史的因縁を持つこのような国を前に、本来であれば常に謙虚でいるべき釣り英雄氏であるが、そうしなかったことが、現在の対中外交の劣悪な状況につながっている。釣り英雄氏が中国をよく知っていると思い込んでいるからこそ、中国に対する誤解が相次いでいるのだ。総じて内容は空虚で退屈であり、これは私が当初期待していた本ではなく、著者が金のために書いたありきたりな本に過ぎないのだと気づかされた。