フアン・ルルフォのレビュー一覧
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初読は高校の課題図書。
メキシコの片田舎、父を探して主人公がたどり着いたのは死者の町だった・・・といった話なのだがストーリーは当時全く意味不明。ただ、砂ぼこり舞う真っ白な道、陽炎に揺れる怪しげな街、という描写は異様に頭に刷り込まれている。
「燃える平原」にひっくり返り再読。
2017年12月14日付The Economistによると、魔術的リアリズムの元祖でもあるルルフォは、実はフォークナーの影響を受けているらしい。あれだけ土俗的なラテン・アメリカ文学が北米の作家の系譜に連なるのも意外と言えば意外。
“The reader gradually realises that all the -
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ネタバレささ‐めき【私=語】
ささめくこと。ひそひそ話。ささやき。また、男女のむつごと。
「貴妃の―、再び唐帝の思ひにかへる」〈海道記〉
初めてこんな言葉を知ったが、これほど的確にこの小説を表す一言はない。
ささやく。ひそめく。
まずは翻訳の文体の素晴らしさ、語のセレクトの素晴らしさ。
少ない文字数から滾々と湧く抒情。
次に構成のしかけ。
ただシャッフルしているのではない、ひとつの言説が連想を呼び過去を掘り起し広がり深くなる。
最後に語られる内容。
極悪な奴なのにスサナへの思いが、たまらなく切ない。
すべてを手に入れようとしてそれだけ手に入らず。
これだけの男の行き詰まりは街の行き詰まりを呼び -
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死者が埋葬され土と石に帰るのなら、私たちは堆積した死者の上に生きているのではないか。彼らの記憶も積み重なり、それは時間の進行という枠組みを超えて断片的に交差する。本書が南米文学の起源であると同時に到達点だと言えるのは、決して循環する構造が故だけではない。土地と血縁、そして革命と血生臭いモチーフが用いられているのにも関わらず、それらが全て断片的な構成として提示されるからこそ幻想的な魅力を帯びてくる。死者の記憶に耳を傾け続けることが生者の努めだとするならば、本書はまるでレクイエムそのものなのだと言えるだろう。
(2013/10/08追記)
再読。積み重なる死者の記憶が印象的な故に初読時はレクイエ -
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ラテンアメリカ文学において、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』と並ぶ傑作だそうで。
そこまで分量があるわけではない中篇だが、夜中に読み始めたにもかかわらず、どうしても止められなくて一気に読み切った。
読むのを止められなかったのは、複雑な構成なので間を開けたくなかったこともあるが、何よりもこの独特の世界観に浸り続けたかったからだ。
会ったことのない父親ペドロ・パラモを探して訪れた田舎の街でのファンに起こる出来事を中心に描かれるかと思いきや、話は過去にも飛ぶし、目の前で話している人間が読み進めていくと死者だったりする。
70の断片からなる物語だそうだが、その断片は時間軸も、生死の境も、すべ -
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顔も知らない父親、ペドロ・パラモを探しに来たファン・プレシアドがたどり着いたのは生者と死者の交わる町だった。町をさ迷ううちにファン・プレシアドも息絶え、墓の中で死者たちは囁き続ける。
ペドロは冷酷な地主だった。町は発展するが、ペドロが唯一欲したのは、幼馴染のスサナだけだった。30年ぶりに再会したスサナは精神に異常をきたし、父親とは近親相姦にあった。スサナを手に入れたペドロだが、二人はまともに言葉を交わすことも出来ない。スサナの死後ペドロは町を荒むに任せる。数年後、ペドロの私生児の一人がペドロを殺す。ペドロは乾いた石の様に大地に倒れ、その数年後、ファン・プレシアドがペドロを探しに町へやってくる… -
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すごく不可思議な小説で、構成が最初良くわからず、物語世界に入っていくまでに時間がかかりました。
解説を先に読めばよかったかも知れない。
途中からどんどん惹きこまれていって、死者が語るのも気にならず、登場人物それぞれの話しぶりや人柄もわかってきて、勢いがつきました。
土地勘がないので、そのあたりの自然、たとえば蒸し暑さや風の音を想像するのも難しいのだけれど、映像が目に浮かぶような感じで、なんだか違う世界に連れて行ってもらえたような。
描写が詳しいわけでもないのに、映画的な作品に思えました。
ラテンアメリカ文学の多くは、独自のカトリック信仰が底辺に流れているので、その部分を理解できないと物語 -
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1955年発表。メキシコの小説家、フアン・ルルフォ著。父ペドロ・パラモを探しに母の故郷コマラを訪れた主人公は、死者達のささめきに呑まれていく。七十の断片で構成され、時系列が激しく前後し、死者の会話が入り乱れる。
不思議な小説だった。まずストーリーは、はっきり言って一回読んだだけではよく分からない。解説と照らし合わせながらもう一度読み返してみると大体の内容は掴める。しかしむしろ、この小説はストーリーではない部分に核がある気がする。淡々とした断片の配置が生み出す浮遊感、まるで当然のことのように交わされる死者との会話、簡潔で不可思議な詩的表現などから醸される雰囲気。円環的なストーリーのせいでもあ