佐伯つばさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026.02.23
島田秀平さんの『お怪談巡り』で佐伯つばささんを知った。
「臨床心理士 x 怪異現象」という新しいジャンル。「怪異は心理的なもの」という、いわば「科学で説明できないものはない」という話かと思いきや。
実際「心の問題」で片付けられることもあるかもしれないなと、この本を読んで改めて思った。同時に「説明のつかない事象もあり得る」ことも強く理解。
短編集で、登場人物像も分かりやすくて、読みやすかった。全て実話に基づいていて、いわゆるオチのない話なだけに「ナニソレ」という意味でゾクっとした。
私も、夕焼けをじっと見ていてふっと周りの音が消える経験をしたことがある。「夕焼け恐怖症」は、何となく分かる。 -
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ネタバレ現役の大学教員であり怪談蒐集家が描く、臨床心理学×ホラーミステリー。某世にも奇妙なあの物語を彷彿とさせます…!
ホラーではあるけれど、怪異や人怖がメインなのでホラーが苦手でもなんとか読めました。(夜にひとりで読むと少し背後が気になります。笑)
各お話はサクッと読めますがどれも解決と見せかけて謎が残るので、スッキリしない結末が更に不安と恐怖を感じさせます。
あとがきで全て実話を基にされたお話だと知りちょっとフリーズしました…。
ミステリー要素はそんなにないので、謎解きや結末のはっきりした展開を求めている方には物足りなさを感じるかもしれません。
佐伯先生は結良と修一が体験した怪異について、ふたりの性格をよく理解し、全てを伝えず嘘をついてふたりの心を守っているところに臨床心理学の先生としてではなく、ゼミの生徒に対する優しさを感じました。
著者の佐伯先生は色んな人から怪異譚を蒐集されいて、ご自身で不思議な経験をされたことはないのでしょうか…気になります。
誰しもが抱える心の傷や瑕疵は怪異をもっと身近な存在に感じられて、まだまだ解明されない怪異の世界の奥深さを知ることが出来ました。 -
Posted by ブクログ
怪談イベントにも出演する臨床心理士・佐伯つばさ先生の初著書。2025年作品。
実話怪談本ではなく、実話怪談を元にしたミステリー仕立ての短編小説集です。
大学で臨床心理学を研究する佐伯翼助教授が、佐伯ゼミに所属する沖山修一と多度結良という男女2人の学生が持ち込む怪異の謎解きをするという全7編の連作短編集になっています。
全体的に「虚偽記憶」というものが縦軸のテーマとしてある気がします。
オカルト的怪異と、人間心理の不可解さと、二重の不思議が楽しめますが、人間心理の不思議でオチがついた話が、結局は人間心理では片付けられない、という大オチになるのは、こちらの心理も操られているかのような不思議な読後感があります。
登場人物のキャラクターが薄すぎる、とか、セリフが話し言葉として不自然、とか、小説として読むにはマイナスポイントはありますが、ラスト2編で修一と結良の過去の記憶に関わる体験談と、直後のエピローグとの、読者の記憶さえ疑わせる構成の見事さは、小説としての瑕疵を補って余りあるものでした。 -
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臨床心理学とホラーミステリーが融合した、全7話の連作短編。なんと実話がベースになっているという事実に驚かされた。
物語の中心となるのは、大学の臨床心理学科に所属する佐伯教授と、そのゼミ生2人。彼らは心霊や怪異とされる現象に対して、心理面接によるアプローチと現場調査の両面からアプローチし、その謎を解き明かしていく。
作中で描かれるのは、過去の事件や事故などの心理的トラウマによって形成される「瑕疵(かし)」という概念だ。
登場人物たちは皆、胸の奥にそれぞれの「瑕疵」を抱えて生きている。誰もが完璧ではなく、過去の傷や後悔、人には伝わりにくい葛藤を抱えているからこそ、人を単純な善悪だけで判断してはいけないのだと強く実感させられた。一見すると理解しがたい奇異な行動も、その背景にある「心」に触れることでガラリと見え方が変わる。人間の心理が持つ複雑さと繊細さが実に丁寧に描かれた、味わい深い傑作だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現役の大学教員で怪談蒐集家の佐伯つばさが描く
臨床心理学×ホラーミステリー
連作短編7篇
サクッと雑感まとめ。めちゃくちゃネタバレ!
◎ドッグカウンセラー
行方不明になった犬と子供をすり替えて心を守る、防衛機制が夫婦二人同時に起きる。考えづらいなぁ。やっぱり神隠しなのかなぁ。子供が認識できないと存在できない世界に入り込んじゃったのかなぁ。
ドッグカウンセラーのおばちゃんいい人そうだけど、犬喋ってないのに相槌打つのなんか怖いな。
◎秘密
胸が痛いなぁ。あんまり深い感想言えない。
◎優しい嘘
学費を自分で稼ぐために一年浪人してしまうような真面目さんに無償でおじさんが部屋を貸すために「ここ事故物件だから、告知義務回避のために4年住んで」と嘘をついたら、ほんとに具合悪くなっちゃったって話。え、優しい嘘かな。これ。
真面目も大概にした方がいいな。
でも白髪は結局なんなのー。
◎夕焼け恐怖症
異世界入り込み系。
雰囲気が不気味で一番好きな話。
◎心理学に興味があって
人怖系。
学生の頃、心理学科だって言うと、「じゃ、私が何考えてるかわかる?」って言う人多かったな。
割と佐伯先生がうんざりしてる感じから同様の経験がおありとお察しした。
シガーバーの描写があって面白かった。葉巻って長持ちするんだぁ。へぇー。
◎死なない友人
マンデラ効果
事実とは異なる記憶を、不特定多数の人が共有している現象。南アフリカのマンデラ氏が「1980年代に獄中死した」という誤った記憶を持つ人が大勢いたことに由来。ネット上の造語。
同窓会で、一部の子だけが持つ、「◯◯くんは死んだ」
という記憶。
これはどの視点に立っても怖い、秀逸な怪談。
周りの人に死んでると思われんも怖いし、死んだと思ってんのに生きてるのも怖いし、それ見てるのもどっちが正しいかわかんなくて怖いし。
しかもほんとに死んでる(会葬礼状ある)し、ほんとに生きてるし。
どういうことなのー!!
◎ひと夏の思い出
これも怪談色強め。
昔公園で一緒に遊んでた子がイマジナリーフレンドか幽霊かって話。
修一くんの様子を見ながら会話してるとこ、ヒキの画像が目に浮かんですごく怖いー。
修一くんいい子だから幸せになってほしい。
まとめ。
心理学と怪談。確かに相性いいわ、と思いました。怖いと思うのも心だし、怖いと思わせるのも心(認知のゆがみ)だよね。
都市ボーイズがガールズになってたり、ぁみが出てたりして、怪談好きにはくすっとする仕様。
全体的に「なぁんだ、よかったよかった」ってなってから「え、でもこれって説明つかんくない?ゾゾッ」を最後に添えるみたいな感じなので、「ミステリ!結論はっきりスッキリ!」がお好みの方にはお勧めしかねますが、私は好きです。 -
Posted by ブクログ
著者の佐伯翼さん自身が、臨床心理士である主人公佐伯として展開する7つの短辺からなる話。心理学的な視点から怪奇現象や人間の心の闇に迫る内容となっており、各物語では、現実と幻想の境界が曖昧になるような不思議な出来事が描かれ、読者を不穏で不安感を煽る独特な世界観へと誘う。
佐伯の教え子であるゼミ生の結良と修一は様々な怪奇事件に巻き込まれていく。二人の話を聞き、また行動を共にし、佐伯が心理学的なアプローチを用いて不可解な事件を解明していく過程が描かれており、最後の章では思いもよらない展開が待っており、ただの不思議な物語というだけでは終わらなかったところにいい意味で裏切られた。物語の中で、人間の心の奥深さや、社会に潜む「瑕疵(かし)」について考えさせられる内容となっており、また各エピソードは実際に起こった出来事を基として書かれているところも更に引き込まれていく魅力だと思う。