須藤アンナのレビュー一覧
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『当然だけど、わたしはいつも独りぼっち。だから、橋を見る。町の端っこにある、ささくれの目立ったベンチに座って、霧ににじんだ橋の影をにらむ。町では日中、どこからか汚い言葉やヒソヒソ声が湧いているのに、そこだけはいつも静か』―『第一週 お向かいのナタリー・クローバー』
出会い頭に読んでしまう本というものが偶にはあるけれど、残りの読書時間(もっと無駄にしている時間を節約すれば増やすこともできるとは思うけれど、なかなかね)を考えると余り考えもせずに読む本を選んでしまうことは本来避けるべきなのかも知れない。とは言え世の中に出回る読むべき本を全て読める訳もなく、結局のところ一期一会ということなのだろう。なんてことをちょっとだけ思ったりする。この本を手に取ったのも「52ヘルツのクジラたち」を読んだ余韻が残っていたからか、あるいはそう言う方向に思考が向いていたからか。普段なら読まないような一冊。
決して読後感が悪い訳でもないし、詰まらない訳でもない。けれど、脳が活性化されて何か言葉が出て来るという感じでもない。そういう本に出会ってしまうと息苦しくなるけれど、決して本のせいではない。本を読むことに対する過度の偏向した志向のせい。上手に構成され、現代的なジェンダーの問題などもそこはかとなく漂い、抑圧と解放という構図も判り易い。ただその判り易さが素直に呑み込めない。歳を取るというのは少々厄介なことだなと噛み締める。 -
Posted by ブクログ
父に虐待されているソフィア。「壊れていないなら、なおすな」と見て見ぬふりがモットーのチェリータウンに彼女を助ける存在は無かった。そんな彼女は父に内緒でお金を貯め、18歳になったら死ぬと決めている。そんな彼女の前に現れたのはナタリー・クローバー、彼の記憶は1週間でリセットされる。その彼がソフィアを救い出す…舞台が日本じゃないこともあるけど、町の雰囲気や周りの感じがちょっと翻訳物、「ザリガニの住むところ」のような感じがする。働かされ、虐待されても、父を愛そうとするソフィア、無関心な町の人たち。誰に縛られなくても「自由」に生きることを教えてくれたナタリー・クローバー。そんな2人の関係性が心地よい良作。
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Posted by ブクログ
帯をみて飛びつきました!!
大好きな作家さんが絶賛されているならば
面白いに違いないと!!
んも〜読んで良かった
後半になるにつれて
好き度が増していきました!!
冒頭の一節から 心を掴まれました!!
“子供は誰だったいつだって、親にとって一番の自慢でありたいと願う。だって、親は世界のすべてだから。もし期待に添えなかったら、鏡を見ながら、自分で自分のおでこに「ダメな子」と泣きながら書かないといけないから”
…というソフィアの痛切な独白から始まります
大人の都合で 子どもで扱われるときもあれば
大人として扱われるときがあるという理不尽さ…
子どもとしてのモラトリアムの息苦しさ…
少しずつ自我が芽生えてきて
他人と比べたり
劣等感や不満や不自由さを感じたり…
でも子どもだからこそ好き勝手にできる
瞬間があったり…
その歪さや矛盾を感じるソフィアの心情に
昔の自分と重ねながら読んでいました!
灰色の街に住むソフィア
絶対的な存在として君臨する父親の存在だけが
ソフィアの世界のすべてでした
そんな中で出会ったナタリーと友情を育みながら
少しずつソフィアの自我や自分の輪郭を取り戻していく物語_
ふたりで地図を作るところや
悲しい出来事もふたりで乗り越えていくシーンは
何度もウルウルしました
ぜひ多くの方に読んでほしい!!
読む前と 読んだ後では…
表紙のソフィアとナタリーのふたりを見ただけで
ふたりへの印象や感じ方が
きっと違って映るはず!!
今回がデビュー作の須藤アンナさん
これからの作品がとても楽しみです♡
小説すばる新人賞受賞も
おめでとうございます!! -
Posted by ブクログ
ネタバレすしになる?!どういうこと?と意味わからないのになぜか面白い。物語に少しずつ惹き込まれていきました。
すしになるべきか、ならないべきか…。
最初はどういうこと?と首を傾げなら皆読み始めるはずです。しかし、そこには子供と大人の境目にいる少女たちの悩む姿が見えてきます。
家族との中、自分と進むべき道について…。
18歳、大人というには幼く、子供というには歳を重ねた年齢。
大人からすると、そんなん考えてもしゃーない!みたいな悩みを無限に考えてしまう年ではないでしょうか。私はそうでした。
そんな彼女たちは、ちょっと考えることをやめて寄り道をする。その先が「西東京すし養成大学」である。すしになるための勉強を通して、彼女たちの心境に変化が___。
と読めばどういう話か分かるけど、無限につっこみたい気持ちが溢れてくる作品でした。
1人で寿司になるんじゃなくて、分担制なんだ…と思ったり、ワサビを発射…?!など面白すぎてイラストでも見たくなりました。
最後の最終試験のシーンのイラストがほしいです。めちゃめちゃ面白かったです…! -
Posted by ブクログ
ネタバレ舞台が外国だから、というわけではなく
読んでいて海外の児童文学を思い出しました。
私が幼い頃に読んだ海外児童文学の作品の主人公たちは、みな何かを恐れていて、けどその恐れに向き合っていて強く生きている。
受け身で終わらず、自分からどんどん踏み出していく、国内の物語と比べるとちょっと激しい内容の物語でした。
今作で言うと、主人公のソフィアは父親を恐れている。けれどそこで終わらず、最終的にはナタリーを守るために立ち向かう。街を出る選択をする。そんなところが海外の作品を思い浮かべました。
うまく言葉にできないのですが、外国の作品と言われてもそうなんだと納得してしまうような物語でした。
死を決めたソフィアと毎週生まれ変わるナタリー・クローバー。2人の邂逅がソフィアの人生を大きく変えていく。
父親と対峙したことで、エディやノアとの関係もまた変化し、母親との関係も変化するのでしょう。
ナタリー・クローバーはソフィアにとって幸運を運ぶ四つ葉のような存在だったのだと、読み終えて気がつきました。
とても面白かったです!