S A コスビーのレビュー一覧
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ネタバレSAコスビーのデビュー作。何故かハヤカワから刊行されている(ハーパーは版権を抑えれんかったか?)
この後の作品の原点なんだから当然だが、コスビーらしい、犯罪と暴力と差別まみれのアメリカで、それでも芯を通して生きる男の物語。
いわばバタ臭く作り直した。健さんの任侠映画っぽい感じ、主人公は常人とは思えないくらいにケンカが強く、やたらと女性にもてて、敵もそれなりにいるけど友達も多く、辛い過去を背負っているとはいえ、以降の作品の主人公ほどには不幸な人ではない。
その設定が、とにかく書きたいように書いた小説なんだろうなと思われて、その気分に乗れると小説を読むスピードもモチベーションも上がってくる。 -
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ネタバレデビュー作から一貫してたとこれを読めば分かる。頬に悲しみを刻めが1番好きで、これが2番目かな。
主人公が暴力のスイッチを入れられる瞬間がかっこいい。お母さんの言葉も素晴らしい。景色が真っ白になって、痛みを無視して暴力をふるう。
91ページで主人公に完璧に感情移入させられた。
1番ムカつくヴィクターを生かしておくのがフェアなとこだなって感じた。
会話の楽しさはこれが1番。
1ページに1つくらいウィットに富んだやり取りがあってそれだけでもう最高ですね!
次作が今年の6月に本国では出るらしいのでそれまでに2作目読みたい。
とにかくできるだけ地獄に近くなるように深く埋めて
大好きだったことをして -
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S・A・コスビーのデビュー作。
田舎町で葬儀社に勤める元海兵隊で元保安官補のネイサンは、イーソー・ワトキンス牧師死亡の調査を信徒から依頼される。表向きは自殺と噂されるが、腐敗した保安官事務所は詳細を語ろうとせず何か怪しい。調査を進めると、牧師周辺のきな臭い関係が明らかになってくる。
デビュー作だけあり、コスビー作品のエッセンスが濃縮されている。片田舎の中だけで物事が進むので物語のスケール感は小さく、後の作品で見られる社会問題まで盛り込むストーリーの深みみたいなものはあまりない印象で、わりとサラッと読めてしまうのだが、展開の面白さはさすが。ネイサンの相棒スカンクがあまりにも無敵で、都合の良い便 -
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S・A・コスビーのデビュー作。
『暗き荒野の果て』『頬に哀しみを刻め』『すべての罪は血を流す』という、その後の作品同様にアメリカ南部の田舎で暮らす黒人の社会と生きづらさ、そしてその社会の闇が描かれている。
主人公ネイサン・ウェイメイカーはかつて保安官として働いていたが、ある事件をきっかけに保安官を辞め、現在は従兄弟が経営している葬儀屋で働いている。
バプテスト教会の牧師イーソー・ワトキンスが死体で見つかり、警察は自殺として処理される。しかし、その処理に不審な点を感じた信徒からネイサンに実際には何があったのか事件の調査をしてほしいと頼まれる。
イーソー・ワトキンスを調べていくと牧師が働いていた -
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あのS・A・コスビーのデビュー作
そりゃ、読まないとダメでしょ!
S・A・コスビーと言えば、、、
強盗稼業から一度足を洗った男がまた犯罪に巻きこまれていく話で、アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞というミステリ主要三賞のほか、数々の受賞を果たした『黒き荒野の果て』
ゲイのカップルを惨殺された父親たちが犯人を捜して復讐する話で、『黒き荒野の果て』と同じ三賞を二年連続で受賞した『頬に哀しみを刻め』
黒人保安官がひと癖もふた癖もある部下を率いて連続殺人犯を追う話で、アンソニー賞やエドガー賞に輝いた『すべての罪は血を流す』
これらの作品があり、もうどの作品も面白い!
『黒き荒野 -
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フッドのトラブルシューターかと思って読み始めたらパニッシャーだった。作家も過ごしたのであろう南部の狭いコミニティを舞台に、「デビュー作には作家のすべてがあらわれる」という言葉通り、体験した、そこにあったはずの闇も暴力や差別も、音楽や文学、カルチャーも、土地の情景や暗黙のルールも言葉に文章にして、主人公の学んだ哲学に沿って言えば、血と一緒にスピットされる。過剰とも言えるほど盛り込まれて少し歪にも感じられるけれど、暴力的に色々なものを薙ぎ倒しながら突き進んでいく、めちゃくちゃ読ませる小説。サザン・パニッシャー・ノベル。最高だった。
暴力で「解決」しようとすることは「最高」とは言いづらい気もするけ -
Posted by ブクログ
牧師殺害事件の裏にはどんな秘密があったのか…人間関係のエモさに痺れっぱなし! #闇より暗き我が祈り
■あらすじ
アメリカ南部ヴァージニア州、白人の父と黒人の母の間に生まれたネイサンは葬儀社に勤める青年。日々死体を扱う彼のもとに、教会の信者から牧師殺害事件の調査を相談される。
彼は元保安官補佐であり、今の頼りない保安官では事件解決がされないと思われているからだ。調査を進めると牧師の裏の顔が見え始める、そして遂に命まで狙われることになり…
■きっと読みたくなるレビュー
2023年度このミス1位『頬に哀しみを刻め』で有名なS・Aコスビーのデビュー作。今回も鬼アツなノワールでしたね~、楽しませて -
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S・A・コスビー『闇より暗き我が祈り』ハヤカワ文庫。
ハーパーBOOKSから刊行された『黒き荒野の果て』と『頬に哀しみを刻め』、『すべての罪は血を流す』の3作は非常にレベルの高い作品だったが、ハヤカワ文庫から刊行された本作はどうだろうか。
デビュー作のようだ。主人公は白人の父親と黒人の母親との間に産まれたネイサン・ウェイメーカーという名の葬儀社で働く青年なのだが、ウザいくらいにジョークを飛ばすので、せっかくのハードボイルド・ピカレスクが台無しになっている。
やはり、『頬に哀しみを刻め』、『すべての罪は血を流す』の2作には到底及ばないようだ。無論、『黒き荒野の果て』にも劣るような出来栄えだ