松下龍之介のレビュー一覧
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ネタバレ200年前の骨のDNA鑑定が失踪した妹のものと一致したという、若干SFチックにも感じるあらすじだけど、タイムスリップ!とかぶっ飛んだものでも、かといって矮小な真相でもなく、白けることなく話に入り込むことが出来た。
挿し木の紫陽花を自分と重ねる紫陽と、遺伝子人類学を専攻する悠。思い返せば紫陽の正体は明確だったのかもしれないけど、悠が精神的に不安定である描写でまんまと騙されてしまった。
エピローグで悠が唯と良い感じになってるので『あんなに紫陽に執心だったのにコロっと気が変わってる』という感想を見かけたけど、失った存在を共有出来る人との繋がりを強く持ちたくなるのは当然だと思うので不自然には感じな -
Posted by ブクログ
ネタバレ一次元の挿し木
2025.12.17
一時期すごく話題になっていて積読してたのが、やっと読めた!大学院生や遺伝子研究など、自分と近い境遇の主人公だったので理解しやすくどんどん読み進められた。挿し木という概念を久しぶりに思い出したので、直線的で後戻りができない世界に突然現れるというメタファーになっているのがなるほどと感じた。
ラストのシーンでいなくなった紫陽を探さず、これでよかったと終わってしまうのは少々疑問だったけど伏線がたくさんばら撒かれどんどん回収されていくのは、せっかちな私にとって良かった。
緊張感あふれる牛尾のシーンでは、ドキドキとスリルがものすごく感じられて読んでいるこっちまで -
Posted by ブクログ
ネタバレ序盤は名前の読み方の慣れない人物が登場したり、◯年前と節ごとに年月が変化していき、読書を今までにあまりしてこなかった私は少し混乱した。
中盤では、設定や著者の書き方の癖を理解してサクサク読み進めた。だが、ここから少しずつ理解しては疑問が湧きの繰り返し。それが小説というもの、と言われてはぐうの音も出ないが、、特に牛尾の正体や仙波先生の過去の出来事(これは終盤か?)。
突然現れる「ちゃぽん」(想像すると怖いけど音の響きの柔らかさ)や悠と周りの面々との恋愛(男女の関わり)を入れ込むことで一旦冷静さを取り戻させる、ギャップは個人的に読書不慣れな私のような読者に読みやすさを与えていたようにも受け取れ