金谷啓之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
睡眠の本かと思いきや、序盤は27歳とまだ若い著者の、さらにもっと若い小学生時代のクロアゲハの研究から話は始まる。
幼虫、蛹、蝶の観察日記(ビデオ)で夏休みの宿題とし、それが年々パワーアップ、
凄い少年がいたものだ、と感心。
そのまますくすく高校生になり、大学受験をせざるを得なくなって、
出会ったのがヒドリ。この脳のない、植物だか動物だかわからないものに魅せられ、
ヒドリが眠る、ということに気づく。
そこから興味は睡眠へと移り、九州大学で学んでいた彼は東京に出て、
研究を続ける。
麻酔が何で効くのかがいまだわかっていないというのがすごい話。
しかし我々は麻酔に命を預け、手術の痛みから逃れることが -
Posted by ブクログ
身近なテーマであるが謎だらけである。
そもそもなぜ寝ないとならないか?生物にはみな眠りがあるのか?必要なのか?著者の生物への興味の変遷を通して、睡眠の本質へと迫っていく。
人生90年としても、そのうちの1/3の30年(1日8時間眠れば)は寝ていることになる。纏まった数値で知らされると、何とも非効率な人生に思えてくる。実験を通して、ヒト以外でも次々に眠りに入ることが確認されてきた。驚くべきことに、脳のない単細胞生物でさえ、眠りが必要であるらしい。その仕組みを睡眠の2元モデルで解説しているが、そもそもそのモデルをいつから獲得したか、なぜ必要としたかは謎のままである。麻酔をかけたときの眠りとの違いは -
Posted by ブクログ
僕は終日デスクワークの日はたいてい昼食後15分机に突っ伏して寝ます。
睡眠不足とかではなく、単にオフの時間を作ると午後の業務に入りやすいから。
睡眠は身体のリカバリーにも大事ですが、脳を休ませることが主たる目的と思ってました。
なんと、ヒドラという、脳を持たない単細胞生物も眠るそうです。
何をもって睡眠というのか、
意識とは何なのか、
麻酔にかかっている状態と睡眠の違いとは、
難しく言えばどこまでも専門用語で押し切れそうなところを、専門用語と平易な例えをうまく織り交ぜて説明してくれる。
福岡伸一先生やさかなくんさんのような円熟のなせる技と思っていましたが、なんとまた20代半ば。
未知の -
Posted by ブクログ
幼少期から探究心が強く、小学生はアゲハチョウ、高校ではプラナリア、そしてヒドラに出会い生き物を研究しながら睡眠とは?意識とは?に迫る。
未だ解明されていないことを取り組みたい実験やどう研究していくか?など赤裸々に語ってくれているのも新鮮でとても読みがいがある。
分からないこともあるが、それ以上に作者の興味の続いていく様を読ませてもらえるのが面白い。
まだ27歳の作者、金谷啓之ひろゆき氏の今後に期待!
夢は生の状態から離れ、死に近づく状態、と言われていた、19c〜20c に精神分析学を唱えたフロイトは、心は、1. 意識 2. 前意識 3. 無意識 の3要素からなると。
1. 簡単に自覚する -
Posted by ブクログ
著者の小学生時代のクロアゲハとの出会い、高校生でのプラナリアの研究、大学でのヒドラの睡眠に関する研究、大学院での麻酔と意識の研究といった活動がいきいきと語られていて面白かったです。
睡眠の起源について知りたくて読んでみたのですが、まだまだ解明すべきことがたくさんありそうで答は今回は見つからず、といった感じでしたので、星4つとしました。
理系を目指す中高生や理科系大学生にも読んでもらいたい一冊です。
【目次】
はじめに――生物はなぜ眠るのか?
第一章 クロアゲハは夜どこにいるのか
第二章 眠りのホメオスタシス
第三章 眠りと時間
第四章 ヒドラという怪物
第五章 眠りのしくみ
第六章 眠りの起 -
Posted by ブクログ
若き大学院生による初の著書。
だが、侮ってはいけない。「睡眠の起源」と題するこの本の内容に衝撃を受ける。
人はなぜ眠るのか?という問は古くからある。著者はこの問に対し、脳を持たないヒドラでも眠るという事実を発見する。
睡眠とは脳の機能の生理的現象ではないのかと思っていたが、よくよく考えてみれば、腸、腸は第2の脳と言われるが、腸があれば、腸が脳の機能を果たすため、脳がなくても睡眠はあるといえるのだろう。
でもヒドラという生物。遺伝子はヒトより多い3万個あるという。因みにヒトは2万3千個らしい。これを聞いて、はてどう思う?
睡眠圧
睡眠のメカニズムは、起きている間に「睡眠圧」が徐々に高まり、 -
Posted by ブクログ
ちょっと気になって買ってみたけど面白い!
なんだかドキュメンタリーみたいで読み終えた後も余韻に浸ってしまった……
ゴリゴリ理系の話だけども事前知識がなくても読みやすく、かつ複雑な話もわかりやすく例えられていてイメージしやすい。
本筋とはズレるけど、子供の頃から研究者になりたくてアゲハチョウを研究していた等、凡人とはまったく違うエピソードしかない。これは金谷さんにしかきっと出来なかっただろうなと思う反面、サポートしてきた周囲の大人たちを見習いたい。子供がターゲットの本ではないと思うけど、何か一つを突き詰めることの楽しさ、研究の楽しさ、生物への興味を養えそうなので子供にも積極的に読んで欲しい本。