アグラヤ・ヴェテラニーのレビュー一覧

  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    独裁者によって生活ができなくなった主人公の家族が、国外へ脱出しサーカスの団員として生活をする半生を書いたもの。
    社会的な弾圧と家族の中での個々との共存、サーカスという世界、信仰によって造らせた精神がとても危ういと感じる。
    子どもという狭い世界での知識による外と内との折り合いの付け方がアンバランスすぎて、環境のせいではあるものの崩れることをこんなにも予感させることはない。
    家族をものとして扱う父親や、恐怖で支配し自分で作った世界に押し込める母親、対になる姉、存在することで自分の価値だと思い込むペット、今でいう毒親に育てられ大きく育った主人公の、願いなどなくやっぱりねとなる終わりに向けて読むことを

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    2025年01月06日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    残酷な環境を少女の純粋で明るい語りで伝えられるので心をグサグサ刺される。

    物語の終わはあまりすっきりしない。何故かというと、本当のラストはあとがきで伝えられる作者の早すぎる最期だから。

    「地獄の裏に天国がある」

    生まれる国が違うだけでここまで境遇の違いがあっていいのだろうか。

    文字数も少なく読みやすいのに、読後に色々考えさせられる。この作品に出会えてよかった。

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    2025年11月23日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    ふしぎな書物。まるでわたしが主人公になったみたい。
    父さんと母さんと姉さんと、ほかの人たち。
    ところどころ、絶叫したり、余白をもたせたり、繰り返したり。
    少女の肉声が絶えず語りかけてくるようだった。

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    2025年11月12日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    どれが実体験でどれが小説なのかは分からないけれど、小説であって欲しいところが全て実体験のような気がする。両親がルーマニアを出たことは良かったのかも知れない。ずっと不幸の霧の中を生き抜いていくわけだけど、一度も食べるものがないとか衣服靴がないなどの描写はない。とはいえ食料や衣服があれば幸せかといえば、おおむねそうではあるけれど絶対ではない。
    ルーマニアからの避難民、サーカスで各国を転々とする毎日。これだけでも子供にとって安心出来る場所はない。その上に母親が死と隣り合わせの曲芸を毎日やっているとなると子供が不安定な精神状態になるのは当たり前。その様子はロリコンだけでなく全ての男達にとって好都合だっ

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    2025年10月26日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    サーカス団に入って移動している移民家族。その娘のどこか危うい成長。ゆるやかに、あるいは突然に崩れる文体が彼女の精神状態のようで目が離せなせずひりひりする。

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    2025年07月19日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    どこまでが自伝で、どこまで妄想なのか創作なのか、よくわからない不思議な世界に連れ込まれる。
    元靴職人と揶揄されるチャウシェスク政権下のルーマニアでの悲惨な生活は繰り返し語られ、豊かな生活を求めて西側に脱出しても旅回りサーカスの一員であるロマでは難民の暮らししかできない。
    にもかかわらずルーマニアに残った親戚縁者からは西側で富裕な生活をしていると信じ込まれて繰り返し支援を求められる。
    父母は離婚し、映画スターになる夢も実現しない。
    という陰々滅々な世界が延々と続いて、後半では少々うんざりする。

    この本の訳者あとがきで驚いたのは、韓国文学の紹介で八面六臂の活躍をされている斉藤真理子さんが翻訳され

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    2025年01月09日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    ひと目見ていま読むべき作品だと手に取って読んだものの、衝撃すぎてなかなか感想がまとまらなかった。

    抽象画を言葉にしたらこうなるのではないかという、散文詩のような形式でつづられていくのは、時代と、場所と、家族に翻弄された一人の少女の内側からの視点。
    読んでいる方が、おかゆの中で煮られているような感覚を覚えていく。

    どこからどこまでが作者の投影なのかはわからないものの、まだ若くして亡くなられたということにどこか納得してしまった。
    キャンバスに叩きつけるような言葉を吐き出す感性の持ち主が、このような世界で生きていかざるをえなかった人生の激しさを思わずにいられなかった。

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    2024年11月03日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    社会主義国ルーマニアから亡命してきた一家。
    ロクデナシでピエロの父。曲芸師の母。父に溺愛され、その関係は家族を超えている姉。そして踊り子の私の一家が、放浪生活をしながらサーカスで何とかお金を稼いでいく。

    作者のアグラヤ・ヴァテラニーは39歳で亡くなっており、本作は37歳のときに出版された作品。
    作者自身がルーマニア生まれで5歳のときに亡命して、77年にスイスのチューリッヒに定住するまでサーカスの興行をしながら生活していたらしい。

    余白が多く、作品自体とても短い。だが、読むのは結構苦しかった。
    タイトルからすでに何だこれ、となるのだが常に不穏な気配がずっと張りついている作品で、ときには禍々し

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    2024年10月25日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    もっと小説ではなく散文詩として捉えて、そういう製本をするべきだったのでは?ソローキンじゃないんだから。

    内容自体は評価できる。太字はチープだ。

    最後を描きたかったんだな。良い本は光り輝く(本当に目が潰れるくらいの光が)瞬間が一つある。もっと薄い本になれば、その時また読み返したい。

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    2025年07月19日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    39歳で非業の死を遂げた作家の自伝的小説。

    ルーマニアのサーカス一家に生まれた彼女が、子どもの視点から「母さん」「父さん」「姉さん」「おばさん」について語る。

    短文なので感情がそのままに伝わってくる。
    怖さや驚きや悲しみや表せない感情をこれでもか、と浴びせてくる。
    常に危険を感じて生きているようで苦しさばかりを感じてしまう。

    悲しいと、年をとる。 これは辛いな…

    そして、子どもはほしくない。の言葉が延々と3ページに渡り続く。

    タイトルにも何かを感じてほしいと投げかけているようで…何を思っても正解などないような気がした。






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    2025年06月13日
  • その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

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    “悲しいと、年をとる。
    わたしは外国の子どもたちより年上だ。
    ルーマニアでは、子どもたちは生まれたときから年をとっていた。母さんのお腹にいるときから貧乏で、両親の心配ごとを聞かされていたから。
    ここの生活は天国みたい。でも、だからといってわたしが若くなるわけではない。”(p.35)

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    2025年01月25日