久栖博季のレビュー一覧
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『貝殻航路』久栖博季
私は生まれも育ちも札幌だけれど、
釧路や根室には子どもの頃から何度も足を運んできた。
同じ北海道とはいえ、
札幌から6時間、7時間とかかる遠い場所。
大人になってからは自分で車を運転して、
なぜだか引き寄せられるように道東へ向かった。
重く垂れ込める霧。
夏でも肌寒いほどの冷たい空気。
潮の匂い。
そして、どこか哀しみをまとった異国めいた気配と、
不思議な拒絶感。
納沙布岬にも幾度となく足を運んでは、
海の向こうの異国の輪郭が見えないかと、
ずっと目を凝らしていた。
そんな馴染みのある空気感が、本作では
とても静かな時間の流れのなかで描かれていて、
何度も記憶を -
Posted by ブクログ
ネタバレ貝殻島を教えてくれたのは父親。
灯台には船を導く大事な役割がある。
そう教えてくれたのも父親。
p15
〈いつからかわたしは、父さんの墓標だと思うようになった〉
北方領土にある灯台。
壊れても修理されることはない。
詩を読んでいるような感覚だった。
あるいは、静かなドラマを観ているような。
主演は奈緒さん。
父親は、リリー・フランキーさん。
あめみやは、生田斗真さん。
妹、夕希音は吉岡里帆さん。
灯台が見える海の風景を思い浮かべていると
父親のエピソードが飛び込んできて
青空が広がる中、急に空が翳っていくようだった。
不思議な小説。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代に暮らすアイヌの系譜の話です。アイヌと和人の歴史の間で揺れ動く「自分」が一体何者なのか、春子おばさんとの交流を通じて探していく。
壮絶ないじめシーンがあるうえに肉体的にむちゃくちゃ痛そうすぎるシーンが頻繁に出てきて読んでいて痛かった。
他者から見てアイヌか和人かは判別がつかない、その人が抱えている事情はわからない、自分のことは自分でさえよくわからない……他者との断絶がもたらす苦しみが絶えず物語の中で続いている。
読んでいて苦しかったが、最終的に春子おばさんと和解(?)し、主人公なりにけりをつけることができたあたりでようやく清々しい心持ちになった。
もうひとつ収録されている短編には性交渉シ