久栖博季のレビュー一覧

  • 貝殻航路

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    『貝殻航路』久栖博季

    私は生まれも育ちも札幌だけれど、
    釧路や根室には子どもの頃から何度も足を運んできた。

    同じ北海道とはいえ、
    札幌から6時間、7時間とかかる遠い場所。
    大人になってからは自分で車を運転して、
    なぜだか引き寄せられるように道東へ向かった。

    重く垂れ込める霧。
    夏でも肌寒いほどの冷たい空気。
    潮の匂い。
    そして、どこか哀しみをまとった異国めいた気配と、
    不思議な拒絶感。

    納沙布岬にも幾度となく足を運んでは、
    海の向こうの異国の輪郭が見えないかと、
    ずっと目を凝らしていた。

    そんな馴染みのある空気感が、本作では
    とても静かな時間の流れのなかで描かれていて、
    何度も記憶を

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    2026年04月04日
  • 貝殻航路

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    第174回芥川賞候補作
    あっと言うまに読み終えました
    物語はゆっくり進みますが、なんとなく物悲し思いが残ります…

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    2026年07月28日
  • 貝殻航路

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    ネタバレ

    貝殻島を教えてくれたのは父親。
    灯台には船を導く大事な役割がある。
    そう教えてくれたのも父親。
    p15
    〈いつからかわたしは、父さんの墓標だと思うようになった〉

    北方領土にある灯台。
    壊れても修理されることはない。

    詩を読んでいるような感覚だった。
    あるいは、静かなドラマを観ているような。
    主演は奈緒さん。
    父親は、リリー・フランキーさん。
    あめみやは、生田斗真さん。
    妹、夕希音は吉岡里帆さん。

    灯台が見える海の風景を思い浮かべていると
    父親のエピソードが飛び込んできて
    青空が広がる中、急に空が翳っていくようだった。
    不思議な小説。

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    2026年07月30日
  • 貝殻航路

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    ロシアに拿捕された過去を持つ父との確執。アイヌの血を引く夫の不在。北方領土を望む道東の霧深い街で、国境や民族という歴史の重みと、個人の孤独が静かに交差する。

    終盤、北海道の果てしない道を車でひた走り、自己を解放する主人公の姿がとても良かった(やってみたい)。
    貝殻島の灯台の光が象徴的。喪失から希望をすくい上げ、人生の航路を照らすような物語でした。

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    2026年06月27日
  • 貝殻航路

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    北の地で生まれ、漁師の父はロシアの沿岸警備船に拿捕されて以来、海に出ることはなくなった。

    アイヌの血を引く夫は行く先も告げずに家を空けることが多い。

    孤独なのか、不安なのか…心の内がわからぬまま義妹とは会う。

    淡々と進んでいくのに取り残された感がしないのは、情景が目に浮かぶからだろうか。
    孤独さと寂しさが風景に溶け込んでいて、声は届いてこない。
    それは推し量るしかないのかと…。


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    2026年04月22日
  • ウミガメを砕く

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    ネタバレ

    現代に暮らすアイヌの系譜の話です。アイヌと和人の歴史の間で揺れ動く「自分」が一体何者なのか、春子おばさんとの交流を通じて探していく。
    壮絶ないじめシーンがあるうえに肉体的にむちゃくちゃ痛そうすぎるシーンが頻繁に出てきて読んでいて痛かった。
    他者から見てアイヌか和人かは判別がつかない、その人が抱えている事情はわからない、自分のことは自分でさえよくわからない……他者との断絶がもたらす苦しみが絶えず物語の中で続いている。
    読んでいて苦しかったが、最終的に春子おばさんと和解(?)し、主人公なりにけりをつけることができたあたりでようやく清々しい心持ちになった。

    もうひとつ収録されている短編には性交渉シ

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    2025年06月20日