竹村牧男のレビュー一覧
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鈴木大拙の39のことばを引用し、その意味をわかりやすく解説している本です。また巻末には大拙の生涯をコンパクトにまとめた文章も収録されています。
著者は、大拙の思想の継承者である秋月龍珉の弟子であり、いわば大拙の孫弟子にあたる仏教研究者です。大拙の禅理解に対しては、実証的な仏教学の立場から批判がなされており、近年では沖本克己の『禅―沈黙と饒舌の仏教史』(2017年、講談社選書メチエ)で厳しい評価がくだされていますが、大拙の思想が彼独自のものであるとしても、近代日本の思想史・宗教史において重要な位置を占めることはたしかだといってよいでしょう。本書は、大拙の思想を示す章句を紹介し、大拙の禅思想の世 -
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「はじめに」では、「日本仏教の主要な思想史のほぼ全体を見るに便利な一緒かと思います」とありますが、本書であつかっているのは聖徳太子から鎌倉新仏教までとなっており、江戸時代や近世以降の仏教思想の展開はとりあげられていません。また「特に教理の要点を詳しく平易に解説したつもりです」と書かれていますが、じっさいのテクストをなるべく紹介しようという方針が採用されているようで、末木文美士の『日本仏教史』(新潮文庫)などの入門書にくらべると、若干敷居が高いのではないかと思います。
けっして悪い本ではないと思うのですが、日本仏教の全体像を一通り知りたいという読者のニーズからはすこしずれている内容だと感じまし -
Posted by ブクログ
仏教の思想を信仰の立場からではなく、世界と人間のありかたについて考察する「哲学」としてとらえるという、すこしユニークな視点からの仏教入門書です。
縁起の思想を関係論的コスモロジーとして解釈したり、唯識をユング心理学のようなものとして理解する試みはけっして珍しくないのですが、わたくし自身は信仰によるコミットメント抜きで哲学的にその思想を理解することには抵抗を感じます。著者はこのこともじゅうぶんに留意していて、「私はただ仏教は哲学であるということだけを主張しようとしているわけではない」と語っており、仏教のなかに現代のさまざまな問題を解決するための「知」を求める立場から、仏教を哲学としてとらえるこ