ヘンリー・オースターのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺の中、必死に生き抜いた(主に10代の頃)著者、ヘンリー・オースターさんの実話です。
壮絶な収容所での生活が克明に描かれていました。人間としての尊厳が全くない現実に、言葉を失いました。写真もたくさん載せられており、真実を知ることができました。
ナチス支配下でのユダヤの人たちの生活を初めて知ったのは、小学生のころ読んだ「アンネの日記」。その後、完全版の本を読み、自分がアンネの立場だったらと思うと、いたたまれない気持ちになりました。
アンネは強制収容所で亡くなり、短い生涯でした。一方ヘンリー・オースターさんは生き延びることができたものの、本当に過酷な10代で -
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Posted by ブクログ
初めからあまりの迫力に、読むのをやめたいと何度思ったことか。それでも読み進めて行くうちにこれが事実だったのかと打ちひしがれた。アウシュビッツについてはメディアでも取り上げられアンネの日記も読んで、なんとなく知っていた気分になっていたが、今回の読書でいかに何も知らなかったかを思い知らされた。まさに紙一重で命の選択がされる日常。父や母との別れ。人間の尊厳を軽く扱う非情さ。
後半ヘンリーが解放されてからは少しずつ人間らしさを取り戻していき、読む側も心が軽くなっていった。
これを映像化することは賛成しない。この迫力は映像では伝わらない。 もう『シンドラーのリスト』『ライフイズビューティフル』などで映 -
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Posted by ブクログ
現代の日本に生きる我々は戦争は知らないですし、このような悲劇も本や映画の中でしか知りえないのですが、ホロコーストだけでなく、現代のウクライナやパレスチナでの戦争など、目を逸らさずに学ばなければいけない事だと思います。
『この世から消え失せてしまった家庭を、もはやどこにも存在していない家庭を取り返すことなどできないのだ。殺害された家族を取り戻すことはできない。破壊され、焼かれ、葬り去られた暮らしを再生することなどできない。』と言う言葉は、疑うべきもない当然の事のはずなのですが、今も憎しみ合い、争い合っている多くの人々は忘れないで欲しいと思います。
自分は自分自身がこのような体験をして、憎しみ -
Posted by ブクログ
1928年、ドイツのケルンで裕福な家庭に生まれたユダヤ人のヘンリー・オースターがナチスドイツの迫害による地獄の日々を振り返り、自ら著したノンフィクション。
彼の父は軍の英雄であり、実業家でもあったが、1935年、ニュルンベルクで開かれたナチ党大会で反ユダヤ主義的方針が固まるや、軍人恩給は停止、住居は剥奪され、強制収用所での労働に従事、一月に一度週末の帰宅を許されることになる。
第二次世界大戦が始まり、1941年にはオースター一家はポーランドのウーチ・ゲットーに収用され、父は作業中に銃撃されて負傷、やがて、失意によるうつ状態の中で餓死する。
残されたヘンリーと母はアウシュヴィッツに送られ、母は選 -
Posted by ブクログ
感想:ホロコーストについて何度か読んだことはあったが、これほど実体験を感じるようなものはなかった。共感力の高い人にはとても辛く辛辣な状況に心痛め、悲しんでしまう本であると思う。しかし、傷つくからこそ寛容にかつ人の気持ちを汲んで行動できるようにもなる、そんな一冊であった。
学び:怨念、憤怒による復讐は悪のスパイラルがあり、状況は決して良くならない。しかし、受けた痛みを受け止め、復讐でなく“寛容”に対処できたらどれだけ世界は平和になるのだろうか。これは「言うは易く、行うは難し」であるが、実際にでないことではない。こんな考えや思考を持って行動していきたいと感じた。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレケルンに生まれたユダヤ人の少年が3つの強制収容所を奇跡的に生き延びてアメリカ人になるまでの話。小説ではなく個人の伝記で、比較的裕福だった家庭で生まれたハインツが小学校の入学式に始まるユダヤ人迫害の段階を語る内容。初期は強制収容所から帰ってきた人がいたり労働せず軟禁するだけだったが、戦争の状況も相まって徐々に悲惨な環境になっていく。
ユダヤ人ではあるがドイツ語が母語のため、報告係になったり特別任務を任されたりしていた。タイトルの「厩番」だったのは2か所目の強制収容所で、当時まだ移動や荷物の移動に主力だった馬の生産にティーンエイジャーを選抜し妊娠した牝馬を中心に世話を命じられたことに由来する。
強 -
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Posted by ブクログ
「あれは決して許すことのできない、
忘れてはならない行為ということだけです」
アウシュビッツをはじめとしたユダヤ人大量虐殺を生き抜いた方の手記。
心が苦しくなるような事実、しかも80-90年前のことと思うと、今ある平和な日常の有り難さを実感じた。
歴史を繰り返さないためにも、過去を知るためにも一読すべき本。
夜の霧を読んだ時にも感じたけれど、どんな時でも希望を捨てないことが大事。
今世界が少しおかしな方向に向かっている感覚があるが、著者の言うように「寛容で思いやりのある世界」ここが目指すべきところ。
悍ましい場面もあるけれども、とても読みやすく訳者の方の表現力も素晴らしかった。 -
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