神戸新聞取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
将来医療従事者になるからこそ読まねばと思って手に取ったのがきっかけ。
あり得ないくらいおぞましいことが起こってるようでいて、それを解き明かしていくと、事件が起きるまでの経緯は人間心理を考えると妥当なように思えて
人間とか社会構造とかそういうものの危うさに気づかされた。
個は集団に入ることでとても流されやすい生き物で、きっと明るみに出てないだけで、程度の差はあれ、今もいろんなとこでこういうことは起きつづけてるんだろうなぁ、と。
集団、組織としての改善策は色々書かれてたけど、個としての改善策は人間はこういう心理があってこう流されてしまう生き物なのだと自覚的であることなのかと思ってみたり。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルがもうただ事ではないですね。本書の病院だけでなく患者を虐待していた病院というのがたびたびニュースになりますが、本書の舞台になった病院や本書の中に出てくる病院・施設の他にもまだあるんではないか、発覚してないだけなのではないかと思えてならないです。まさに本書の章タイトル「精神科病院に日本の病理が凝縮」という言葉に集約されると言いますか…
虐待した人たちが特別に悪い人間だったわけでなく、同調圧力が生んだ行いであるということに暗澹たる気持ちになります。また、絶対的権力を振りかざした人間に逆らうことを諦めたことで蔓延しエスカレートしていく所業の悪辣さに怒りを通り越して震撼する思いでした。
本書 -
Posted by ブクログ
「ルポ 神出病院病院虐待事件」
新聞でこれを見つけ思わずポチっとしてしまった
かなり以前一度だけ足を踏み入れたことがある
車で1時間くらいのところにある病院
なんかくらーい雰囲気で早々に外に出た
息子が発達障害を抱えているため
精神科を受診することは特に珍しいことではない
〈神戸の精神科病院「神出病院」であった虐待事件。患者を人と思わぬ行為とそれを黙認する集団はどうして生まれたのか。〉
帯に「胸糞が悪い。許せない。それでも見ないフリをする都合のいい人間でいたくない」とある
うわー、えらい本を読み始めてしまった
後悔したけれど我慢して読み進めた
今は改革が進んで生まれ変わったようだが…… -
Posted by ブクログ
虐待は絶対に良くないことだが、長期入院はそんなに悪いことだろうか?この国ではまだ精神障害への理解が進んでおらず、地域で共存すると行ってもグループホームなどがない地域もある。家に帰ると行っても家族で看ることに限界を感じたから入院となったのではないだろうか。また帰る家を持たない人もいるはずだ。退院支援はやりがいのある仕事ではあるのだろうが、行き場のない人々に出来るだけ居心地の良い病院を作り、長期入院を苦痛だと思わせないことも同じくらい重要ではないかと思う。もちろんそのことにより医療スタッフに過大な負担がかかるようでは本末転倒であり、虐待の要因になりかねない。精神医療への理解より先に、労働に見合った
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Posted by ブクログ
ネタバレ黴の生えた病棟で
ルポ 神出病院虐待事件
著者:神戸新聞取材班
発行:2024年6月25日
毎日新聞出版
初出:「神戸新聞」2023年6月29日~7月12日掲載「黴の生えた病棟で―神出病院虐待事件3年」、大幅書き下ろしを加えて再構成
2020年3月、神戸市西区にある精神科病院「神出(かんで)病院」の看護師5人と看護助手1人(全員男性)が、準強制わいせつなどの疑いで逮捕された。性的なものを含め、入院患者に対して虐待を繰り返していた。逮捕されたのは6人だが、そうした虐待に加担した職員は他にもいたし、多くの者が虐待の事実を知っていたり、聞いていたりした。しかし、諸悪の根源はその時の病院長Aであり -
Posted by ブクログ
2020年、兵庫県の神出病院にて、看護師や看護助手らによる精神病患者への虐待が発覚した。事件と病院を取り上げた地元紙のルポ。
事件単体より、日本の精神科病院の問題点に焦点を当てている印象。関係者はともかく、事件の加害者や被害者には取材がいまひとつ及んでいないため、犯罪ルポとしては厚みを欠く印象。特に、加害者が加害者になった理由を推察する章はスタンフォード監獄実験などを持ち出しており、どうも掘り下げ方が弱い。
一方で、日本における精神医療の歴史とその問題点を扱った章はそれなりに読み応えがあった。事件発覚後の混乱の様子も、実際の写真と合わせて迫真性がある。
事件後は病院の改革も進んでいるとのこと