黴の生えた病棟で

神戸新聞取材班

精神科病棟の看護師たちは、夜な夜な患者をもてあそび、笑っていた。
彼らはごく普通の「いい子」たち......のはずだった。

2020年３月、兵庫件神戸市西区の精神科病院「神出病院」の看護師や看護助手ら６人の男が患者への虐待容疑で一斉に逮捕された。看護の道を志して集まった彼らは、なぜ卑劣な犯行に手を染めたのか。閉ざされた病棟ではいったい何が起きていたのか。全国で相次ぐ同様の事件の背景には何があるのか？ 地元紙神戸新聞の取材班が事件とその背景に迫る！

• カテゴリ: ビジネス・実用
• ジャンル: 社会・政治 / 社会問題
• 出版社: 毎日新聞出版
• ページ数: 248ページ
• 電子版発売日: 2024年06月28日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 7MB

[ブクログ · ★★★★★]

2025/3/10

神戸の精神科病院での虐待事件。
看護師が悪人だったのか。
環境要因が大きかったことを知り、考えさせられた。

タイトルの「黴の生えた病棟」が比喩表現ではなく、病院の実情だったことに驚く。

「貧すれば鈍す」
どうすれば良いのか、わからないよ。

[ブクログ · ★★★★★]

将来医療従事者になるからこそ読まねばと思って手に取ったのがきっかけ。
あり得ないくらいおぞましいことが起こってるようでいて、それを解き明かしていくと、事件が起きるまでの経緯は人間心理を考えると妥当なように思えて
人間とか社会構造とかそういうものの危うさに気づかされた。
個は集団に入ることでとても流されやすい生き物で、きっと明るみに出てないだけで、程度の差はあれ、今もいろんなとこでこういうことは起きつづけてるんだろうなぁ、と。
集団、組織としての改善策は色々書かれてたけど、個としての改善策は人間はこういう心理があってこう流されてしまう生き物なのだと自覚的であることなのかと思ってみたり。

[ブクログ · ★★★★★]

まったく他人事ではない。集団生活を送る限り、被害者にも加害者にもなる可能性はある。SNSの炎上もまたしかり。

[ブクログ · ★★★★☆]

神戸市西部の郊外に位置し、ため池の多い町に建つ精神科病院。黴が生えたのはその地形によるものか、それとも管理不行き届き故か。6人の逮捕者を出した患者への虐待事件。浮かび上がったのは、利益至上主義。病床を埋めることが儲けにつながる。退院を抑制し、ケアはおざなりにする。荒んだ病棟が職員の志を奪う。保護入院制度が歪みを生み出す。廃止を試みるも、「精神病者の受け入れ先など他にない」の一言が現実を突きつける。心の病は世のお荷物でしかないのか？神出病院は再生を始める。誰もが罹り得る患いと前向き付き合える希望を持つ。

[ブクログ · ★★★★☆]

客観的に神出病院問題を掘り下げた良書。精神科病院の在り方を問う本でもある。信頼回復のためすべての精神科病院関係者が努力を続けたい。

[ブクログ · ★★★★☆]

儲け至上主義が事の本質なのでは
でもこれってそこかしこに見られるありふれた光景のような気もする。お客様の満足度と利益を上げるって両立しないのだろうか
なんて考えたりしたけど、その利益が結局の所理事の懐に入るシステムになっていて人事権を使うことによって恐怖政治化させ倫理観を失くしたイエスマンを側に置く。ってそれこそあるあるすぎて笑えない

[ブクログ · ★★★★☆]

神出病院ではないけど、精神科に勤めていたので興味深く読んだ
一方的な情報ではなく、希望を見いだせる再生物語ではあるけれど、、、、
肝心な患者　今現在或いはこれからなるかもしれない人には不安でしかない数字の数数

精神科に関わらず、病院経営について考えさせられる
とともに、日本における人権とは何か?
未だに理解できてないことがわかる一冊

[ブクログ · ★★★★☆]

とても重いが逃げられないテーマ。色々考えすぎて頭がグルグルする。だからこそオープンに話し合わなければなりませんな。

[ブクログ · ★★★★☆]

「ルポ　神出病院病院虐待事件」
新聞でこれを見つけ思わずポチっとしてしまった

かなり以前一度だけ足を踏み入れたことがある
車で１時間くらいのところにある病院
なんかくらーい雰囲気で早々に外に出た
息子が発達障害を抱えているため
精神科を受診することは特に珍しいことではない

〈神戸の精神科病院「神出病院」であった虐待事件。患者を人と思わぬ行為とそれを黙認する集団はどうして生まれたのか。〉

帯に「胸糞が悪い。許せない。それでも見ないフリをする都合のいい人間でいたくない」とある

うわー、えらい本を読み始めてしまった
後悔したけれど我慢して読み進めた
今は改革が進んで生まれ変わったようだが……

日本中に今もきっとある『神出病院』
閉ざされて悲鳴を上げている患者たち
どうかその声が届きますように……

≪　閉ざされた　その病棟は　黴だらけ　≫

[ブクログ · ★★★☆☆]

虐待は絶対に良くないことだが、長期入院はそんなに悪いことだろうか？この国ではまだ精神障害への理解が進んでおらず、地域で共存すると行ってもグループホームなどがない地域もある。家に帰ると行っても家族で看ることに限界を感じたから入院となったのではないだろうか。また帰る家を持たない人もいるはずだ。退院支援はやりがいのある仕事ではあるのだろうが、行き場のない人々に出来るだけ居心地の良い病院を作り、長期入院を苦痛だと思わせないことも同じくらい重要ではないかと思う。もちろんそのことにより医療スタッフに過大な負担がかかるようでは本末転倒であり、虐待の要因になりかねない。精神医療への理解より先に、労働に見合った賃金と、十分な人員確保が必要不可決であると感じた。