アマンダ・リプリーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実際に生活している上で、他者との対立は大なり小なり生じるもので、避けることはできません。
その際、できる限りよい対立に持っていくにはどうしたらよいか? その疑問に対する答えが、多くのストーリーとともに語られていきます。
本書では、悪い対立の特徴、よい対立の特徴を具に捉え、さまざまな例とともに読者に語りかけています。特に、悪い対立の特徴である二項対立の話は納得感が高いです。
結局は、相手との対話によって賛同せずとも理解し、よい対立としていこう、という話ではありますが、この「相手を理解する」というところは佐藤優氏がいう内在的理論を知るところと似ていたりします。
今後の生き方の示唆を与えてくれる良書でした。 -
Posted by ブクログ
実際の対立の例が色々載っていて面白かった。
ゲイリーの話(対立を調停するプロだったのに、自分が地域の政治に関わったことで対立に捕らわれていく)は読んでいて身につまされた。渦中にいると周りが見えないんだよなぁ、としみじみ思う。
以下メモ
・健全な対立
わたしたちがより良い人間となれるよう背中を押してくれる。
許すこと、屈することとは無縁
自らを守り、互いを理解しあい、向上していくことができる。
・不健全な対立 ハイ・コンフリクト
両者は敵対し、どんどん感情的になっていく
対立が自身の生存に対する脅威のように思えてくる。
対立がエスカレートすると、対立そのものが主導権を握るようになる
・集団同士の対立
それを煽るのは、物事を過剰に単純化してしまう感情と偏見
感情はどんなウイルスよりも感染力が強い
人々が対立において経験する感情の中で、タチが悪いのが憎しみだ。
憎しみのせいで、敵の本質は絶対に変わらないと決めてかかってしまうからだ
・集団には本音と建前がある
対立すればするほど、建前が幅をきかせる。対立を煽る人たちが出てくる。
・結婚における対立を避けるコツ
夫婦に、最近の喧嘩について書いてもらう。
ただし、自分ではない、「関係者全員にとって最善の状況を望む、中立的な第三者の視点」から書く。
実際に喧嘩をした時も、この第三者の視点を思い出すようにする。
・飽和点
対立の末に、得るものより失うものの方が多いと思える時点
対立から抜け出すチャンスの時期
・対立から外に出るには、時間と空間
・集団での対立から抜け出す(コロンビア内戦の事例)
サッカー中継の間のプロパガンダ放送で、多くのゲリラ兵が復員した。
元ゲリラ兵は、社会復帰サービスを受給できる。
必要なのは対立から抜け出す「道」を示す
安全で合法で、簡単に見つけられること
・対立から抜け出させるために
対立以外に残っている
アイデンティティを裏切るようなことを求めてはならない。
「己が信じるように生きる権利を否定されれば、人は社会からはみ出さざるをえない。」
・悪い対立を良い対立にするために
二項対立から抜け出し、複雑にする。多様性を持つ。
好奇心を引き起こす
相手を説得するのではなく、理解するよう努力を重ねる。 -
Posted by ブクログ
世界を広く見る視点を持ちつつ、自分へと立ち返りこの本の中の考え方に助けてもらうこともできる。良本でした。
他人との向き合い方を今生きている私と同じ立場と歩調で考えてくれる。対立とはどういうことか、他者への敵愾心はどこから来るのか、どうしたら自分が問題の解決ではなく対立の沼に嵌ってしまっているとわかるのか、そしてそこからどうしたら抜け出せるのか。
私も対立して他人を憎み、相手を悪としか見れなくなったことがある。今も容易くそうなってしまう。
私は政治や自分の本当に好きなものについては語りたくない。譲れないものがあるから。
日本人が政治について語りたがらないのは、きっと思想が異なると対立するから。
対立を避けたい気持ちはとてもわかる。私も他人に政治を語らない。
でも、若い人がこれだけ政治に無関心なのはそのせいなのではないかなと思う。対立を避けて何も語らないことはいい状態と言えるのかな…?
そういうことも考えさせられた。(だからと言って明日から友達とレスバしようとは思わないが)
本書は対立を悪とは言っていない。いい対立は自分を成長させてくれる。
相手の話を聞いて、相手を尊重する。そのとき自分の意見を譲る必要は、ない。
しっかり相手の話をきく。要約して「こういうことですね?」と相手に確認する。自分で勝手に相手の話を解釈しない。相手の話をきかなければ、相手は自分を尊重してはくれない。
すぐ対立の沼に嵌ってしまう私が偉そうなことなんて言えないけど、この本における「いい対立」を心に持っておきたい
でも譲れないものや好きなものについて語ることは相手に心の柔らかいところを晒すことでもあって、やっぱりちょっとこわいのだ…。仮に憎んでいる相手なら尚更に…。 -
Posted by ブクログ
良い本でしたね〜。
生きていると対立ばかりですが、自分も悪い対立を扇動してしまっているときがありますね。反省。
中でも、良い対立をするには、物語を複雑にする必要があるというところがとても印象的でした。
最近は論理的であったり、合理的であったりすることが良しとされている気配を社会に対して感じますが、見事に逆です。
話を整理して二項対立にするとわかりやすくはありますが、見えなくなるものも多いです。
物語を複雑にするには、好奇心をもって相手に接することがとても大切で、本当はどう思っているのか、なぜそう思っているのか、背景を知ろうとすることが必要です。
言われれば当たり前なんですが、実行するのが難しいですね〜。
対立は世の中の出来事ほぼすべてに敷衍できるように読み終えて感じています。
刺さる人が多い本かと思います。 -
Posted by ブクログ
事例や体験談をもとに悪い対立に巻き込まれることの恐ろしさがとても良く伝わる良書なのかも知れませんが、この分量ならもう少し踏み込んで書いて欲しかった気がします。
ちょいちょい出てくる「悪い対立を煽る紛争産業の複合体」って何者ですか?それって、もしかして…著者の属してるマスメディアも含まれるんですか?と、ちょっと不信感&不完全燃焼感。最後、ニューヨーカーと田舎の人々との心温まる交流話でうやむやに終わった感じがしました。
二項対立になくるらいなら多項対立の方がよいという話、良い関係を築く黄金率の話は面白かったです!やっぱり職場でも積極的に雑談した方がいいのかな〜と思い直しました。(と、言いつつ結構サボって雑談してるけど。)
あと、面白かったのは、アメリカではスタバに行く人は民主党、ダンキンドーナツ行く人は共和党だと思われるって話(爆笑)!日本はまだまだ平和だなぁと思えてよかったです。というか、アメリカの政治的な対立、根が深すぎて他国のことながら心配。
余談ですが、故・野村克也監督の言っていた「35歳を超えて敵がいないということは、人間的に見込みがないことである。何かを成し遂げようとすれば、敵は当然できる。」はウソかもな〜、少なくとも宇宙飛行士にはなれなそうだな〜、と思えたのは収穫でした。(私、敵対するの苦手なので…) -
Posted by ブクログ
ネタバレHigh Conflict。
本書が注目するのは、一般の人たちが対立から抜け出そうとする際の個人の内面での変容のプロセス、とのことです。
葛藤、ですね。
自分自身に落とし込んでたしかに、と思える点と、
アメリカ特有の歴史・文化的背景についての理解を少し深められる、という側面もあるかなと思います。
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一見、異なる人と人が対立している、グループとグループが対立している、という場合でも、
その対立は自分の中で生じていたりする、でもその本質的な部分は何なのかに迫る。
_イデオロギーは対立の背景を隠しているものにすぎない。この対立の背景は、裏切り、排斥、屈辱だ。誰が仲間で、誰がそうではないのか。
そんな葛藤が、
他者との関係の中で代理戦争のようになってしまったり、
物事を区別するというそもそもの機能を持つ言葉に乗っ取られて、二分化、二項対立がさらに先鋭化する。
…
信頼醸成のために時間をかけ、場を設ける、地道な取り組みが欠かせないのだろうと思いました。それは一生かけて取り組むテーマだなーと感じました。 -
Posted by ブクログ
二項対立の内の不健全な対立を主軸に、著者がインタビューしてきた人々の物語を例にしながら対立の中で何があったのか、どういった心理でどう考えていたのか、結果どうなってしまうのかを書いている。
そもそも不健全な対立とは、当事者たちにとっては理にならない悪循環に陥った対立だ。個人の、そして少人数の行動からちょっとしたいがみ合いから集団へ、そして憎しみになり対立した相手を「敵」と見なし見下す。そうやって進んでいく対立のことである。それに支配されたら抜け出すのは本当に難しい。だからこそ歴史の中でも、現代でも、人が不幸になる対立が続いている。対立の根本と目的をとにかく見失わないこと。固執せずに帰属意識だけではなく受け入れる意識もして、不健全な対立を避けるためにその意識を持ち続けたい。
そして発生した場合でも調停者の立場に居たいとも思う。私の周囲で発生したとしても本当に規模が小さなものだろうが。 -
Posted by ブクログ
第一期トランプ政権の誕生に前後して、世界の分断が激化しているという論調が多い。感覚的にはリベラル層が経済的な力をつけるとともに、二極化しているとの主張が増えてきた気がする。
本書はそんな二極化ブームの中で、対立の構造と解決策を真面目に取材・考察したルポルタージュである。タイトル「よい対立 悪い対立」からは、建設的・生産的な対立をどのように生み出すかという内容に感じるが、本書の内容はどちらかといえば、破滅に向かう対立のループから如何に抜け出すか、がメインテーマである。
破滅的な対立として、地域自治会の水道代のような小さな話から、シカゴのギャング、コロンビアの内戦のような、生命の危険と隣合わせな対立をの事例を挙げる。レベル感が違うものの、構造的には同型というのが本書の主張だ。なので解決策も、必要な労力の大小はあるものの基本的には同じように書いている。最後に、おそらく本書が一番主張したいであろう、トランプによって顕在化した米国の保守とリベラルの対立に対して、相互理解を試みた事例を取り上げる。これはまだ途上であり、揺り戻しも起きているようだが、一瞬でも分かり合えた奇跡としてエモく扱われている。
全体を通じて、あまりに苛烈な対立の当事者の話が中心なため、対立解決の方法論以前に、私たちの日々の対立とは別世界に感じて教訓にしづらい。更に、ルポルタージュ形式はドラマ性を捨象するため、情念的な訴えも少ない。この内容なら、小説や映画にした方が共感、共振を得やすいだろう。