あらすじ
ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家、受賞歴のあるジャーナリストのアマンダ・リプリー 待望の最新作
意見や価値観の違いをどう乗り越えるか?
膨大なインタビューと最新の研究から導き出された「対立の力学」
対立のその先へ。
対立の構造を理解し、乗り越えるために。
対立には「健全な対立」と「不健全な対立」がある。
健全な対立は、わたしたちがよりよい人間となれるよう背中を押してくれる。
自らを守り、互いを理解し合い、向上していくために欠かせない。
対して、「善と悪」「わたしたちと彼ら」といった、
相反する関係が明確になったときに起こるのが、
不健全な対立(ハイ・コンフリクト)だ。
・論点と関係のない揚げ足取り
・思い込みによる偽りの正義
・政党同士の足の引っ張り合い
そして、こういった不健全な対立は、とても興味深い現象ではあるが、理解はされていない。
対立とはどのようなものなのだろうか?
そして、不健全な対立を健全な対立に変える方法とは?
実際に成し遂げた人のエピソードから学んでいこう。
◎こんな人におすすめ
・ニュースやSNSのコメント欄での(醜い)言い争いを目にしており、うんざりしている、心が痛む
・SNS等の炎上、組織における部署・チーム間での(感情的な)争い、組織の変容をもたらしたかったがうまく昇華できなかった経験があり、その背景や理由を知りたい
・コーチング等で、普段からコンフリクトを扱っており、理解を深めたい
・最新知見や豊富なエピソードから、対立が起こるメカニズムや解決策を知りたい
◎豊富なエピソードで、小説のように面白い!
本書では、著者インタビューをもとに、対立に巻き込まれる人々の過程がえがかれています
◎対立を紐解く、研究や実験の紹介
ストーリーの合間には、なぜそのような行動を起こしてしまったのかなど、人の本質に迫る研究や実験が多数紹介されています
例)
・魔の6秒…患者が症状を説明し始めてから、医者がその話を遮るまでの平均時間はわずか11秒。もし医者が遮らなければ、患者はその6秒後には話を終えていた。
・カテゴリー分け…集団に分かれると、それだけで、本能的に自分のグループをひいきしてしまう。
・サイバーボール…拒絶や無視をされると、人は身体と同様に「痛み」を感じる(脳で痛みを感じる部位が発火する)。
・バカ運転手反射…ルールを無視したとき、他人の行動は人格のせいにするが、自分の行動には言い訳を並べて正当化する。
・魔法の比率…肯定:否定=5:1のやりとりが、健全な関係をつくる。
◎推薦多数!
「洞察力に富み、夢中にさせる」
―ニューヨーク・タイムズ・ブック・レビュー
「熟練した取材、深いリサーチ、魅力的なストーリーを融合させた。多くの人が互いに苦しんでいるいま、まさに求められるテーマに関する素晴らしい作品だ!」
―アダム・グラント(ベストセラー著者)
「非常に示唆に富んだ内容だ。政治やメディアに携わるすべての人、そして同僚とのいさかいや家族の集まりで喧嘩をしたことのあるすべての人の必読書になるべき」
―ダニエル・H・ピンク(ベストセラー著者)
「COVIDワクチンは間もなく人類を生物学的パンデミックから解放するだろうが、本書が広く読まれれば、同じく人類に致命的な災いをもたらしている不健全な対立から解放されるだろう」
―ジョナサン・ハイト(ニューヨーク大学教授、社会心理学者)
「本書の忘れがたいエピソードは、意見が大きく異なる者同士でも、いかに心を通わせ、前進できるかを示している。未来への確信を与えてくれる本だ」
―オマー・エップス(俳優、ミュージシャン)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あらゆる場所で分断(対立)が叫ばれる昨今、分断を避けるには、相手の声に耳を傾け、背景を理解し、思い込みをやめて人は複雑であると知ることが大切。そしてそれを継続すること。
相手に一方的にレッテルを貼って二項対立に持ち込む方が圧倒的にラクだし(しかもそこで相手を打ち負かせば即効性のあるアドレナリンというご褒美がもらえる)、分断や紛争は絶対になくならないだろうなあと、この本を読み終わったいま、改めて思う。でも読んだ自分は少しだけでもそれを避ける知恵を得たのではないか、と微かな希望を持った。全人類が読むべき良作。
Posted by ブクログ
私たちは職場や社会や家庭など、あらゆる場面で不健全な対立を目の当たりにしている。時には自分も渦中にある。不健全な対立から脱却するためには、双方共に相手の話を聞き、違う考えも受け入れることが大切だ。第二次トランプ政権になり、より分断に進みがちな風潮の社会には、とても示唆に富んだ内容だった。多くの人に読んでもらいたい良著だと思います。
Posted by ブクログ
人はなぜ対立するのか。「私たち vs 彼ら」の線引きなど、語り尽くされたテーマをいくつかの事例をノンフィクションとして取り上げており、いわばNHKスペシャル書籍版のような本。サンフランシスコ郊外のミュアビーチという自治会の話、シカゴのギャングの話、コロンビアの麻薬ギャングの話、ニューヨークのシナゴーグとミシガンの刑務所の刑務官のグループ交流の話、が折り重なって収録。元同僚Mさんが教えてくれて良本。
Posted by ブクログ
歴史も、世の中のニュースも、どれも「対立」でできている。
対立という視点でいろんな出来事をみると、構造が分かりやすくなるのかもしれない。
悪い対立は避けるべきというのは分かりやすい。どうやって「よい対立」をするのかは難しいけど、この本の終わりにはよい対立の事例が載っている。
「ネットはなぜいつも揉めているのか」も併せて読むといいと思う。
Posted by ブクログ
世界を広く見る視点を持ちつつ、自分へと立ち返りこの本の中の考え方に助けてもらうこともできる。良本でした。
他人との向き合い方を今生きている私と同じ立場と歩調で考えてくれる。対立とはどういうことか、他者への敵愾心はどこから来るのか、どうしたら自分が問題の解決ではなく対立の沼に嵌ってしまっているとわかるのか、そしてそこからどうしたら抜け出せるのか。
私も対立して他人を憎み、相手を悪としか見れなくなったことがある。今も容易くそうなってしまう。
私は政治や自分の本当に好きなものについては語りたくない。譲れないものがあるから。
日本人が政治について語りたがらないのは、きっと思想が異なると対立するから。
対立を避けたい気持ちはとてもわかる。私も他人に政治を語らない。
でも、若い人がこれだけ政治に無関心なのはそのせいなのではないかなと思う。対立を避けて何も語らないことはいい状態と言えるのかな…?
そういうことも考えさせられた。(だからと言って明日から友達とレスバしようとは思わないが)
本書は対立を悪とは言っていない。いい対立は自分を成長させてくれる。
相手の話を聞いて、相手を尊重する。そのとき自分の意見を譲る必要は、ない。
しっかり相手の話をきく。要約して「こういうことですね?」と相手に確認する。自分で勝手に相手の話を解釈しない。相手の話をきかなければ、相手は自分を尊重してはくれない。
すぐ対立の沼に嵌ってしまう私が偉そうなことなんて言えないけど、この本における「いい対立」を心に持っておきたい
でも譲れないものや好きなものについて語ることは相手に心の柔らかいところを晒すことでもあって、やっぱりちょっとこわいのだ…。仮に憎んでいる相手なら尚更に…。
Posted by ブクログ
健全な対立と不健全な対立について物語調で綴った作品。引き合いに出される例が素晴らしく興味をそそるものだった。具体的な解決策について触れられていないのは惜しい点だった。
Posted by ブクログ
不健全な対立には魅力があり、人はしばしばその罠に捕えられてしまう。それを自覚し、罠にはまらない、または抜け出す方法を知ることが大事。
なるほどと思ったのが、対立はシステムであり、システム自体が維持されるように人々を駆り立てる、という視点。渦中にいるとそれに気づけないから、より過激化してしまう。
日本はアメリカほどではないが、メディアやSNS上では分断や対立を煽る声が目立つ。そうした煽りへの免疫や解毒剤としてだけでなく、より良い対立への可能性を開く、価値ある一冊だ。
Posted by ブクログ
分断された社会の統合の方法論が見えてくる。
やはり、対面でアクティブリスニングにより話を聞く。
三原則を守って対話する。
それぞれの大切にしているものを尊重する。お互いに相手が間違っていると説得しようとしない。常に好奇心を忘れない。
これをもっと多くの人達に広げていくにはどうすればいいのか、少しずつ実践していくしかない。
Posted by ブクログ
不健全な対立と「よい対立」。健全と言わない面白さ。
それはより良い人間となれる対立を指しているから。
「善と悪」「わたしたちと彼ら」といった相反する関係が明確になったときに起こるのが不健全な対立。
Posted by ブクログ
良い本でしたね〜。
生きていると対立ばかりですが、自分も悪い対立を扇動してしまっているときがありますね。反省。
中でも、良い対立をするには、物語を複雑にする必要があるというところがとても印象的でした。
最近は論理的であったり、合理的であったりすることが良しとされている気配を社会に対して感じますが、見事に逆です。
話を整理して二項対立にするとわかりやすくはありますが、見えなくなるものも多いです。
物語を複雑にするには、好奇心をもって相手に接することがとても大切で、本当はどう思っているのか、なぜそう思っているのか、背景を知ろうとすることが必要です。
言われれば当たり前なんですが、実行するのが難しいですね〜。
対立は世の中の出来事ほぼすべてに敷衍できるように読み終えて感じています。
刺さる人が多い本かと思います。
Posted by ブクログ
事例や体験談をもとに悪い対立に巻き込まれることの恐ろしさがとても良く伝わる良書なのかも知れませんが、この分量ならもう少し踏み込んで書いて欲しかった気がします。
ちょいちょい出てくる「悪い対立を煽る紛争産業の複合体」って何者ですか?それって、もしかして…著者の属してるマスメディアも含まれるんですか?と、ちょっと不信感&不完全燃焼感。最後、ニューヨーカーと田舎の人々との心温まる交流話でうやむやに終わった感じがしました。
二項対立になくるらいなら多項対立の方がよいという話、良い関係を築く黄金率の話は面白かったです!やっぱり職場でも積極的に雑談した方がいいのかな〜と思い直しました。(と、言いつつ結構サボって雑談してるけど。)
あと、面白かったのは、アメリカではスタバに行く人は民主党、ダンキンドーナツ行く人は共和党だと思われるって話(爆笑)!日本はまだまだ平和だなぁと思えてよかったです。というか、アメリカの政治的な対立、根が深すぎて他国のことながら心配。
余談ですが、故・野村克也監督の言っていた「35歳を超えて敵がいないということは、人間的に見込みがないことである。何かを成し遂げようとすれば、敵は当然できる。」はウソかもな〜、少なくとも宇宙飛行士にはなれなそうだな〜、と思えたのは収穫でした。(私、敵対するの苦手なので…)
Posted by ブクログ
二項対立のような勝ち負けしかつかない考え方を変え、事象をもっと多面的、複雑にとらえるべきという点は非常に共感できたし実践していきたいと感じた。
ただ、あまりに話がアメリカに偏っていて理解しづらい部分が多かった。
Posted by ブクログ
最近自分の中で、誰かと対立していると感じることがあり、でもその状態は好ましくないので、何か手立てがないかと思い本書を手に取りました。
本文の中で、ユネスコ憲章の前文も引用されていましたが、人の心の中での葛藤がいかに難しく、自分を見つめ続けることをしていかなければならないと強く思いました。
対立に置かれた人々の様子が物語調で書き綴られているので、とても読みやすかったです。
Posted by ブクログ
High Conflict。
本書が注目するのは、一般の人たちが対立から抜け出そうとする際の個人の内面での変容のプロセス、とのことです。
葛藤、ですね。
自分自身に落とし込んでたしかに、と思える点と、
アメリカ特有の歴史・文化的背景についての理解を少し深められる、という側面もあるかなと思います。
・・
一見、異なる人と人が対立している、グループとグループが対立している、という場合でも、
その対立は自分の中で生じていたりする、でもその本質的な部分は何なのかに迫る。
_イデオロギーは対立の背景を隠しているものにすぎない。この対立の背景は、裏切り、排斥、屈辱だ。誰が仲間で、誰がそうではないのか。
そんな葛藤が、
他者との関係の中で代理戦争のようになってしまったり、
物事を区別するというそもそもの機能を持つ言葉に乗っ取られて、二分化、二項対立がさらに先鋭化する。
…
信頼醸成のために時間をかけ、場を設ける、地道な取り組みが欠かせないのだろうと思いました。それは一生かけて取り組むテーマだなーと感じました。
Posted by ブクログ
二項対立の内の不健全な対立を主軸に、著者がインタビューしてきた人々の物語を例にしながら対立の中で何があったのか、どういった心理でどう考えていたのか、結果どうなってしまうのかを書いている。
そもそも不健全な対立とは、当事者たちにとっては理にならない悪循環に陥った対立だ。個人の、そして少人数の行動からちょっとしたいがみ合いから集団へ、そして憎しみになり対立した相手を「敵」と見なし見下す。そうやって進んでいく対立のことである。それに支配されたら抜け出すのは本当に難しい。だからこそ歴史の中でも、現代でも、人が不幸になる対立が続いている。対立の根本と目的をとにかく見失わないこと。固執せずに帰属意識だけではなく受け入れる意識もして、不健全な対立を避けるためにその意識を持ち続けたい。
そして発生した場合でも調停者の立場に居たいとも思う。私の周囲で発生したとしても本当に規模が小さなものだろうが。
Posted by ブクログ
第一期トランプ政権の誕生に前後して、世界の分断が激化しているという論調が多い。感覚的にはリベラル層が経済的な力をつけるとともに、二極化しているとの主張が増えてきた気がする。
本書はそんな二極化ブームの中で、対立の構造と解決策を真面目に取材・考察したルポルタージュである。タイトル「よい対立 悪い対立」からは、建設的・生産的な対立をどのように生み出すかという内容に感じるが、本書の内容はどちらかといえば、破滅に向かう対立のループから如何に抜け出すか、がメインテーマである。
破滅的な対立として、地域自治会の水道代のような小さな話から、シカゴのギャング、コロンビアの内戦のような、生命の危険と隣合わせな対立をの事例を挙げる。レベル感が違うものの、構造的には同型というのが本書の主張だ。なので解決策も、必要な労力の大小はあるものの基本的には同じように書いている。最後に、おそらく本書が一番主張したいであろう、トランプによって顕在化した米国の保守とリベラルの対立に対して、相互理解を試みた事例を取り上げる。これはまだ途上であり、揺り戻しも起きているようだが、一瞬でも分かり合えた奇跡としてエモく扱われている。
全体を通じて、あまりに苛烈な対立の当事者の話が中心なため、対立解決の方法論以前に、私たちの日々の対立とは別世界に感じて教訓にしづらい。更に、ルポルタージュ形式はドラマ性を捨象するため、情念的な訴えも少ない。この内容なら、小説や映画にした方が共感、共振を得やすいだろう。