ラモーナエマーソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリードラマなどで鑑識のシーンをよく見るが、その中でも写真係を特に意識したことがなかったなあと読みながらしみじみと思った。何時間もかけて遺体や遺留品、事故の痕跡を何百枚、何千枚も撮り続ける仕事は大変なんてものじゃない。まして主人公のリタは更に幽霊が見えてしまう体質なので、霊となった彼らに取り憑かれ振り回されて、時には命も脅かされそうになる。理屈が通らない霊たちはうるさくて怖くて恐ろしいが、リタは逃げ出すことも出来ず、犯人探しをいやいや手伝うはめになる。
そして同時にナバホ族であるリタの生い立ち、居留地での暮らしが豊かに語られていく。霊が見えてしまうリタと、死者を縁起の悪いものとして捉えるナ -
Posted by ブクログ
最初は、鑑識課の写真係のリタの非常に細かな現場の撮影とその解説から始まる。
その後は、死を恐れるナバホ族の出身のリタ。
「幽霊が見え、話すことができる」という彼女の能力はナバホ族にとっては受け入れることはできない。その辛い経験と事件の展望が、カメラの種類で各年代、事件の順にフォーカスされる展開が気に入りました。
リタが撮影を担当した事件展望は主に終盤に進んでいく。押しの強い幽霊に脅されながら、徐々に真相に迫っていく。
彼女の能力を受け入れてくれる友人や隣人。能力は受け入れなくても支えてくれる祖母やその祖母の友人、押しの強い幽霊に助けてもらいながら、解決していく姿がよく、面白かった。
リタの考え -
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『鑑識写真係リタとうるさい幽霊』
著者 ラモーナ・エマーソン
訳者 中谷 友紀子
ようやく読み終えました〜
終盤にスリル感が押し寄せてきて、疲れました。(面白かったです)笑
読み応えあります。ただし、生々しいくらいの凄惨な礫死体や事件、事故現場の死者の姿が克明に綴られていますので苦手な方はご注意ください。キツイです。冷静に受け止められるのは、おそらくその描写が“創りもの“ではないからなのかと。著者の経歴に市警や民間会社でカメラマンとして16年間犯罪現場を記録したとあります。
タイトルと表紙のイラストから、ユーモアな作品なのかな?と勘違い、でも、あながちハズレではないんです。構成も上手いです -
Posted by ブクログ
表紙のイメージと内容紹介から、幽霊が見える鑑識写真係リタが、事件の被害者である幽霊とバディを組んで事件解決に奔走するコミカルなミステリーなのかと思ったら、ガッツリシリアスだし、死体描写はリアルすぎて斜め読みしてしまうほどだったし、先住民差別のような社会問題も絡ませてあって、思っていたものとは違っていた。
主人公リタの鑑識写真係として仕事をしている最中に、被害者の幽霊たちに付きまとわれるパートと、先住民ナバホ族の血を汲むリタの半生のパートが交互に描かれる構成。
ナバホ族の人々にとって、死は近づけてはいけないもの。それが故にリタの幽霊が見え会話が出来る能力というのは、ナバホ族の祖母や居留地の人々 -
Posted by ブクログ
タイトルや装丁のイメージだと、殺された幽霊と悶着しながら事件解決を図るミステリものっぽいのですが、読んでみるとその要素はとても薄く、主人公の幽霊が見えて「しまう」リタの複雑な半生と、死が傍にリアルにいることの辛さが前面に出た作品でした。
コミカルさはほぼなくて、幽霊もほんと「うるさい」という感じで……、ミステリとしては一つの証言でさくっと解決していくので付け足した要素のようにも感じました。
彼女に死んだ者が否が応にも寄り添ってくるために、救えなかった親しい死者への想いや苦しみがいつまでも割り切れない、そういった辛さは克明に描かれていたので、ミステリ要素を入れずにその方面で描ききってくれても