スザンヌ・マッコーネルのレビュー一覧

  • 読者に憐れみを

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    とても良い。誤解を恐れずに言うと私はいつかちゃんと書きたいなあと思っている人間で、それが結果小説になるのか何かの評論になるのかエッセイ集になるのかは分からないし、その為の行動などは一切起こしていない。産み落とされるか分からない潜在的作家を腹に飼っているとでも言おうか。しかし現代社会においてそんな人間が殆どであるとも思う。Xでもインスタでも、諸々含めば皆何かしら書いているし。
    尚且つ私はカート・ヴォネガットという作家のミーハーなファンでもある。「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」を読んで一気に恋に落ちて、「タイタンの妖女」「スローターハウス5」「青ひげ」あたりを夢中で貪り読んだ。
    概ね変な話なのだが、その根本には極めて普遍的なテーマがあり、何だか笑ってしまうような人と人のやりとりと、時々ズドンと胸を撃ち抜く名言がそこに潜んでいたりして、とにかく唯一無二の、誰の本にも似ていない 最後の最後にグッと来て泣いてしまう、私にとってカート・ヴォネガットの本というのはそういったものだ。
    ちなみにあまり(人数的な意味で)豊富と言えない私の人間関係内において、カート・ヴォネガットを読んだことのある知り合いはほぼゼロだ。悲しい。でも一作一作が割と長いので、おいそれと勧めづらい。

    そんな人間にとってこの本は名言の宝庫であり、今まであまり触れてこなかった「人間」カート・ヴォネガットについて知る為の貴重な文献であり、また確かに「書くこと」についての もっと言えば「書くことを携えながら、より熱心に 生きること」についての、とても手厚い道標であった。
    書くだけで人生は進まず、終わらず、では何が要るのかと言えば 楽しむこと、遊びほうけること、仲間をつくること、ふてぶてしくあること。
    カート・ヴォネガットは若く貧しいうちから亡き姉の子供達を引き取り、自分と妻との間に生まれた子と同様に養い、育てた苦労人である。その苦労は、彼がゼネラル・エレクトリック社を辞め、文筆家を本格的に志すのとほぼ同時に生じているはずだ。
    つまりキャリアが始まるよりも先に、彼には養わなければならない家族があったということになる。

    この本は、かつて大学でカートの講義を受けた元教え子によって書かれている。カート本人との交流を深く持っていた彼女の語り口はさっぱりとしていて、邪魔にならないし、時折差し込まれるカートの人間らしいエピソードや、講義の様子が大変興味深く読めた。
    おそらくこの著者も、カート・ヴォネガットの大ファンなのだ。ファン仲間(おこがましい)の推し語りを存分に聞けるという意味でも、極めて楽しい読書であった。

    そしてまんまと、これを読んで再びカート・ヴォネガットの著作に惹かれつつある昨今。
    本作にもたくさんタイトルが出てきたので、これ幸いと棚に追加しておきます。
    みんなも読もう カート・ヴォネガット。



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    2026年09月30日
  • 読者に憐れみを

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     カート・ヴォネガットによる「書くことについて」の本。冒頭の7つのアドバイスだけでも十分読む価値があるが、570ページ相当の本文は校正から、生活、稼ぐことについてまで、小説家としての人生への示唆は多岐にわたって網羅されている。がんばったら3日で読めた。

     個人的な関心事は「この本で語られるアドバイスが、近代以降の日本の私小説にも当てはまるだろうか」という部分なのだが、私小説を書くことのコアに「目的を持つこと」「誰か他者にも伝えるべき情報であること」という要素があるのであれば、日本のシーンにも十分援用が可能であると判断する。

     座右の書として置いておくにはちとぶ厚すぎると思うが、いちど、自分のやり方と照会するために目を通すという意味では、けっして無駄な時間にはならないはずだ。

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    2022年08月15日
  • 読者に憐れみを

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    カート・ヴォネガットの元教え子で作家のスザンヌ・マッコーネルさんがまとめた、ヴォネガットが考える作家論、創作論。

    とても良くまとめてられていて、あらゆる角度からヴォネガットの発言を読み解いている。
    時代に合わない部分や、マッコーネルさんの考えに合わないところは、はっきりと著者の考えを述べているし、カートのダメな部分も敬意を持って正直に書かれていると感じた。
    また、カートに近い人なだけに偏りがないよう少し離れた目線でまとめられている。方法論についても教科書的な部分も多いので、カート・ヴォネガットのあの語り口を期待してしまうと、少し物足りないかもしれない。
    しかしカートはジョークが上手いので、本人の真意はいつも煙に巻かれてしまうところがあるが、本書の淡々とした文章で読むと、カートが一人の苦悩を抱えた人間として見えてくる。
    本書を読んでからカートの小説を読み返すと、作品世界がよりクリアに見えて良いと思います。

    個人的には、戦争とジョーク(笑い)が人にもたらすものについては非常に興味深かった。

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    2024年04月17日
  • 読者に憐れみを

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    ヴォネガットの弟子にして友人による、ヴォネガット流文章読本。とても長かったけど、詰まることなく楽しくすらすら読めました。作者と役者に感謝を。もちろん、ヴォネガットにも感謝を。彼がうつ病だったということが興味深いです。

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    2023年02月17日
  • 読者に憐れみを

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    ネタバレ

    単なるテクニックというよりは考え方が書かれていると思う。
    教え子のことを金塊と呼んでいたというのは好きなエピソードだった。

    「読者の時間を無駄にさせない」という考え方はとても好きだ。
    「たった一人の人間のために書け」というのも印象に残った。

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    2026年03月18日