浦川通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・人間が短歌をどう作っていくのかというプロセスをAIに教えるために細かく言語化された感じがあり面白かった。
・短歌の面白さを日常的に使われる言葉とのズレから生じるとして、そのズレ(=「飛躍」)をどう自然な言語を話す生成AIで実装するかという話が面白かった。
・「飛躍」の強弱を調整しながら短歌を作り上げていくプロセスの結果、自分がいいと思える短歌ができるというのは見ていて不思議だった。
・AIは入力となる上の句(最初の5文字、12文字などでもよい)がないと短歌が生成ができないのは確かになあと思ったが、人間も無から短歌を生み出しているわけではないから構造は同じだと思った。
・"A -
Posted by ブクログ
俵万智さんが『生きる言葉』でお勧めされていたので読みました。
人間はAIに「何を任せるか」という視点
P101
人は短歌を詠みたい「きっかけ」や「気持ち」、またひょっとすると「予感」のようなものまでが自然と湧き上がってくる。あるいは能動的に掴むことができる生き物です。
これは、短歌を簡単に生成できるAIを前にしたとき、際立ってくる性質のように感じます。
(中略)
AIによる生成では、歌をつくりたい。誰かに伝えたい、といった動機の部分が存在していません。
第3章「詠む」前に「語る」
疑似短歌を学習したAIの生成を見てみる。
P110
入力
はたらけどはたらけど猶
生成
活躍の道は限られる -
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Posted by ブクログ
浦川通(1988年~)氏は、早大大学院基幹理工学部研究科数学応用数理専攻修了、大学在学中からプログラマーとしてモバイル・アプリケーション制作等に携わり、メディアアート・広告制作等を行った後、2019年より朝日新聞社で自然言語処理の研究開発に従事。
本書は、著者が自然言語処理の研究開発の中で心血を注いできた「短歌AI」について、その仕組みを解説しながら、より根本的な「コンピューターが言語を処理するとはどういうことなのか?」から、「AIが短歌をつくる際にはどんなことをしているのか?」を明らかにしたものである。
また、著者が短歌AIの試作を始めた頃、朝日新聞社の朝日歌壇を担当する文化部が、テクノロジ -
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Posted by ブクログ
「情景を思い浮かべて創作する」人とは異なり、AIは膨大なテキストデータをもとに、次に現れやすい単語を統計的に予測しながら短歌を詠む。
よって「あたりまえ短歌」になりがちなところ、歌人の協力のもと作品を多く学ばせたり、施行を重ねることでふと趣のある作品が生まれたとのこと。
「AIと人間」という話題になると、対決!といった構図が生まれやすいものだけれど、そればかりではないはず。
奇跡の一首を楽しむ、壁打ちに付き合ってもらう、やり取りの中で自分自身の発想が豊かになる…などなど。
うまく付き合っていくのがAI時代のコツかなと思わせる結びでした。 -
Posted by ブクログ
AIにはまだ、文字から実際の感覚や情景を結びつけるのが難しいようだ。
たとえば「気持ちのいい雨」と聞いても、雨に濡れた地面の匂いや、光にきらめく雨粒などを思い浮かべることはできない。
一方で、強みもある。短時間で大量に生成でき、ダメ出しややり直しにも疲れない。こだわりや思い込みがないからこそ、人が思いつかないような言葉を選ぶこともある。
またAIには、一度学習した内容が、異なる種類のデータによって上書きされ、以前の知識を忘れてしまう現象があるそうだ。
記憶は機械の得意分野だと思い込んでいたので意外だった。
人間は、良くも悪くも、どうしても忘れられない記憶を持ち、それらが積み重なることで「自分 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「この本の目的はAIを駆使した短歌のつくり方を解説することにはありません。むしろ、AIが短歌をつくる過程を通して人が短歌をつくること、ひいては私たちが毎日扱う言葉について、新しい視点から考えることを目指しています」
残念ながら、「むしろ~」の考察は平凡です。文量もほとんどありません。大部分は「AIが短歌をつくる過程」です。この本の内容はこちらになります。
序 章 コンピュータで言葉を扱う自然言語処理について説明
第1章 新聞社の取り組みである短歌AIの概要
第2章 型を扱うAIの仕組みや挙動から短歌の定型
第3章 学習データによる言語モデルの生成の違いから作品に触れることの重要性
第4章