Kyutae Leeのレビュー一覧
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シンガーソングライターの染谷達也が音楽の世界から引退する際に発表した最後のシングル「夢のうた」。
この音楽が時と場所を超えて、仕事に疲れた会社員、田舎のカメラマン、合唱祭を迎える高校生、そして染谷自身など、人生の岐路に寄り添い、時に慰め、時に励ましながら、彼らの心に希望や勇気をもたらしていく6つの連作短編集。
一つの曲を軸に、時代を超えて愛される音楽の力と、生きることに懸命な人々の姿がみずみずしく描かれている。
イジメで引きこもっていた時、仕事でうつ病にかかった時、失恋した時、学生のイベントの時、夢を諦めた時、寄り添ってくれたのは音楽だった。
なぜだか涙が何回も流れる。心が洗われる感 -
Posted by ブクログ
とある音楽を軸に広がる短編小説です。サラッと読みやすくも、キャラクターの個性がしっかり描かれていて読み応えがありました。人々の優しさに心がジーンと温かくなります。
青春の頃に聴いていた音楽を改めて聞くと、懐かしい気持ちになりますよね。知らず知らずのうちに思い出と音楽はリンクしているような気がします。
卒業式で歌った曲「旅立ちの日に」や「3月9日」「拝啓15の君へ」を聞くと、学生の頃の授業の様子や校庭で遊んでいた頃の自分が走馬灯のように頭の中に流れてきます。音楽って想像以上に偉大ですね。
アーティストの悩みや葛藤も描かれていて、リアルだなと思って読んでいましたが、作者の方が元バンドマンとい -
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まず最初の行を読んで、一目惚れして買った。
家に帰るまで我慢できなくて、カフェ寄って読んでたんだけど、涙止まらなくなった。
辛い時とか悲しい時とか、涙が出るほど救われた音楽は沢山あったはずなのに、何を聞いていたかって言われると、確かにはっきりと思い出せない。
でも、あの音楽がなかったら今ここにはいなかったし、学校にもいけなくなったし、多分好きなことも出来ないまま、下向いて生きてくことになったと思う。
なんか、なんて言えばいいのか分からないんだけど、とりあえず昔聞いてた歌探して、もう一回聞いてみようと思った。
一人の想いが、長い時間をかけてたくさんの人の心と思い出に触れて、そうして本人にす -
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自分も音楽が大好きな人間です
よくライブに足を運んでいて思っていたこと
今の時代音楽って世界中に溢れているのに
たまたま同じアーティストを好きになってたまたま同じ会場に足を運んでいるってよく考えたらすごいことだよなぁ
もっと言えばステージの上に立っているアーティストが生まれてなければ音楽を初めていなければ一生会うこともなかったんだなと
そんなたまたま出会った人達
どうやって活動を初めてどんな思いでステージに立っているのか
どんな風に人生を過ごしてどうやってこの音楽に出会いどんな風にこの音楽と共に人生を過ごしているのか
ずっと漠然と気になっていたことを見せてくれたようなそんな小説
音 -
Posted by ブクログ
かつてよく聴いた音楽から過去の記憶が鮮やかに蘇ったり、季節や事象から過去に聴いていた音楽が突然脳内再生されたり…。こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。本書は、こうした「音楽の力」を温かく描く物語です。
著者の河邉徹さんは、バンドWEAVERのドラマーだった(2023年解散)そうで、本作は著者が作詞を担当し、言葉と音楽を紡ぐ世界に身を置いていたからこそ創り得た作品だと感じました。
6章立ての連作短編で、「◯◯ノ オト」という各章題のカタカナ表記から、柔らかく軽やかな印象を受け、少し不思議な関心の惹きつけを感じます。
最初は、中途半端な章の終わりと各章のつながりがよく分から -
Posted by ブクログ
読み初めは少し私には合わないかなっと思いつつ、読んだのですが、読み進めるうちにどっぷりとその世界にはまってしまったそんな作品です。
染谷達也というシンガーソングライターの曲、特に彼が音楽の世界から引退した最後のシングル、「夢のうた」がキーワードとなって5人の男女の人生を変えていく、連作集です。
一つ一つの主人公が、愛おしくなるほど純粋で、生きることに懸命なのが嬉しくなる、そんなストーリーです。そしてそんな彼らの心に寄り添う音楽の力も素敵だなと感じます。
今や音楽はサブスクやSNSによって時代を軽々と飛び越えていきます。こんな時代だからこそ、生まれた文学作品なのでしょう。
良いものってな