中原翔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
組織不正に関して、伝統的な「不正のトライアングル」とは異なるアプローチをし、積極的な動機があるのではなく、むしろ不正に消極的で無関心であることが不正を引き起こすと説明する。
また、「外部環境」、「組織」、「個人」の持つ「正しさ」がそれぞれ異なり、差異を埋められないことが組織不正の原因であると言う。
例えば、自動車の燃費不正は、ガラパゴスかつ実行困難な燃費計測法を課された各メーカーが、国際標準に沿った方法で計測していたことが、結果として法律違反の状況を招いた。
東芝の不適切会計では、トップとミドルの時間感覚の差が、ミドルを不正をせざるを得ない状況に追い込んだ。
ジェネリック医薬品の品質不 -
Posted by ブクログ
組織不正はいつも正しい。なぜなら組織に構造的な欠陥があって、という話と思いきや組織論の話ではなく社会問題として扱っている。
この視点は自分になかったので興味深い。
読む前は毎年のようにどっかで聞いたような不祥事がニュースになり、再発防止やらなんやらしても何かしら出てきて人間の組織って進歩ないなって思ってたが、組織の問題ではないのである で目から鱗。
その時々のステークホルダー(組織と中の個人)が合理的に正しいことをすることで、時に雪崩が起きてしまうという。
不正の発生源はわかりやすい悪い奴ではなく、組織の中で真面目に普通に働く人が不正を担ってしまう構造がある。
なので、各々正しいことをして -
Posted by ブクログ
企業不正は悪意によって起こる──そんな常識を、本書『組織不正はいつも正しい』は覆す。不正は往々にして善意や使命感、「正しさ」の追求から始まるのだ、と著者・奥村昭博氏は語る。これは驚くべき逆説だが、多くの実例を通じて説得力をもって読者に迫ってくる。
不正の多くは、内部では「不適切行為」と呼ばれ、外部の〈第三者〉から見て初めて「不正」とされる。その背景には、人員不足の中で課された高い目標や、「現場なき方針」がある。たとえば小林化工や日医工では、達成困難な目標が現場に押しつけられ、不正な製造が行われた。これはまさに“非効率性の合理性”──変革にかかるコストが大きすぎて、非効率な状態が温存されるとい -
Posted by ブクログ
読みやすくサクサク読めたが抽象的な話題についてはイマイチ理解ができていない。具体的な事例をあげて説明された箇所は大変興味深く読めた。特に東芝の不正会計は利益の先取り損失先送りというやり方だということを知り、会議の生々しいやり取りは緊張しながら読んだ。経理担当者は、様々な理屈を捏ねて監査法人を納得させたのだろうが、その背景はトップの掲げた目標が、現場と乖離したまま、埋め合わせる対話がなかったということで身につまされる。ほかにも、ルールそのものが現場と乖離している製薬不正の事例などわかりやすかった。自分が今いる環境に違和感を感じることがあれば、それは不正の温床かもしれない。注意したい。