張國立のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
辺境作家 高野秀行氏がX(旧Twitter)で「面白い」と仰っていた。
随分前からこれが選書基準になっていて、そこから読んだ本はほぼ外れがない。近頃小説離れが酷かったが、彼の言葉を信じてページを開くや、薬が効いていくように時間を忘れた。本書の肝となる銃器や軍事関連の用語に蹴躓くことはあれど、それ以上に続きが気になり歩を進めていたのだ。
とはいえ帯に書いてある「謀略スリラー」(しかもメイドイン台湾!)なるジャンルとは、あまり面識がない。面白かったけど、内実は筋書きを追うのに必死で、もう一度確かめたい箇所が幾つもあった。
謀略もスリラーも、様々な事件や思惑が絡まり合って複雑怪奇に仕上がっていた。しかしその鍋の中には、老悟刑事らによる温情豊かなヒューマンドラマも含まれていて、スリラーとの良い塩梅を醸し出していた。
そうした人々の営みを羨むかのように、身寄りのない犯行サイドたち(あ、ネタバレ)が「家」という繋がりでお互いを結びつけているところも、スリラーでは片付けられない所以である。
「ブラザー・ガイ。自分の運命に対して好奇心を抱くのはいいことだ。疑わないことだね」
定年退職を12日後に控えた老悟刑事は、2件の死亡事件に携わることとなる。同時期にローマにて台湾人の射殺事件が発生するが、それらの事件には思わぬ関わりがあり…。
本書の主人公 小艾(がい)はローマの事件の犯人だが、ある人物からの指令で暗殺を企て逃亡を図る。逃亡劇から炙り出される小艾の過去と、残りの刑事人生にかけて調査をする老悟。二人の視点を交互にしながら、物語は真相に向け突き進んでいく。
小艾のサバイバル能力(だいぶひとまとめに表現しています…)や刑事たちの頭の回転の速さには只々脱帽する。脱帽するだけならまだしも、その場で飲み込めずにまた一から読み直す有様だった。(どちらの側にいても間違いなく生き残れない…笑)
終盤直前まで広がりっぱなしの伏線。本当に解決するのか、それとも解決したかどうかは読者の判断に託されるのか。
読み慣れないジャンルに踏み込んだ自分は歩を進めながらも不安でいたが、それらは終盤急速に回収されていった。その回収を運ぶ文章がまた秀逸で、特に老悟刑事が犯人を追い詰めた時のあの「解釈」には唸らされたなー…!
それともう一つ。
「登場人物はみんな、食べることが大好き」と高野氏が書かれている通り、本書には台湾(時々イタリアン)グルメが多数挟まれている。
料理人でもある小艾がこさえる炒飯(今思えば彼にとって唯一の安らぎなのかも)や、事件の話をしているのにいちいち料理を見せびらかしてくる老悟の上司 蛋頭(たんとう)etc… それに軽く乗っかってくる老悟と、緊張感を格段に和らげる役割を料理は果たしている。
さすが食文化が豊かな台湾。ヒューマンドラマを感じた要因はこれなのかも…。
昼食の台湾風焼きそば(炒飯やないんかい)をすすりながらそんなことを考える。その間にも張り詰めていた脳はほぐれ、目の前の焼きそばは遺憾なく役割を発揮していた。 -
Posted by ブクログ
炒飯の名手というスナイパーと定年退職目前の刑事が対峙するようになっていく話なのだけど、とにかくお腹が空く小説。炒飯から始まりサンドイッチから餃子からとにかくお腹いっぱいになりそうになる。そう書くと何やらユーモア小説風なのだけど、手に汗握る攻防戦である。スナイパー訓練時代の話なかなか興味深く、サイドストーリー的に進んでいくのかと思いきや後の話に繋がっていく。何故台湾のスナイパーがヨーロッパで潜伏しながら活動するのか、刑事は定年前に事件を解決できるのか最後まで目が離せない。続編が既に(台湾より先に)フランスで刊行されているとのことで、今後も楽しみ。
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Posted by ブクログ
炒飯の名手にして一流のスナイパーと引退間近の刑事のお話・・・と聞いて興味を持って読んだんですが。
いうほど炒飯要素は多くない。もっとがっつり物語に絡んでくるくらい炒飯炒飯してるのを期待していたんですが。自分で言っててどんな話なんだよとは思いますが。で、原題は「THE SNIPER」なんですね。
つまらないというほどでもないけど、ミステリというには謎の所在や手がかりがだんだんと見つかっていく感じが今一つわくわくする感じしないし。アクション的な面白さとしてもちらほら・・くらいで。刑事老伍のハードボイルド小説というわけでもなく、息子とのハートフルな・・というのでもなく。いろんな要素がちょっとずつって感じ。悪く言えば中途半端かなあ。
主人公である小艾と老伍はなかなかにいいキャラクターではあると思うので、次回作があるらしいのでそちらには期待。