張國立のレビュー一覧
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半分くらいまで読んでも炒飯作らないし、スナイパーしないし……と思っていたら後半は狙撃手同士のバトル描写が濃厚に展開されて一気読み。おもしろかった。
物語は、2004年に台湾で実際に起きた選挙中の総統狙撃事件をオマージュしている。事件そのものが「真相は藪の中」なので闇深いのだが、小説のほうも黒幕の存在こそ示されるものの、決着はどこかもやもやが残る。うう……既得権益め!(精一杯の悪口)
前作を読んだ私の家族が「炒飯……狙撃手……っていうか銃マニア?」とつぶやいていたけど今作を読んで「前作はまだ抑え気味だったんだな」と思った。
物語の中で銃の名前が10種類くらい登場し、それぞれに対応する弾や薬莢の蘊 -
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イタリアや台湾で話が交差する。出てくる料理が全部美味しそう。炒飯だけじゃなくて。もちろん素敵な炒飯も出てくるんだけど。
タイトルからはもっと軽い話を予想していたけれど、実際にはスナイパー要素が濃くて、内容も硬め。しっかりしたサスペンスだった。
登場人物達が好きだったなぁ。
表で炒飯屋、裏でスナイパーな人物像も印象的だったし、定年退職を目前にして大きな事件を追うことになってしまった警察官の姿も心に残った。
天涯孤独のスナイパーと家族や仕事の人間関係に囲まれている警察官との対比が鮮やかな物語なんだけど、コントラストが「黒か白か!」みたいなキツい感じじゃなくて人情味が溢れてる。
全体に重めの話だけ -
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張國立『炒飯狙撃手 第3の銃弾』ハーパーBOOKS。
華文スナイパー小説『炒飯狙撃手』の続編。
前作と同様、スナイパーの小艾と元刑事の老伍が活躍するのだが、今回は何と小艾はある事件の容疑者と会うために日本へと渡る。
今回も台湾のスティーヴン・ハンターと言っても過言ではない程の緊迫のスナイパー・アクションと台湾政界の腐敗を描いた面白い作品に仕上がっている。
台湾総統選挙の投票日の7日前、演説中の現総統が何者かにより狙撃される。幸い、弾丸は腹を掠っただけで大事には至らなかった。直ちに捜査を開始した警察は、近くのホテルの一室からライフルの薬莢2つと総統を襲った銃弾ともう1種類の銃弾を発見する -
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炒飯大好き人間として、ブラリと入った本屋でタイトルのみで衝動買い。
腕のたつ料理人が殺し屋という設定はそれなりにありそうだが、炒飯というのが良い。
ちなみに炒飯に何故卵が入っているかと言うとダンテが卵を塩で食えと言ったとか言わないとか。
そんなわけでダンテ仕込みのピリッと塩味の効いた、それでいてしょっぱさのないノワールミステリーの爆誕です。
イタリアからスタートしてヨーロッパと台湾を駆け巡る展開もまた良い。いやあ、サラミの炒飯食べたいよ。
いやあ、しかし刑事は定年間近に限るね。描写はなかったけど小太りであることを期待しちゃう。そうあってほしい。
既に続編が書かれているとか。翻訳早くっ!!
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張國立『炒飯狙撃手』ハーパーBOOKS。
北欧ミステリー小説のように最近は華文小説が流行っているようだ。評判を耳にして何作か華文小説を読んでみたのだが、その独創性と面白さに驚いた。最近、文庫化された劉慈欣の『三体』は言わずもがなだろう。ミステリー小説では、陳浩基の『13・67 』、蔡駿『忘却の河 』が非常に面白い作品だった。よって本作にも大いに期待するところである。
本作は台湾作家による華文謀略スリラーである。『炒飯狙撃手』という少し滑稽なタイトルとは裏腹に、台湾のスティーヴン・ハンターと言っても過言ではない程の緊迫のスナイパー・アクションと台湾警察の地を這うような捜査の様子が描かれていて -
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ネタバレ2025年の15冊目は、張國立の「炒飯狙撃手 弐
第3の銃弾」です。チャーハンスナイパーPart2です。2004年に実際に起きた陳水扁台湾総統狙撃事件が下敷きになっています。不可解とされている事件の作者なりの真相解明をお得意のスナイパーアクションを盛り込み、エンターテインメント性の強い作品に仕上げています。作品中に登場する料理を想像するのも楽しい、いかにも台湾らしいです。登場人物とその会話も良いです。蚤頭と老伍の会話は、一癖二癖も有り最高です。
主人公の小艾が日本に飛び、佐々木と組んで高野山での追っ手のスナイパーとの対決は、今作でのハイライトだと思います。傭兵時代のアフガニスタン山中での回想を -
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辺境作家 高野秀行氏がX(旧Twitter)で「面白い」と仰っていた。
随分前からこれが選書基準になっていて、そこから読んだ本はほぼ外れがない。近頃小説離れが酷かったが、彼の言葉を信じてページを開くや、薬が効いていくように時間を忘れた。本書の肝となる銃器や軍事関連の用語に蹴躓くことはあれど、それ以上に続きが気になり歩を進めていたのだ。
とはいえ帯に書いてある「謀略スリラー」(しかもメイドイン台湾!)なるジャンルとは、あまり面識がない。面白かったけど、内実は筋書きを追うのに必死で、もう一度確かめたい箇所が幾つもあった。
謀略もスリラーも、様々な事件や思惑が絡まり合って複雑怪奇に仕上がっていた