新藤元気のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ミステリだ、推理小説だ、警察小説だ、云々の前に本作はそういったものの要素を被ったプロの仕事を描いた小説である。
犯人、主人公と様々な人物の入り交じった視点は少々複雑すぎるきらいがあるものの、読み始めたら本作は止まらない。サスペンスの緩急が、明かされる謎が読む手を止めさせない。
何と言っても文章に熱量や勢いがある。論理的な謎解きと感情に訴える人間ドラマは歯を食いしばって結果を出す事に命をかける職業人たちのそれ。彼らが見せつける矜恃には痺れた。驚きを求めてミステリを読んでいたはずなのに不思議と明日また頑張ろう、そんな気持ちになれる。実に面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ身に覚えのないインサイダー取引を疑われた男性サイド、養護施設の火事からある少年を追う警察サイド(一応この警察側の熊さんこと熊谷が主役)、そして追われる少年サイドと複数の視点が入り乱れるので、特に前半は混乱した。
特にインサイダー取引の件と火事の件が全く繋がりがなさそうなので、より混乱を誘うという。
中盤「公彦おじさん」なる人物の立ち位置が分かってくると、途端に物語の解像度が上がったのを感じた。
そういうことだったか!
しかもこの「公彦おじさん」の謎は二段構えなので、最後の最後でしてやられました。
それは予想していなかった!
一応作中に伏線はあったんですけど。
毒舌な科捜研所属の女性(小春女史 -
Posted by ブクログ
養護施設が煙草の不始末により全焼。
その煙草の片づけを命じられていたのは
行方不明になった少年。
少年は一体どこに消えたのか、も謎ですが
合間に出てくる会社員の事件も謎。
過去なのか今なのか…と思っていたら
ここに繋がるのか、と。
少しずつ、しかし一気に分かっていく目的。
そのために、と貫き通そう、というのはいいですが
失敗したときの事は考えてなかったのか、と。
行方不明になった少年も、それ以外は子供回路で
だからこそ、な事件解決だったかも?
しかしなぜ少年は、頭脳を上級生に使わなかったのか。
そこまで捻くれてなかった、という事でしょうか。
一番何が起こってどうしたのかさっぱり、なのは
-
Posted by ブクログ
新藤元気『爆弾魔 科学捜査研究所物理係』宝島社文庫。
文庫の表紙イラストを見る限り、硬質の警察小説という感じがしたのだが、冒頭からアニメゲームの声優が登場したり、主人公の久龍小春が知念実希人の天久鷹央のキャラに似ているなど、マイナスのフラグばかりでイヤな予感がした。
枕営業など、世相を反映したストーリーはまあまあ面白いのだが、途中から天久鷹央しか思い浮かばなくなった。
横浜にあるロケット開発企業の旧工場で爆発が発生した。火災原因調査のスペシャリストである久龍小春は、特殊犯捜査係の熊谷と灰島とともに現場調査を開始する。
経営者の四ノ宮の証言によると、数日前から爆破予告文が届いており、次の