ネビル・シュートのレビュー一覧
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「パイドパイパー」とは「ハーメルンの笛吹き男」のこと
スイス国境近くのディジョンで釣りをしようとしていた70歳のイギリス人ハワードは、ドイツ軍のフランス進撃とイギリス軍のダンケルク撤退を知って、イギリスへ帰国しようとする。
ところがドイツ軍がスイスに侵略する噂に心配した国連に勤めるイギリス人夫婦から、2人の子供を連れてってほしいと頼まれる。
ゆく先々で子供は増え、最終的に7人それもイギリス人、フランス人、オランダ人、ポーランド系ユダヤ人、ドイツ人と、縁もゆかりもない子供たちを連れてイギリスを目指す。
戦争で交通手段もままならない中、乳母車とともに大勢の子供を連れて「ほとんど歩いて」イギリスを -
Posted by ブクログ
隠居生活の元弁護士ハワードは、第二次大戦の戦火が広がる中、イギリスからフランスのジュラの山村へ釣りに出かける。戦局に関心をはらっていなかったハワードは、フランスがドイツに攻め込まれ危機的な状況になりつつあるのを理解していなかった。ジュラではゆっくりと釣りを楽しんでいたが、スイスもドイツの手に落ちるのではないかという噂の中、帰国を決める。同じ宿に泊まっていた国際連盟職員の妻から、子ども二人をいっしょにイギリスまで連れ帰ってほしいと頼まれる。列車を乗り継いで帰れると引き受けたハワードだったが、ドイツ軍の侵攻で交通機関は寸断され食料も泊まるところも無くなっていく。バスに乗り換え、最後は歩いてイギリス
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1942年に書かれたイギリスの冒険小説。
あらすじとしては、第二次世界大戦初期にドイツ軍がヨーロッパ各地に電撃的に展開した1940年の夏のフランスが舞台。
戦況がこれほど悪化するとは思わず、フランスの田舎で静養していたイギリス人元弁護士の老人が祖国イギリスへ帰るまでの苦難の道のりのお話。
最初に国連職員の二人の幼子を託され、その後もドイツ軍の侵攻の中の混乱した状況でイギリスを目指して進む間にどんどん預かる子供が増えてくる。
この老人は寛容な心と忍耐力でその子供を受け入れ道中の困難度はますます上がる。
さて、老人と子供達は無事イギリスへ渡れるのでしょうか?? と言うお話。
"パイド・ -
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第二次大戦初期1940年、空軍パイロットの息子を亡くしたハワードは寂しい心を紛らわすため、前にも訪れたフランスの片田舎に釣りの旅に出かけた。
しかし戦局は風雲急を告げ、そんな時、国際連盟に勤めるイギリス人夫婦から二人の子供をイギリスに住む親類の家まで連れて帰ってほしいと頼まれる。
不安を覚えながらも、引き受けることにし、老人と幼い少年少女の三人旅が始まったが、戦局の悪化とともにアテにしていた列車は思うように動いてくれない。行く先々で人の親切に助けられながら危機を脱出するものの、色々な事情からイギリスに連れて行く子どもの数も増えていく…
果たしてハワードと子どもたちは無事にイギリスに帰れるのか? -
Posted by ブクログ
ネビル・シュートはSFの名作「渚にて」の著者でもあります。書店で「買おうか?」悩んでいる時、解説を読んでその事を知り買うことにしました。また、表題の「パイド・パイパー」は、退治した謝礼を支払わない村人の怒って、子供達を笛で釣り出してしまう童話「ハーメルンの笛吹き男」のことです。まあ、子供が次々と集まるところは同じなのですが。
シチュエーションは何もかも違うのですが、同じように老イギリス紳士が主人公であるせいでしょう、カズオ・イシグロの「日の名残り」を思い出しました。どちらとも「主人公のキャラクター=小説の主題」という気がします。
「日の名残り」は表題の如く、斜陽のイギリスを背景にしています