大崎直太のレビュー一覧
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研究室の指導教官だった大崎先生の著書。
もう退官されて久しいのだと思うけど、知的な好奇心はすごいなと素朴に感じた。
生態学のリサーチャーの道とはまったく違うものを選択した自分だけど、やはりこの分野が好きなんだな、というのをあらためて認識させてもらった。
自分も存じ上げている当時の諸先輩・先生の方々の名前もちらほら出てきて少しノスタルジックな心持ちになりながら読み進めた。
生態学的ニッチを軸にこの分野がどう積み上がってきたかがわかりやすく描かれていてすごく勉強になった。でも、最後に大崎先生が実は自分としては逆の順番で把握が進んでいった、とあり、なるほどと思った。
緑の世界仮説、天敵不在空 -
Posted by ブクログ
今週はずっと放浪していて、プロペラ機の中で本書を読み始めた。とある会合に参加してホテルまでの帰路、私に声をかけてくれた男性。私の師匠の息子さんで、父の体調を伝えたくてお待ちしていたと。それから飲み直すことに。
小説の世界みたいな事もあるものだ。本書のタイトルでもある生き物の「居場所」なんて、その強さや弱さで決まるのではなく、縁起で決まるのだと思えて仕方ない。その息子さんと私は数年前に一度会ったきり。私より年上の方だが、話すとその父によく似ている。聞けば、アルツハイマーで息子の顔も分からない状態だという。用意された「居場所」は過酷だが、不思議と穏やかに時を超えて語り合う。
競争を避けて、居場 -
Posted by ブクログ
自然界において、さまざまな生き物がそれぞれの「居場所」を見つけて生存している。その「ニッチ」が何によって決まるかという考察。
ダーウィンの進化論、適者生存の法則により、餌をどう確保するかという観点から説明されて来たが、だってこんな緑いっぱいあるやん、食い尽くすなんかないやん、という競争不在論から、天敵不在空間、繁殖干渉に至るまで。
まあ生き延びたやつは生き延びて、繁殖できたやつは増えていく。
のみ。滅ぶものは滅ぶ。その結果調和がたまたまあるだけで、それも脆い平衡状態にあり、あっという間に平衡は崩れ、また新しい平衡を生む。
そこになんか意味を見出して、なんかしようとするのは人間くらいか。