サイモンジョンソンのレビュー一覧

  • 技術革新と不平等の1000年史 下

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    第二次世界大戦後、アメリカは豊かだった。1950年代。
    これはよく聞く話。
    技術革新がなされ、それが労働者にも反映された、古き良き時代。
    しかしそれが続かなかった。
    機械化がどんどん進み、労働者は隅に追いやられた。切られた。
    必然的に労働分配率は下がる。
    理屈は分かる。それだけ設備投資に金が要るのだ。その金が利益を生む。
    。。ここでまた、ミルトン・フリードマンが登場する。
    企業は利益と配当だけ考えればいいと。フリードマン・ドクトリンと。
    悪のように書かれる。フリードマン信者としては心外だな。
    フリードマンは再配分を疑ってかかってる。私も同じ。うまくできるはずがない。
    必ず恣意的なものになる。権

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    2025年03月18日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

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    技術革新が人のためになるとは限らない、というか、むしろ害悪の面が強いということを、様々な事例から説明するもの。現在のAIや宇宙開発、ゲノムテクノロジー、環境対策など、明るい未来を作ってくれると期待するが、その恩恵を受けるのは、発明者や投資家、有力者などの一握りであり、一般市民はむしろ虐げられたり、犠牲になったりする。スエズ運河やパナマ運河の開発、イギリスの産業革命、鉄道開発、など。都市伝説みたいな話かと思ったら、アセモグルさんの分析は明晰。こういうことを知っておくことは重要だと感じる。

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    2024年08月08日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

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    面白かった。が、本当にそうなのかなという思いが拭えない。20世紀の一時期だけ経済成長と労働分配率が同時に上がっただけで、本来的にテクノロジーの進化の利益は投資できる資本家のものじゃないのだろうか。人類は経済活動に倫理観を取り込んできたのだと思うが、その蓄積が20世紀の一時期に社会福祉に向かったものの、その後、新自由主義の価値観に揺り戻されただけな気がする。テクノロジーの使い方や分配方法は選べなくて、そのときの価値観が支配的。戦争とか暴動とか災害とか発見とか、何か契機があってガラっと価値観が変わる、その動態という感覚。倫理観、社会やコミュニティへの信頼が大事。あとパワーバランスは柄谷行人を読まな

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    2025年03月20日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

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    イノベーションは労働者の平均賃金を上げる、労働者の生活水準も上げる、などが起こるには条件があるという話。言われるまでもない気がするが、どんな条件かが気になる。結局は資本家が力を増すようなものは労働者を貧しくするということのよう。しかし、1800年代後半になるまで労働者はずっと搾取されてきたのがわかり、かわいそうになる。人は時間をかけて道徳的になったのだな。下巻は現代また搾取が始まっている話らしい。気になる。

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    2025年03月08日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

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    少し難しい内容でした。
    上巻で人類の歴史上、技術革新が起きたら特権階級の人が富を得る、労働者階級の人は今まで以上の成果を同じ時間で求められるようになった。という内容だったと思います。
    下巻では、自動車工場等で労働者が集まり、労働組合を設立したことで、対抗策を作り技術向上に伴う利益の分配を求めることが出来た。
    このことから、技術革新の恩恵を分配する仕組みが格差を縮める方法であると予想される。
    ここ最近の技術革新とされる人工知能(AI)にも同じことが言える。この技術が特権階級に有利に働く事になれば、富の格差は広がってしまうだろう。
    このAIの技術は会社の経営者と労働者の話ではなく、国家と国民の規模

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    2024年12月01日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

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    上巻に続いて技術革新悲観論がベースにあるのだが、第二次大戦後は、複数の国で技術革新と労働者の生産性向上、所得の上昇が起きたことを示している。

    北欧やドイツ、日本など、国家や労働組合が関与した国ではポジティブな結果が出たというが、その後は上位1パーセントが富を占める割合は上昇している。象徴となるのが、1970年のミルトン・フリードマンによる言葉、すなわち株式会社ののなすべき事は、株主価値の最大化のみである、だ。このフリードマンドクトリン=新自由主義として資本主義経済を支配してきた。

    このことに関し、筆者は警鐘を鳴らし特に民主主義の危機でもあると訴える、同時に転換点の兆しも示している。

    筆者

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    2024年09月29日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

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    現代を代表する経済学者であるダロン・アセモグル氏の日本語の最新刊。AIなゲノミクスなどの技術革新がもたらす影響についての楽観的な議論に一石を投じる名著だった。

    技術革新を推進し、それを経済活動に広めることによって広く社会全体が恩恵を受けるという「生産性バンドワゴン」いう概念がある。だが、技術革新の恩恵を受けるのは、発明者や投資家などごく1部であり、一般の労働者はむしろ失業や給与の取り分が減るなどの負の影響は大きかったことを、歴史的なデータも踏まえて論じている。世界史で習ったラッダイト運動は守旧的な労働者なのだろうと評価していたが、この見方が一面的であることを知る。

    またレセップスがスエズ運

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    2024年09月29日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

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    技術革新は必ずしも人間を幸せにしないし、バンドワゴン効果も限られるし、トリクルダウンも起こらないという仮説を、いろいろな事例から検証したもの。過去に、全体が豊かになった時には「社会運動」「社会の連帯」が起こり、方向性が正されていた。今の時代、SNSなどで連携はし易い一方で、ヘイトなども起こりやすくなっているし、ネット遮断や監視に走る国家もあり、過去の事例は期待できそうもない。これは気をつけておかないと。

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    2024年09月01日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

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    ネタバレ

    経済学の大御所であるダロン・アセモグル氏が、「技術革新」といったまさに現在タイムリーな論点について本を執筆くれるのは本当にありがたい。

    上巻では「技術革新」というテーマについて、主に労働市場の観点から議論が展開される。押さえておくべき論点は、生産性バンドワゴンが機能するための2つの前提条件であろう。1つ目は、「労働者の限界生産性の向上」で、2つ目は、「労働者の交渉力」である。上巻では、これらの条件が歴史を通じて満たされてきたのか否かについて、歴史的エピソードを用いながら検討していく。

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    2024年08月03日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

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    ネタバレ

    AI等の技術革新から労働者は守れるか?等の問題を、過去の歴史や現代の例を挙げてこれからの視点を教えてくれる実用書。

    限界生産性等ワードや重要な部分はボールペンでライン引きながら読んでます。

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    2025年01月01日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

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    教育のことも少しは書いてあったが実例が書かれておらず、抽象的なものであった。AIの章ではきたいしたがそれほど学生の役に立つとは思われなかったのがざんねんである。

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    2024年08月31日