最近「真実」という言葉に対して胡散臭さを感じるようになってきた。
「誰も言えなかった〇〇の真実」「大国が隠し続ける不都合な真実」なんて眉唾ものが多すぎる。
しかし本書は少なくともある程度、情報の信頼度が担保された真っ当(と私は判断した)な書籍である。
コンテンツは6章だて。
お店を可視化!というとっつきやすいデータを扱った1章から始まり、住まい、交通、自然、人口などがデータ地図で示される。
いやあ、地理好きにはたまらない。
個人的には「交通」(仕事で必要なので)、「自然」のうち、災害関連、そして「人口」のデータが面白い。
第6章の「ちょう」と「まち」の違いや「どこまで湘南?」と言った内容はEテレ(NHK好き)の「マチスコープ」みたいで面白い!
人口データでは、男女の就業している職業の違いや共働き世帯の地域差などが興味深い。
職場にどんな交通手段で移動するか、ということにも男女差があったのは驚きだ。
言われてみれば、という感じなのだが、イメージと事実は違うものだ。
本書で繰り返し語られるのは、(国土地理院などのデータをもとにした事実でも)外れ値やノイズの存在やどの尺度で整理されているかを確認せよ、ということ。
私たちはあるデータを見ると、可視化されたことでわかった気になりがちだ。
だが、そもそもサンプルが少ないなどの背景があるかもしれない。数字に騙されるな、ということを伝えている点はデータを扱う書籍として極めて良心的である。
コラムにあったもので思わずうなづいたのは千代田区は23区の中で一番犯罪率が高い、という内容について。
昼間人口と夜間人工を加味せよ、と言う指摘には、数字マジックの怖さを感じた。
様々なデータを見せてくれる本書は児童生徒には調べ学習などにも応用できるだろう。
大人はプレゼンの資料(色使いや使用ソフトなどの参考)や教養として、もいい。
けれど、私は本の良さは楽しむことだと思っているので、ぜひ、趣味!として読んでいただきたい。
それから、わたしは毎年やってくる「自由研究」のお手伝いの参考として使います…