フィリップ・ショートのレビュー一覧

  • プーチン(下):テロから戦争の混迷まで

    Posted by ブクログ

    上下巻分厚い本だが、索引の分量も上下巻それぞれ100ページ以上あるので見た目で避けない方がいい。現在プーチンのことを知ろうと思うと一番良い本かもしれない。
    なぜプーチンはウクライナ侵攻というロシアの今後数十年を捨ててしまうような暴挙に出たのか。その答えが100%クリアに示されているわけではないけど、プーチンの考え方の変遷はソ連崩壊からの立て直し、現実的な西側への対応から始まりアメリカ、NATOへの失望からロシアの大義への回帰、という流れなのかなと感じる。
    ここのエピソードでなんとなくプーチンが常に一枚上手的に魅力的に描かれるように感じるのはなぜだろう。
    長いお話はおそらくあとがきの著者のまとめに集約されているように思う。
     「プーチンは(大統領に)就任したときには部外者であり、ロシアの将来についてはリアリストで、西側との密接な関係について、モスクワの主流派の多くが抱いていたような疑念は持っていなかった。彼は、ロシアの運命はヨーロッパの一国としてのものだと信じていた。文化的にも、経済的にも、政治的にも、ヨーロッパこそロシアの居場所だった。
     ジョージ・W・ブッシュはそれを歓迎した。だが、クリントンと同じく、ブッシュはロシアの未来が、アメリカの率いる世界の一部になることだと考えた。
     プーチンはそう思わなかった」
     

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    2023年12月06日
  • プーチン(上):生誕から大統領就任まで

    Posted by ブクログ

    20世紀から続くプーチンのロシア。ウクライナへの侵攻はロシアとプーチンを決定的に理解不能なものにした。気軽に読むには少し分量が多いけど西側ジャーナリストである著者の視点に基づいて大量の資料から編まれた伝記は一体プーチンとはなんなのかについて、理解しようとする試みには多少役立つと思われる。
    個々のエピソードはイメージ通りのロシア的な冷徹さや闇の部分はもちろん、意外と人間関係を大切にするところだったり、少なくとも過去のソ連やロシアの指導者(ロシアの例はエリツィンしかいないけど)にはない清濁合わせ飲んで議論ができるキャラクターだったりと意外と魅力的なところもあったりする。大統領就任ごの初期の時期に限定されるかもしれないが。
    上巻までしか読んでいないけど、昔ながらのヨーロッパのようでヨーロッパではないロシア的な精神と70年超の共産主義時代で育まれてしまった西側諸国との断絶はあまりにも深い。
    翻訳は読みやすいけど雑なところもあるな。

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    2023年11月18日